狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『豚と猪/夢野久作』です。
文字数280字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約1分。
食べることから寝ることまで人間がなんでもやってくれる、同じ親類でもこんなに身分が違う、と豚が猪に自慢している。今にきっと罰が当たる、と猪は言う。その結末やいかに……。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
(今回は全文です)
『豚と猪/夢野久作』
豚が猪に向って自慢をしました。
「私ぐらい結構な身分はない。食べる事から寝る事まですっかり人間に世話をして貰って、御馳走はイヤと言う程たべるからこんなにふとっている。ひとと喧嘩をしなくてもいいから牙なんぞは入り用がない。私とお前さんとは親類だそうだが、おなじ親類でもこんなに身分が違うものか」
猪はこれを聞くと笑いました。
「人間と言うものはただでいつまでも御馳走を食わせて置くような親切なものじゃないよ。ひとの厄介になって威張るものは今にきっと罰が当るから見ておいで」
猪の言った事はとうとう本当になりました。豚は間もなく人間に殺されて食われてしまいました。
狐人的読書感想
狐人的にこれは結構考えさせられるテーマなんですよねえ……、食べられるために飼われている動物の存在意義というか……。
動物は自然の中で自由に生きられるのが一番幸せに思えるのですが、しかし自然には自然の厳しさがあり、そこで生きることが必ずしも幸せだとは限りません。
家畜は家畜となることでより広範に多く繁殖できることになり、人間にエサを与えられることで飢える心配もなく生きられます。
とはいえいずれは食べられる運命にあるわけで、それが幸せなのかといえば決してそうとは思えません。
しかし自然の中にいれば結局は人間に食べられるよりも早く命を失う結果になるかもしれず、「長生き=幸せ」とするならばどちらが幸せであるかは一概にはいえないような気がします(結果論ではありますが……)。
結局幸せとか不幸とかは人間がそのものを見て勝手に抱く感情であって、家畜はそんなことを考えてもいないわけで、気にするのがおかしいのかなという感じはします。
とはいえ「命をいただいている」という感覚は大事なような気がしています。
そういうのも人間のエゴでしかないのでしょうが、なかなか捨てることのできない感情です。
もしも家畜が思考して話ができるようになったら、人間の生活はどうなるんだろうな、って考えることがありますが、いまさら肉を食べるのをやめることはできないだろうなって気がします。
狐人的になかなか興味深いと思った、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
人間はただでエサをくれる親切なものじゃない。
狐人的読書メモ
・ペットについてもまたしかり。
・『豚と猪/夢野久作』の概要
1923年(大正12年)11月2日、『九州日報』にて初出。九州日報シリーズ。初出時の署名は「土原耕作」。家畜についての人間のとるべき姿勢は、狐人的に興味深いテーマだと思っている。
以上、『豚と猪/夢野久作』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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