佳日/太宰治=昔の日本人女性の美しい心は今でもあると思う?

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

佳日-太宰治-イメージ

今回は『佳日/太宰治』です。

文字数15000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約39分。

日本人女性の心の美しさ。
だけどそれが戦争によって生まれたのだとしたら
なんだか悲しい。

物知りは偉そうに見える。
だけど真の物知りは周りに気を遣っている。

文豪は友達思いの人多いです。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

これは戦争へ行っている夫たちに、妻がしっかり家を守っていることの、ささやかなよき知らせとなるのではないか、と書かれた小説である。

「私」はとある友人の結婚の世話をすることになる。

この度めでたく結婚することになったのは、大隅おおすみ忠太郎君という「私」の大学の同期だった。大隅君は博識ぶっていばっているというので、周囲にあまり評判がよくなかった。

大隅君は大学を卒業して雑誌社に勤務するが、そんな性格が災いしてか、なかなかいい仕事をもらえなかった。そこで北京にわたる決意をする。北京は彼の性格にぴったり合っていたようで、ある大会社に勤めて活躍している。

大隅君に結婚話が持ち上がったのは、彼が北京にわたって5年後のことだった。しばしば音信を交わしていた「私」のもとに、ある日大隅君から結納を頼むと電報が届く。もともとは別の友人が世話していたのだが、その友人が病気になってしまい、後を任されてしまったのだ。

「私」が結納を届けに先方の小坂氏の家に行くと、厳然とした父と三人の美しい姉妹が温かく迎えてくれた。小坂家は士族の家で、しかしそれを鼻にかけることもなく、とても穏やかな家族だった。

長女の夫は戦争で亡くなり、二女の夫は出征中で、大隅君の嫁になるのは三女の正子さんだった。家柄、人格、容姿――どれをとっても申し分ない。

後日結婚式のために日本に帰ってきた大隅君に「私」がそのことを伝えると、大隅君はとくに感動した様子も見せずそっけない態度をするばかり、「私」はそんな大隅君が不満だった。

結婚式当日、大隅君は気持ちの大きさを装うためにあえて礼服を準備しなかった。しかし式場に入ると不安になったらしく、「私」に礼服を用意するよう頼んでくる。「私」は式場に問い合わせてみるも、急なことで貸衣装の用意はないという。

しかたなく「私」は小坂氏に相談した。小坂氏は夫の礼服を貸すよう二女にいいつけるが、二女は笑いながらもそれを断固として拒否した。長女も笑顔のうちに一瞬厳粛な表情を閃かせて言う。

「男の人にはわからない。お帰りの日まで、どんなに親しい人にだって手をふれさせず、なんでもそのまま置かなければなりません。うちの人のを貸しましょう、こんな晴れの日に役立つのなら、きっとゆるしてくださるでしょう」

大隅君は気難しく、たしかにいばっているところがある。が、我々の恩師によれば、それは感覚がすばらしくよいくせに表現がひどくまずいだけなのだという。「私」もいまはその意見に同感する。

小坂氏の長女が亡き夫の礼服を持って控室に入ってきたとき、大隅君は涙を流しながら笑っていた。

狐人的読書感想

美談という気がします。

小坂家の人たちはとてもおだやかな性格で、それでも士族の家柄ということは、お父さんの発言にはかなりの影響力があったはずですが、二女は出征中の夫の礼服を貸すことを笑いながらもはっきりと拒否しています。

たぶん怒ってもよさそうなものなのに、この「笑いながら」というところにすばらしい人柄が表れているように感じました。

結局、長女が戦争で亡くなった夫の礼服を貸してくれることになりますが、「私」も大隅君もそのことにとても感動している様子でした。

「下の姉さんは、貸さなかったが、わかるかい? 下の姉さんも、偉いね。上の姉さんより、もっと偉いかも知れない。わかるかい?」

「わかるさ。」

留守中の夫のことを想い、懸命に家を守ろうとする女性の姿勢が描かれています。

こういった細やかな心配りみたいなものは、日本人女性の美しい心の在り方を感じさせられるところですが、現代でも変わらないものなのか、それとも失われてしまったものなのかはちょっと判断に迷います。

出張など、夫が長期不在である状況は現在でもありうることですが、その夫の持ち物を帰ってくるまで大切に保管しておこう、みたいな気持ちで生活している妻っているんですかね?

別に夫は戦争に行っているわけではないので、そんなに思いつめていては疲れてしまうでしょうし、その気持ちを持っていないからといって、悪い妻というわけではないのですが、なんとなく現代人も見習うべき美談という気がしたのです。

とはいえ、そういう尊ぶべき気持ちが戦争という悲しい出来事から生じている、というは複雑な思いがします。

つらいことや悲しいことがないと、人はたしかに大切な何かを見失いがちになってしまうような気がします。

しかしながら、つらいことや悲しいことは起こってほしくないのです。

つらいことや悲しいことがない世界を目指しつつ、そこから学ばなければならないことは読書や映画などの疑似体験で学んでいき、平和な世界ができたらいいのに――とは思いますが、なかなかそんな簡単なことじゃない、というのが現実世界といった感じです。

さて、話は変わりますが、昔は友達が結婚の世話まで焼いていたんですね。いまではあまりないことのように思いました。

友達のために何をするか、というのは昔と現代ではかなり違うのかもしれません。現代の人間関係は希薄化しているなどとよく聞きますが、これはその一因なのかもしれないと感じました。

とはいえ、ただ単に太宰治さんが友達思いだった、というだけのお話なのかもしれませんが。『佳日』は太宰治さんの体験がほぼほぼそのまま小説として描かれている作品なのだそうです。

文豪には変な人が多いイメージですが、友達思いの人も多い印象があります。周囲の偏見に惑わされず、友達の性質を深く分析していて、悪いところといいところをしっかりと把握したうえで付き合っているところなどは僕も見習いたいなとよく思います。

「私」の大隅君の分析もなかなか興味深く読めました。

「私」いわく、大隅君のように博識な人というのは、とかくいばっているように見られがちなようで、というのも、博識な人は自分の知っていることの十分の一以上を発表すると、物知りぶっているとか思われてしまうからだといいます。

しかし博識な人は物知りぶっているわけではなくて、むしろ相手に遠慮して、あるいはわかりやすく伝えるためにその知識のわずかなところしか話していないのに、その姿勢を偉そうに物知りぶっていると非難されるのは正当な評価ではない、というのはたしかにそのとおりだと思いました。

僕もテレビとかで雑学を見るとついつい人に自慢げに言いたくなっちゃうんですよね。そういうのって相手からすると不快だったりするのかもしれません。

あまり考えたことのないことだったのでとても印象に残りました。

雑学を誰かに話すときには注意したほうがいいのかな? いばりたがりや物知りぶっていると思われていないかなあ……。

読書感想まとめ

戦争が美談を生む。
しかし戦争はよくない。

戦争が尊ぶべき人の心をつくる。
だけど戦争はよくない。

3狐人的読書メモ

ちなみに作品タイトルの『佳日』は4月29日となっているが、これは昭和天皇の誕生日。

・『佳日/太宰治』の概要

1944年(昭和19年)1月、『改造』にて初出。実際の太宰治の友人、塩月赳の結婚のために尽力した体験が小説として描かれている作品。人物像や出来事などかなりありのままが写し出されているという。

以上、『佳日/太宰治』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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