狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『骸骨館/海野十三』です。
文字数8000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約19分。
ダイヤモンドが隠されていると噂される廃工場、そこで肝試し大会をしていた子供たち、ある晩一人の見知らぬ男が現れて……。ジュブナイル小説。遊び場を失くした現代の子供たちは不幸か?
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
終戦後、ある軍需工場にダイヤモンドが隠匿されていると噂されたが、捜索しても結局見つけることはできなかった。子供たちがその廃工場を遊び場にした。身体に白粉と鍋墨を塗って骸骨に扮し、肝試し大会をはじめたのだ。
このお化け屋敷は連日連夜大盛況だった。しかしある晩、子供たちがいつものように骸骨となって廃工場の舞台に出ると、ぶるぶるふるえる一人の男が草むらの中から現れた。
「私が盗りました。館内防空壕の奥に穴を掘って埋めました。ダイヤはお返ししますから、どうぞ私を地獄へはやらないでください」
「いや、ゆるさぬぞ。きさまは地獄へ連れて行く。ここは地獄の一丁目じゃ」
男は卒倒し、子供たちは警察を呼んだ。男はダイヤを盗んだ犯人で、すぐに逮捕された。その後、廃工場の建物は取り壊されて、あとには広いグラウンドができた。子供たちは犯人逮捕とダイヤ取りもどしのご褒美に野球道具をもらい、喜んでグラウンドで遊んだ。
狐人的読書感想
ジュブナイルですかね。
外に子供たちの遊び場が少なくなっている、といったところは現代でも共感を覚える部分でしたが、廃工場跡地にグラウンドができるハッピーエンドは想像しにくく思ってしまいますね。
いまならビルとかマンションとかになりそうな気がします。子供たちは普通に怒られておしまいでしょうね。
廃工場で肝試し大会というのはおもしろそうですが、これも現代ではむずかしそうに思えてしまいます。
夜、子供たちだけで遊ぶのはやっぱり危ないですものね。本作ではうまく盗人の男を退治できたからよかったものの、まあ現実問題としてこんなにうまくはいかないでしょう。
外に遊び場が少なくて現代の子供たちはかわいそうだ、という意見がありますが、しかし現代にはゲームやマンガやアニメなど昔にはない遊びもたくさんあるわけで、どちらがいいとか悪いとかは一概には言えないような気もします。
外と中と、バランスよく遊べる環境があればベストなんでしょうが、まあそれもなかなかむずかしそうですし、どちらか一方があればそれで幸せだとすべきなのかもしれません。
外で遊ばない子供の身体能力の低下が叫ばれたりもしていますが、しかし逆に身体能力の必要ない世の中になっているともいえるわけで、それが時代の移り変わりというもののようにも思えるのです。
もはやこういった話をなつかしいと感じない世代もいるんだろうなあ、なんて想像してしまった、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
いまでも肝試し大会とかあるんですかね?
狐人的読書メモ
・「ジュブナイル」は「子供らしい」「少年少女の」といった意味を持つ英語。ティーンエイジャーを対象とする小説の一ジャンルとしても。現在では「ヤングアダルト」とも。
・『骸骨館/海野十三』の概要
1946年(昭和21年)10月、『こども朝日』にて初出。のちに『海野十三全集第12巻 超人間X号』(三一書房、1990年―平成2年―)に収録。海野十三のジュブナイル小説。
以上、『骸骨館/海野十三』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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