骸骨の黒穂/夢野久作=山窩、部落問題って聞いたことある?

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

骸骨の黒穂-夢野久作-イメージ

今回は『骸骨がいこつ黒穂くろんぼ/夢野久作』です。

文字数15000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約44分。

とうとう来やがった、かわいそうだが悪魔様の犠牲だ!
発表当時、部落差別を助長するとして激しく糾弾された作品。
しかし実際に読んでみると――
物語の捉え方って人それぞれで難しい。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

明治半ばにあったある事件。

筑前ちくぜん直方のうがたの町外れに一軒の居酒屋があった。主人は藤六とうろくといい、六十歳くらいの独身の老爺おやじで、何やら後ろ暗い過去を背負っているようではあったが、客の扱い方がうまく、店先に集まってくる乞食に施しを与えるなどやさしい一面もあり、皆に親しまれていた。

明治十九年の暮れ、この藤六が突然亡くなった。警察の調べではとくに不審な点は見られず、何らかの中毒だろうということで処理された。あえていえば一点、仏壇に人間の頭蓋骨が祀られており、黒穂が供えられていたのが異様ではあったが、無縁仏の供養をしていたのでは、ということで片がつく。

身よりのない藤六のため、近隣の者たちが葬式を挙げていると、藤六の甥を名乗る三十二歳の銀二という男がやってきた。話のつじつまが藤六の戸籍謄本と一致したので、銀二は居酒屋を引き継ぐことになる。

翌、明治二十年の桃の節句の晩、十九、二十歳くらいの娘が一人、居酒屋に侵入しようとして銀二に捕らえられた。銀二は娘を手篭めにした後、警察に突き出す。警察で、一瞬のスキを突いた娘は、銀二に短刀を突き刺し、自害した。

事件の真相は以下のようなものだった。

藤六は山窩(サンカ)という放浪民の親分で、施しを与えていた乞食たちはかつての子分だった。「骸骨の黒穂」はユダヤ教から伝わってきた山窩の儀式で、どんな過去もバレないようにする効力があるという。

銀二の正体は「丹波小僧」の異名で知られる悪党で、藤六が亡くなった事件は、店を乗っ取るために銀二が行った犯行だった。

娘は山窩の一族で、お花という名前だった。銀二を手にかけた理由は復讐で、お花は藤六の落とし子だった。

そして銀二もまた、藤六の落とし子だった。銀二自身そのことを知らず、またお花も銀二が異母兄妹であることを知らなかったはずだが……、お花には何か感じるところがあったのかもしれず、ひょっとしたらそれが自害の理由であったかもしれない。

狐人的読書感想

今回はいかにも夢野久作さんらしい小説でした(僕の勝手なイメージによる感想ですが)。

本作品は当時、「被差別部落への差別を助長する」として新聞に取り上げられて、激しく糾弾されたそうです。

たしかにラストはそのような描写になっているかもしれませんが、全体としては部落差別よりも、警察機構に代表される国家権力の、下層民に対する差別意識が描かれているように感じられます。

これを読んで差別を助長すると捉えるのか、はたまた差別はよくないことだと捉えるのか――人それぞれに物語の捉え方の違うこと、それにより生ずる言論の難しさを思います。

部落差別や同和問題というのは、いまではあまり聞かれなくなったようにも思います。

被差別部落というのは、獣の皮をはいで売ったりするような、人々の偏見を招くような「穢れた仕事」といわれる職業の人、またそのような職業を押しつけられた人たちが、或るときの政治権力に追いやられてできたものだそうです(もっと以前からその下地はあったそうですが)。

ときの為政者が、過酷な年貢収奪にあえぐ農民たちの不満のはけ口として、「上見て暮らすな、下見て暮らせ」といったように、農民たちの不満を自分から逸らすために作られたものだとも聞きます。

貧困と重税と。極限状態にある人間に、「差別が悪いことだ」などという正常な判断力は働かなかったでしょう。なので、部落民への差別や迫害は、精神的にも肉体的にも相当ひどいものだったといいます。

近代になっても被差別部落出身者に対する就職差別や結婚差別があり、落書きや差別表現を取り扱った事件が発生しているそうですから、やはり差別というものの根の深さを実感させられてしまいます。

いまでは「部落」という言葉を知らない人も多いのではないでしょうか。「寝た子を起こすな」と呼ばれる考え方があるように、差別教育をすることでかえって差別意識を生むことになるのではないか、といった懸念を思うときがありますが、しかしいろいろな差別はいまでも世界的に存在していて、差別を学ぶことで差別をなくそう、という試みは決して間違っていないように感じています。

前述の通り、当時「差別を助長する」とされた本作品も、しかし反面教師的に読めば逆に差別をなくすための一助となる気がして、とはいえ作品の捉え方には個人差があるので、なかなか難しいことをいっているかもしれませんね。

そのあたりを教育でどう補っていくか、というあたりに、真の差別教育の在り方があるような気がするのですが……、て、何か長々と的外れなことを書いてしまっている気がひしひしとしてきました。

そもそも、山窩(サンカ)というのは厳密には部落民ではないんですよね。士農工商の身分制度があった時代、非人よりも低い身分にあった放浪民が基本的には山窩と呼ばれるそうです。

ただし、時代によってかなりの差異があり、明確な定義が難しいらしく、部落を渡って暮らしていた人もいたために、部落民と混同されてもとくにおかしくはないのだとか。

作中では、ユダヤ教から伝えられたとされる「骸骨の黒穂」に代表されるような、独自の風習や文化を持っていることが垣間見られますが、「山の民」を連想させられて興味深いんですよね。

創作の題材としてもよさそうなので、またじっくりと調べてみたいな、というふうに思いました。

読書感想まとめ

ちょっと的を外しているかもしれませんが、「差別はよくない!」ということで!

狐人的読書メモ

いろいろ言っても、本作は人間がどうしようもなく惹かれてしまう物語だと思う。奇怪なものの魅せ方など、学べるところは多いように感じる。

・『骸骨の黒穂/夢野久作』の概要

1934年(昭和9年)『オール読物』にて初出。水平社の『水平新聞』(1935年1月5日号)にて、被差別部落への差別を助長するとして糾弾されているが、その本質は冷たい警察(国家権力)と人情的な下層民を対比して描いているように思われる。

以上、『骸骨の黒穂/夢野久作』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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