狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『日記帳/江戸川乱歩』です。
江戸川乱歩さんの『日記帳』は文字数7000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約17分。
病気でこの世を去った弟の日記帳。
そこに秘められし恋の暗号を読み解いてしまう兄。
弟の恋のお相手、雪枝さんの恋のおまじない。
スマホ、LINEで手軽にできる恋のおまじないをご紹介!
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
弟が病気で亡くなった。兄は弟の書斎で物思いにふけっていた。ふと、弟の日記帳が気になった。その文章からは内気で引きこもりがちだった弟のことがよく伝わってくる。
きっと恋も知らずにこの世を去ったに違いない。
しかしページを捲るうち一人の女性の名前が出てきて兄は驚く。それは北川雪枝という名前の遠縁の娘だった。
弟は雪枝さんに恋していたのかもしれない。
兄は日記帳を最後まで見るも、そこにはハガキの受発信記録として、雪枝さんの名前が記されているばかり。具体的なやりとりについてはわからない。
弟が雪枝さんにハガキを出した日付は以下のとおりだった。
3月:09日、12日、15日、22日
4月:05日、25日
5月:15日、21日
よくない好奇心に駆られているとは自覚しつつ、兄の捜索は続く。すると大切に仕舞われていた雪枝さんからのハガキが11枚出てきた。しかしどれも他愛のない内容だった。
雪枝さんからの最後のハガキは5月25日――たしかこの日の日記に雪枝さんの名前は記録されていなかった。
兄が該当日のページを見ると「失望」の二字がある。雪枝さんからの最後のハガキも他愛ない内容――これに失望したのならやはり弟は雪枝さんに恋をしていたということに。
さらに兄は文通ハガキの枚数に疑問を持つ。
雪枝さんから11枚のハガキがきているのに対して、弟は8枚しか返事を返していない。恋する相手にすぐ返事を出さないのはいかにも不自然。
……3月9日、……アルファベットの9番目の文字は「I」、
…………、
8枚のハガキの日付から導き出された文章は
「I LOVE YOU」
兄は暗い気持ちになって雪枝さんから弟へのハガキをぼんやりと見つめていた。すると切手が斜めに貼ってあることに気づいてはっとする。
それはとある小説の中に出て話題になった恋を現す暗号だ。
では弟と雪枝さんは相思相愛だったのだ。
それなのにどちらも相手の想いに気づかず、一人は失恋の痛みを負うてこの世を去り、一人は失恋の悲しみを抱いて生きていかなければならないのか。
そして兄は、弟が亡くなる2か月前に取り決められた、自分と雪枝さんとの婚約のことを思った。
狐人的読書感想
誰も救われないお話でした。
悲しい。悲しすぎる。
……だけどツッコまずにはいられません。
弟よ、その暗号、誰も気づけないよ!
そんな感じで(どんな感じで?)狐人的には結構楽しめました。
坂口安吾さんはこれで7冊目になるわけですが、暗号ものといえばそのもの『アンゴウ』を思い浮かべてしまいます。
(▼坂口安吾さんの『アンゴウ』の読書感想はこちら)
一般受けしそうなのは、『日記帳』とは対照的に、ラストで救いを見出すことができる、こちらの『アンゴウ』という気がしますが、どうでしょう?
未読の方にはぜひ両作品を読み比べてみてほしいところです。
また、手紙が重要なガジェットになっていて、とてもおもしろかった小説に、太宰治さんの『葉桜と魔笛』があります。
(▼太宰治さんの『葉桜と魔笛』の読書感想はこちら)
坂口安吾さんの『日記帳』と太宰治さんの『葉桜と魔笛』は、物語の外観が似ていますが、『葉桜と魔笛』は2度のどんでん返しが用意され、さらに最後まで読み解き難い謎が残されていて(僕の深読みしすぎの嫌いはありますが)、「恋愛はガンガンいこうぜ!」の教訓も含まれ、おすすめです。
内気な『日記帳』の弟にもおすすめしたかった作品ですが、『日記帳』のほうが先に執筆されているんですよねえ(……そういう問題じゃない)。
前述したように、『日記帳』は救いのないお話でしたが、生きている兄と雪枝さんの後日譚を読者が勝手に想像して、救いを与えられる点において、狐人的には『アンゴウ』よりも好きな物語でした(僕がひねくれものなので、救いのない話を好んだわけではない、……と信じたい。)
兄と雪枝さんが幸せになれるその後とはどのようなものなのか、……空想してしまいます。
兄は、自分が弟と雪枝さんの想いを知っていることを隠し続け、このまま雪枝さんと結婚して、雪枝さんを幸せにできるよう努力するのが、男らしくて素敵なように思うのですが。
雪枝さんは、じつはそのことに気づいていて、晩年二人が穏やかに語らうシーンが、なんとなく思い浮かびました。
しかし一方で、坂口安吾さんの作品から感じられる著者のお人柄を思うに、これはちょっと想像し難い未来だと思ってしまうのは、僕だけ?
