狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『兄と妹/グリム童話』です。
文字数5000字ほどのグリム童話。
狐人的読書時間は約16分。
兄と妹は生き抜くために家出する。
そのアグレッシブさを見習いたい。
妹が主役の話、
アニメやラノベやマンガやゲームで、
最近多くないですか?
どうやら昔から多かったみたいです。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
母が亡くなると意地悪な継母がやってきて、兄は妹を連れて家を出る決意をする。家を出た兄妹は森に辿り着く。兄はのどが渇いたので、兄妹そろって泉を探す。
意地悪な継母は魔女で、兄妹の後をこっそりつけて、森の泉すべてに魔法をかける。
ようやく泉を見つけると、兄は水を飲もうとするも、妹が慌ててそれを止める。妹は「私を飲むと獣になる」という泉の声を聞いたのだ。
三つ目の泉を探し当てたとき、兄は我慢できず、ついに泉の水を飲んでしまう。兄は小鹿になってしまう。
妹と小鹿は悲しみに暮れる。妹は小鹿を絶対に見捨てないとの誓いを立てる。妹と小鹿はさらに森の奥へと入っていく。
森の奥には小さな家がある。妹と小鹿はそこで暮らすことにする。その生活は、もしも小鹿が人の姿でさえあったなら、とても幸せなものだったに違いない。
ある日、その国の王が狩りをするため森を訪れる。角笛の響きが聞こえてくると、小鹿は居ても立っても居られず、晩には帰ることを妹に約束して、飛び出して行ってしまう。
一日目、二日目。三日目に小鹿の後をつけてきた王は、家の中にいた美しい妹に一目惚れをする。王に結婚を申し込まれた妹は、小鹿と一緒にいさせてもらうことを条件に申し出を承諾する。妹は妃となり、小鹿は大切に育てられ、楽しい日々が過ぎる。
あるとき、魔女の継母は兄妹が城で何不自由なく暮らしていることを知って嫉妬する。魔女の醜い娘も妹を妬む。魔女の母娘は妃が王子を産むタイミングを見計らい、女官に化けて城に潜入する。
魔女の母娘は妃をお風呂へ入れるふりをして窒息させる。娘は妃に化けてベッドに入る。王はそのことに気づかない。
その日の夜から、妃は幽霊となって王子の世話をしに現れるようになる。それを目撃した乳母が王に報告する。王が待ち伏せして確認する。「君は私の妻だ」と王が呼びかけ、「はい、私はあなたの妻です」と妃が応えると、神の恩寵が降り注ぎ、妃は復活する。
悪事を暴かれた魔女は火刑に、魔女の娘は八つ裂き刑に処される。魔女の魔法の効力が消え、小鹿は人間の姿に戻る。
兄妹は生涯幸せに暮らしたという。
狐人的読書感想
ふと、思ったのですが、グリム童話って、妹が活躍する話多いですね。近年のアニメやラノベやマンガやゲームなどでも、妹が活躍する話は多いように感じていて、なんだかおもしろく思ってしまいます。
完全なる余談でしたが。
さて。
『兄と妹』、ググってみると、けっこう情報が出てくるんですよね。僕ははじめて読んで知ったのですが、グリム童話の中ではまあまあ有名な話なのかもしれません。
『ヘンゼルとグレーテル』と混同されることがあるといいますが、『12人の兄弟(KHM9)』であったり『六羽の白鳥(KHM49)』であったり、他にもこの類話がいくつもあります。
やはり妹という存在は、昔から特別なものだったのかもしれませんね。
また話が逸れましたか。
今回もっとも印象に残ったのは冒頭の兄妹の家出シーンでした。
家出といえば思春期の登竜門的なイメージがありますが、実母がなくなってしまい、意地悪な継母がやってきていじめられて、犬以下に扱われ、生命の危機さえ感じたからこその家出となれば、全然印象が違うように思えてきます。
もしも自分が兄妹と同じ境遇に置かれてしまったら、と想像してみるに、はたして兄と同じように家出する決断ができたかどうか、わからないところです。
食事は残り物のパンくずだけだったとしても、とりあえず雨露をしのげる家にいたいと思うような気がするし、また外に出ていったとしても必ず幸せになれるとは限らず、最悪のケースを想定してしまうと、なかなか動けなくなってしまうような気もするんですよね。
まあ、最悪のケースを想定して、なお耐えられない扱いを受けてしまえば、案外すんなりと家出できるかな、だどとも思うのですが、そう考えると、満足もなく不満もない現状が人を停滞させてしまう(ぬるま湯につかる)みたいなことを連想して、ちょっと考えさせられてしまうところです。
現状が不満なら、常にそれを良くしようとアグレッシブに行動しなければならないはずなのですが、現状に不満があっても、ある程度いまの居心地がいいと、なかなか行動できないように思います。
いまの世の中で、家出はよくないことかもしれませんが、家出した兄妹のアグレッシブさは見習いたいように感じました。
とはいえ、素朴な疑問として思うのですが、兄妹のお父さんはいったい何をしていたんでしょうね。
いつもこのようなグリム童話を読んでいて、なんで主人公たちは自分の家に帰ったり、あるいは善良な(だと思われる)お父さんを迎えに行ったりしないんだろう、と不思議に思ったりもするのですが、子供を助けられない親を、子供が助ける必要はないという教訓が含まれているんですかねえ……。
(迷惑ばかりかける親の面倒を、どうして子供が見なきゃならんのだ、みたいな? だとしたらちょっとシビアな感じも受けますが)
まあ、深読みしなければ、単純に子の自立の意味が含まれているだけなのかもしれませんが、ちょっと気になってしまう部分でした。
読書感想まとめ
兄弟のアグレッシブさを見習いたい。
ところで、お父さんはどこへ消えた?
狐人的読書メモ
この童話のルートヴィヒの挿絵には、話に登場しない天使が描かれているのだが、これは常に子供たちを見守る者としての守護天使であるらしい。
・『兄と妹/グリム童話』の概要
KHM11。聞いたことなかったが、意外と知られているグリム童話なのだろうか? 妹が活躍するストーリーは現代のアニメやラノベやマンガやゲームに通じている感じておもしろかった。
以上、『兄と妹/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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