狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『カルメン/芥川龍之介』です。
文字2000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約5分。
内在する悲しみを踊りで表す。憧れは失望から哀しみへ。「僕」とホセの気持ちのシンクロ。ファム・ファタール。男なら必ず一度は危険な女に惹かれてしまうもの……らしい。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
大正時代、ロシア革命前後のこと。ロシアの歌劇団が日本の帝国劇場で『カルメン』を上演し、僕は友人の舞台監督Tと一緒にそのオペラを観劇した。
僕のお目当ては女優のイイナ・ブルスカヤで、その登場を心待ちにしていたが、出てきたのは別の女優だったのでがっかりした。
Tに事情を尋ねると、ある事件があったことを教えてくれた。旧帝国の侯爵の一人がイイナを追いかけてやってきた。しかしイイナはアメリカ人商人の世話になっていた。侯爵は絶望して、昨夜ホテルの部屋で首を吊ったという。
ところがしばらくして、イイナは五、六人の外国人と一緒にボックス席へ入ってきた。そこにはあのアメリカ人商人もいて、イイナは愉快そうに談笑していた。
それから二、三日後の晩、レストランで食事をしていると、Tが「イイナはあの晩以来左薬指に包帯をしている」と指摘した。
イイナは壁にたたきつけた皿の欠片をカスタネットにして、カルメンのように踊ったという。
僕らはイイナの表に出せない哀しみを思った。
狐人的読書感想
雰囲気だけでも楽しめるのですが、『カルメン』を知っていたほうがより楽しめるみたいですね。
(僕は名前しか知りません)
そんなわけで『カルメン』についてちょっと調べてみました。
『カルメン』はもともとフランスの小説(プロスペル・メリメ著)で、スペインを舞台に描かれています。それがのちにオペラとしてヒットし、いまや「カルメンといえばオペラ」のようです。
とある兵士のドン・ホセが、カルメンという女に誘惑されて夢中になり、婚約者を捨てて軍隊を脱走、しかしカルメンは闘牛士に心変わりし、それに嫉妬したドン・ホセはカルメンを追って刺してしまいます。
ドン・ホセの気持ちの変遷は「カルメンへの『憧れ→失望→哀しみ』」となっていて、それは芥川龍之介さんの『カルメン』の「僕」が感じた気持ちとシンクロしているみたいです。
芥川龍之介さんの『カルメン』も本家本元の『カルメン』も、悲恋ということがひとつのテーマのようですが、どちらもヒロインが印象的でした。
とくに本家の「カルメン」はフランス語で「ファム・ファタール」――「男にとっての運命の女」または「男を破滅させる魔性の女」を示す、そのような女性キャラの代名詞的な存在なんだとか。
一説では、男なら必ず一度はファム・ファタール、危険な女に惹かれてしまうものなのだとか。
(……ルパン三世の峰不二子的な?)
人物造形のモチーフとしてたしかに興味深いキャラクターです。
そんなわけで本家の『カルメン』も読んでみたく思った、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
カルメンを知ればカルメンが楽しめる。
狐人的読書メモ
・『カルメン』をもとにした芥川龍之介作品には本作とは別に『偸盗』がある。
・『カルメン/芥川龍之介』の概要
1926年(大正15年)『文藝春秋』にて初出。内在する哀しみを身体で表現する。ドラマツルギー? なんとなく『手巾』を思い出した。
以上、『カルメン/芥川龍之介』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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