ショックを受けた兄が婚約を破談にしたり、それを引きずってダメな夫になってしまう未来のほうが、どこか現実的に思われてしまうのですが、いかがでしょうか?
そんな感じで後日譚をあれこれ妄想して、家族や友達――誰かと話してみてもおもしろい(もちろん内容自体もおもしろい)小説だと思いました。
……だけどツッコまずにはいられません。
弟よ、その暗号、気づいてやれよ!
作中兄も語っていたように、弟の暗号を気づくのは難しいけれど、雪枝さんのほうの暗号は気づけたように僕も思います。
「恋は盲目」とはいいますが、たしかに自分のことには鈍感になってしまうものかもしれませんねえ……、なんかハーレム系主人公の鈍感さみたいなものを彷彿とさせられてしまいましたが。(とか⇒)
奥手すぎる弟と雪枝さん――そんな二人の恋を、兄は「古風な恋」と言い表していますが、「暗号もの」の小説であると同時に「純愛もの」の小説ともいえるかもしれませんね。
雪枝さんの用いた恋を現す暗号である「ハガキの切手を斜めに貼る」という行いは、ちょっと興味深く思いました。
これはどこか「恋のおまじない」にも似たところがあります。
携帯、スマホなど、通信技術の発展した現代において、ハガキは個人の通信手段としてはなかなか使われることのなくなったツールです。
――ふと、「ハガキの切手を斜めに貼る」みたいな、携帯やスマホの恋のおまじないがあるのかなあ、と気になって調べてみると、やはりありました。
じつにいろいろなものがあるのですが、今回は「切手に貼る」にかけまして(?)、「画像を貼る」ということで、スマホの待ち受けやLINEの背景にすると好きなひとから連絡がきたり、プロポーズされたりした(!)、というものをご紹介します。
僕が調べた感じだと、
ハート型の雲
ハートパワー!
ハート型の手
ハートパワー!
(パート2)
赤いふうせん
レッドパワー!
(ハートパワーの追加効果あり?)
シンデレラ城
プリンセスパワー!
テディベア
かわいいは正義パワー!
(※この画像はAmazonリンクです)
黒猫
かわいいは正義パワー!
(&魔女パワー!)
蛙
彼が帰る(カエル)パワー!
などなどありましたが、
良い口コミがもっとも多く、効果がありそうなのは、
レインボーローズ
花言葉は「奇跡」「無限の可能性」!
でした。
(▼ちなみにレインボーローズが作れる自由研究を紹介した読書感想はこちら)
自分で紹介しておいてなんなのですが「本当に効果あるのかなあ……」という気がしてしまいます(おいおい)。ま、まあ、そこがひねくれものたる狐人の由縁なのかもしれませんが。
スマホの待ち受け画面やLINEの背景画像を変える(カエルパワー!)だけといったお手軽な「恋のおまじない」なので、狐人に化かされたと思って試してみるのも一興かと(僕はスマホ持ってないので試せませんが)。
結果などコメントいただけたら望外の喜び!
読書感想まとめ
誰も気づけない弟の暗号。だったけど、兄と雪枝さんの後日譚を妄想して家族や友達と語らおう!
「切手を斜めに貼る」雪枝さんの恋のおまじない。からの、スマホの待ち受け、LINEの背景は「レインボーローズ」で決まり!
狐人的読書メモ
恋のおまじないは自己責任でお願いします。という、無責任。
・『日記帳/江戸川乱歩』の概要
1925年(大正14年)3月5日『写真報知』(報知新聞社)にて初出。初出時の表題は「恋二題(その一)」。初期短編。
以上、『日記帳/江戸川乱歩』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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