狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『三羽の小鳥/グリム童話』です。
文字数3000字ほどのグリム童話。
狐人的読書時間は約9分。
姉の子供を河に投げ捨てた二人の妹。妬みでひとを傷つければ、相手も痛いし自分も痛い。冷静に考えて、嫉妬でひとを傷つけないようにしたいけれども、言うは易く行うは難し?
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
昔、コイテル山の上に、狩り好きな一人の王様が住んでいた。山のふもとには三人の娘がいて、牝牛の番をしており、遠目に王様の一行を見て、きゃあきゃあ騒いでいた。
「私はあの人以外の誰とも結婚したくないわ」
一番年上の娘は王様を、二番目の娘は王様の右手を歩いていた大臣を、三番目の娘は王様の左手を歩いていた大臣を、それぞれ指さして言った。
この話声は王様の耳に入り、王様は狩りの帰りに娘たちを呼び出して問いかけたが、娘たちは何も言えずにもじもじしていた。しかし三姉妹は美人だったので、それぞれがそれぞれの望んだ相手と結婚することになった。
やがて王妃は男の子を産み、二人の妹はその子を川に投げ込んだ。二人の妹には子供がいなかったので、妬ましくてならなかったのだ。子供を川に投げこんだとき、一羽の小鳥が歌を歌った。二人はぞっとして逃げ帰り、王様には「お妃は犬の子を産みました」と報告した。王様は「神様のなさったことだ」と言って諦めるしかなかった。
一年後、お妃はまた男の子を産んだが、その子も不誠実な妹たちによって川に投げ込まれた。やはり一羽の小鳥が歌い、王様は「神様のなさったことだ」と言って諦めるしかなかった。
その後、お妃は今度は女の子を産んだ。しかしこの子も二人の妹たちによって川に放り込まれた。二人の妹は「お妃は猫の子を産みました」と王様に報告し、ついに王様は怒って、お妃を牢屋に放り込んだ。
さて、子供たちは川岸の年取った漁師に拾われて育てられた。子供たちが大きくなり、一番上の兄が下の二人を連れて魚とりに行くと、他の子供たちは「やーい、捨て子やーい」と言って仲間に入れてくれなかった。一番上の兄は父である漁師にそのことを尋ね、漁師はすべてを打ち明けた。一番上の兄は本当の父親を探すため旅に出ることにした。
彼は河原で老婆に会い、挨拶を交わして河を渡してもらったが、その後父親を見つけることはできなかった。一年後に二番目の兄が同じ道をたどるが、やはり父親を見つけることができなかった。
そしていよいよ末の妹が兄たちを探す旅に出かけた。妹も老婆に出会い、挨拶に「お魚がうまくとれるといいですね」と一言付け加えた。その言葉を聞いた老婆はとても喜び、河を渡したうえ、木の枝の鞭を与え、ここから先すべきことを教えてやった。
「この道を行くと大きな黒犬がいる。そのそばを落ち着いて通り過ぎなさい。つぎに大きな屋敷がある。門の敷居にこの鞭を落として屋敷の中を通り抜けること。その向こうには古井戸があり、中から大きな木が一本生えている。その枝に鳥かごがかかっていて、鳥が一羽入っている。その鳥かごをとり、井戸の水をコップ一杯汲んで、もときた道を帰ってきなさい。途中で落とした鞭を拾い、それで黒犬の頭を打つ、それから私のところへよっておくれ」
娘は老婆の言うとおりに行動した。すると帰り道で二人の兄たちと再会し、鞭で打たれた黒犬は美しい王子に姿を変え、一行は老婆に河を渡してもらい、全員が無事に漁師の家に帰ることができた。老婆は河を去った。老婆にかかっていた魔法がこれで解けたからだった。
その後、二番目の兄は狩りに出かけたとき、偶然近くで狩りをしていた王様と出会う。王様を漁師の家に招待すると、鳥かごの鳥が突然歌い出し、それによってすべての事情が明らかとなる。王様は漁師と三人の子供たちを城に連れ帰り、急いでお妃を牢屋から解放するが、お妃は見る影もなく衰えていた。しかし末の妹が汲んできたあのコップ一杯の井戸水を飲ませると、お妃は息を吹き返した。不誠実な叔母たちは焼かれて処刑され、末の姫は黒犬の王子と結婚した。
狐人的読書感想
印象に残ったのは、王妃の妹たちがつぎつぎと王妃の産んだ子供たちを河に投げ捨ててしまったところです。女の嫉妬は恐ろしいというか、人間感情の度し難さを思ってしまいます。
自分に持っていないものを持っているひとを、ひとはどうしようもなく妬んでしまいます。ときに妬みは相手を傷つける行動をひとにとらせてしまいますが、それはいけないことです。
妬みでひとを傷つければ、相手も痛いし、自分も罪悪感を抱えてしまうことになり、いいことなんてひとつもないんですよね。
王妃の妹たちは、自分たちに子供がいないぶん、王妃の子供をかわいがることだってできたように思います。なんでそれができなかったのだろうか、考えてみますが、プライドや周りへの体裁といった別のいろいろな感情が邪魔をしていたのかもしれません。
ひとに嫉妬したくありませんが、それはどうにもならないという気がするので、せめて冷静に考えて、嫉妬にかられてひとを傷つけることだけはしないようにしたいと思った、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
嫉妬でひとを傷つけないように。
狐人的読書メモ
・『三羽の小鳥/グリム童話』の概要
KHM96。原題:『De drei Vügelkens』。
以上、『三羽の小鳥/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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