狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『金の山の王さま/グリム童話』です。
文字数5500字ほどのグリム童話。
狐人的読書時間は約12分。
黒い小人との契約をうやむやにし、妃との約束を破り、巨人の秘宝を強奪した王の末路。社会で生きたければ周りのことも考えなくてはならないが、一人で生きる道もあるのだろうか……
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
男の子と女の子、二人の子供を持つ商人がいた。全財産を積んだ船が沈没し、貧乏になった。そこへ黒い小人が現れた。家に帰り、最初に脚に当たったものを十二年後にわしにおくれ、さすれば大金をあんたにやろう。商人は気楽に考えて契約したが、家に帰って最初に脚にじゃれついてきたのは大切な息子だった。そして屋根裏に金貨の山が積まれていた。
十二年後、息子は賢い青年に育っていた。青年は父親の隠している不安に気づき、そのわけを尋ねた。すべてを聞いた青年は「大丈夫です」と父親を励まし、ともに約束の場所に向かった。青年は黒い小人と話し合い、自分が小舟に乗って川を流れ、あとは運命にまかせるということで折り合いがついた。青年の乗る舟は川で転覆し、父親は息子の命はないものとあきらめたが、しかし彼は転覆した舟の小さな空間にいて生きていた。
青年はある国に流れ着いた。そこには不思議な城があり、中には一匹の蛇がいた。蛇はその国の王女だといい、青年が何も話さずに三日夜を明かせば、自分は元の姿に戻れるのだと語った。青年は夜に現れる黒い男たちの暴力に耐え、三日目の夜に沈黙を守ったまま首をはねられた。しかし人間の姿に戻った王女は命の水で青年を生き返らせ、二人は結婚し、青年は金の山の王になった。
それから八年の歳月が流れ、二人の間には王子も生まれ、幸せな生活を送っていたが、ふいに王は父親のことを思い出し、家に帰りたいと妃に言った。妃はそれをいやがったが、それでも王は故郷へ帰ることになり、妃は一つの指輪を王に与えた。その指輪を使えばどんなところへも一瞬で行けて、他のものを呼び寄せることもできるが、決して私を呼び寄せることはしないでください。それが王と妃の交わした約束だった。
王は故郷へ帰ったが、王の立派な服装を見た門番は怪しんで町の中に入れようとしなかった。王は羊飼いと服を交換して町に入ることができた。再会した両親は彼が自分の息子だとは信じることができなかった。王は自分の話が本当であることを証明するため、指輪で妃と王子を呼び寄せた。妃は王から指輪をとりあげ、王子を連れて城に帰ってしまった。
王は城へ帰る途中に三人の巨人に出会った。巨人たちは遺産相続の配分でもめて、王に仲裁を頼みこむ。遺産とは、魔法の剣、透明マント、どこでも靴だった。王は三つのアイテムを鑑定するといって騙し取り、どこでも靴で金の山にひとっとびで帰った。
城では妃が新しい王を迎えて結婚式を挙げようとしていた。王は透明マントを使って城の広間へ行き、自分こそが正当な王であることを宣言したが、廷臣たちはそれに嘲笑をもって返した。王は怒り、魔法の剣を使って自分以外のすべての首をはね、たったひとりだけの金の山の王となった。
狐人的読書感想
う~ん、バッドエンドでしたね。黒い小人を言いくるめ、妃との約束を破り、巨人の秘宝を強奪した王の末路、自業自得だとは思いますが、やっぱり少しかわいそうな気もしてしまいます。
人間自分の身が一番かわいいとはいえ、周りのひとのこともある程度は考えて行動や発言をしないと、社会からつまはじきにされてしまうのだと思えば、何かを学ばされた気にもなります。
しかし力ある者は他者を虐げて一人で生きる道もあるのでしょうか、本人がそれで幸せに生きていけるのならば、それはそれでいいのかもしれないとも思ってしまいます。もちろん虐げられる側になれば、とてもいいとは言えないわけではあるのですが。
約束を守る誠実なひとでありたいと思った、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
約束を守る誠実なひとでありたい。
狐人的読書メモ
・『金の山の王さま/グリム童話』の概要
KHM92。原題:『Der König vom goldenen Berg』。
以上、『金の山の王さま/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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