篠笹の陰の顔/坂口安吾=篠笹の陰の顔とは幼女の笑顔のことである。

狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

篠笹の陰の顔-坂口安吾-イメージ

今回は『篠笹の陰の顔/坂口安吾』です。

文字数6000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約17分。

篠笹の陰の顔ってどんな顔だと思う?
じつは女子小学生の笑顔なんだ。
でも女子小学生はじつは女子大生だったんだ。
つまりアニメの美少女キャラみたいな幼女の笑顔の物語だ。
……違うか?

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

神田のフランス語学校に通っていたとき、私は高木と友達になる。高木は子供のように語学を吸収し、ときに子供のように笑ったりする。何度も自分の命を絶とうとして、何度も失敗している。

ある夏の早朝に電報がきて、私は渋谷の高木の家に向かう。すると女子小学生が出てきて、私の応対をする。

「兄がまたやりそうなんです。様子を見に行っていただきたいのですけど。横須賀の旅館です。もう亡くなっているかもしれませんけど」

女子小学生は微笑しながら言う。お弟子さんに長唄を教えているらしい、高木の母の三味線の音が、二階から聞こえてくる。小学生にこんな依頼をさせるとは。私はうんざりせずにはいられない。

高木は逗子へ海水浴に行っていただけだった。数日後、私に高木の妹からの詫び状が届く。つぎに高木に会ったとき、妹の歳を聞くと、19歳だという。女子小学生ではなく女子大生だったのだ。私は奇跡を信じる思いがした。

高木はまもなく脳炎で亡くなる。発狂して病床に伏す姿は無残だったが、最期はむしろ安らかな顔をしていた。お通夜の際、私は高木の妹から、彼が好色漢だったという話を聞く。

「スケベは私たちの親ゆずりの宿命ですから仕方ありません」

笑いながら言った。彼らの父は政治家で、高木は妾腹の子であった。

高木の妹は中央公論社の女記者になった。この正月、知り合いから彼女の話が出て、「あの人18,9ですか?」。もう30のはずだが、いまでもそんな歳に見えるらしい。

最近私はキリスト教の本ばかり読んでいる。そこに出てくる女たち。命の危機が迫っても、主を捨てなかった女たち。その面影を思い浮かべると、私はふと、庭の篠笹を思いだし、さやさやと幽かにゆれる葉陰に、透明な幼い笑いを見るのだ。

それは高木の妹の笑顔であった。

狐人的読書感想

これは坂口安吾さんの亡友である長島萃ながしまあつむさんについて書かれた短編小説なのだそうです。

とはいえ、どうしても、高木の妹の印象が強く残りますよね、この作品(タイトルの『篠笹の陰の顔』からして、高木の妹の笑顔を示していますしね。途中までは高木の安らかな最期の笑顔に絡めるのかと考えていたのですが)。

女子小学生かと思っていたら、じつは女子大生だった。30歳でも18,9歳に見えるって、「若く見える!」といえばうらやましいようにも思えますが、「幼く見える!」といえば、どうなんでしょうね?

日本人女性の顔は幼く見える、というのはよくいわれることのようですが、日本のアニメとかでも、幼顔の美少女キャラクターが出てくるものが多いように思います。

幼女趣味、なんていうと、嫌厭するひともいるかもしれませんが、日本のそういったアニメ好きのひとたちにいわせると、二次元と三次元の幼女はまったく別物なのだそうです。

だから冷ややかな目で見られたりするのは心外らしいのですが、まあ、「現実と虚構は違う」という意見も「現実と虚構を結び付けてしまう」意見も、どちらもわかる気がしますね。

てか、アニメだけではなくて、アイドルとかでも幼さの残る少女っぽい娘ばかりなのも、前述と同様のことがいえるのかもしれません。

こうした現代の風潮を見るに、やっぱり「男は若い女の子が好きなんでしょ?」というのはありますよね、絶対。これは何も現代ばかりのことではなくて、昔からそうだというのが狐人的にはとても興味深いです。

世界的に見ても歴史的に見ても、幼い少女と結婚している偉人や有名人、貴族や戦国武将は枚挙にいとまがありません。

それは一説によれば「子孫繁栄のための効率的な本能」に根ざしていたり、「成人女性に対するコンプレックス」などが関係していたり、あるいは「子供だから子供が好きなんでしょ?」とかいう考え方もあるみたいですね。

少女を狙った犯罪があったり、子供たちの健全な育成を思ったりすれば、やはり規制は必要でしょうし、とはいえ節度を持ってそういうアイドルやアニメを楽しんでいる人たちを迫害視するのも不自然になってきているような気がするし、これって少子高齢化問題とかにもひょっとしてつながってくる話なのかなとか考えてみると――いつまでも興味は尽きないのですが……って、僕はいま何の話をしているんでしょうね?

『篠笹の陰の顔』は幼女について書かれている小説なので、幼女について読書感想を書いてみたという、今回の読書感想のオチです(……違うか?)。

読書感想まとめ

篠笹の陰の顔とは幼女の笑顔のことである!(違うか?)

狐人的読書メモ

・『そのとき私は自分のひどい我儘わがままに気がついた。友達の不幸な立場に思いやりを持たないことに気付いたのである。』――まさにそういうことがある。親しくなって、気安くバカ話とかしていると、友達に対する気遣いを忘れているのに、ふと気づく。それで友達をひどく傷つけてしまったりしていると思う。気をつけたいと思う。

・『篠笹の陰の顔/坂口安吾』の概要

1940年(昭和15年)『若草』にて初出。坂口安吾の亡友である長島萃について書かれている小説。が、タイトルの意味は、彼の妹の幼い笑顔を指す。彼女のイメージは、のちの『桜の森の満開の下』『夜長姫と耳男』に登場する、幼さと残酷さを秘めた独特な女性像に通じているのかもしれない。

以上、『篠笹の陰の顔/坂口安吾』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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