葡萄水/宮沢賢治=酒税法っていつも納得できませんね。

狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

葡萄水-宮沢賢治-イメージ

今回は『葡萄水/宮沢賢治』です。

文字数4000字ほどの童話。
狐人的読書時間は約9分。

昔の酒税のお話。農民の楽しみ、自家製酒は国の都合で密造酒にされた。今の酒税のお話。庶民の楽しみ、税率の安い第三のビールは(実質的に)値上げされる。納得できない庶民のきもち……。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

ある日の昼間、耕平は野ぶどうをとってきた。夜、夫婦で房をむしり、桶に入れて蓋をした。三日目の晩、それをしぼってぶどう水を作った。耕平はそれに砂糖を入れようと提案した。ぶどう水に砂糖を入れるとそれはぶどう酒(密造酒)になり、税務署に見つかれば罰金が科されてしまう。それでも耕平はぶどう水に砂糖を入れて、ビール瓶二十本のぶどう酒を作った。ところが六日後、どこかから「ボッ」という音が聞こえる。はじめは遠くで火山でも噴火したのかと耕平は思った。しかしそれは家の床下から聞こえたのだ。耕平が確認してみると、ぶどう酒の瓶は発酵して全部割れてしまっていた。

狐人的読書感想

う~ん。「悪いことはできないよ」ということ? そういえば、密造酒の話は『税務署長の冒険』でも描かれていましたね。

いままで普通にやっていたことを、いきなり禁止にされて、しかも高い税金をとられるようになって、正直納得できない気持ちは当時の農民たちのあいだにあったんでしょうね。

国だって酒造りが悪いことだから禁じたわけではなくて、ただ税金をとりたかったから禁じたわけなんでしょうし。

貧しい農民に高いお酒は買えない、だからせめて自分たちで作ったお酒を楽しみたい――なのにそれさえ禁じられ、高い税金をとられてしまう――なんとなく(貧しい農民代表としての)耕平に肩入れしたくなってしまうのは、僕だけでしょうかね?

現代でもたとえばビールの税率が高く、それで第三のビールなどが登場し、安価な第三のビールを庶民が楽しみ始めたら、今度は全体の酒税収入が減ってしまったので、酒税法改正、ビールの税額一本化――結果的に第三のビールの値段は上がり、またしても庶民の楽しみは奪われてしまう。

(まあ、ビールが安くなるからそっち飲んでねってことなんでしょうけれど、全体としてお酒に使うお金―税金―は上がるというしくみですよね……)

結局、国の勝手に振り回されるのはいつも庶民。とはいえ、やっぱり悪いと決められてしまったことはしてはいけない。

そういうことが描かれた童話なんですかねえ、これは。

なんだかやるせなさを感じてしまった、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

酒税法っていつも納得できませんね。

狐人的読書メモ

・とはいえお酒は飲めないけれど(という今回のオチ)。

・『葡萄水/宮沢賢治』の概要

生前未発表作。初期形は大正10年か11年、後期のものは大正12頃か? 貧しさは悪か、貧しい心が悪なのか……。

以上、『葡萄水/宮沢賢治』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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