狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『お金とピストル/夢野久作』です。
文字数460字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約1分。
泥棒とケチンボ、心理戦の行方やいかに!?
当ブログで1分で読めます。
クスリできます。おすすめします。
ケチンボは人生を損しているかもしれません。
ピストルの由来をリサーチ。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
(1分で読めるので全文をどうぞ)
『お金とピストル/夢野久作』
泥棒がケチンボの家へ入ってピストルを見せて、お金を出せと言いました。ケチンボは、
「ただお金を出すのはいやだ。その短銃を売ってくれるなら千円で買おう。お前は私からお金さえ貰えばそんなピストルは要らないだろう」
泥棒は考えておりましたが、とうとうそのピストルを千円でケチンボに売りました。ケチンボは泥棒からピストルを受け取ると、すぐにも泥棒を撃ちそうにしながら、
「さあ、そのお金ばかりでない、ほかで盗んだお金もみんな出せ。出さないと殺してしまうぞ」
と怒鳴りました。
泥棒は腹を抱えて笑いました。
「アハハ。そのピストルはオモチャのピストルで、撃っても弾丸が出ないのだよ」
と言ううちに表へ逃げ出しました。ケチンボはピストルを投げ出して泥棒を追っかけて、往来で取っ組み合いを始めましたが、やがて通りかかったおまわりさんが二人を押えて警察へ連れて行きました。
警察でいろいろ調べてみますと、泥棒が貰った千円のお金はみんな贋物のお金で、ピストルはやっぱり本物のピストルでした。
二人共牢屋へ入れられました。
狐人的読書感想
ユーモアがあっておもしろいお話でした。
強盗に入ってきた泥棒からピストルを買い取ったケチンボ、逆にピストルで脅しをかけてきたケチンボに「そのピストルはおもちゃだ」とうそをつく泥棒、どちらも機転がきいています。
この心理戦の行方やいかに!?(笑)
ケチンボが渡したお金はニセモノで、本物のピストルをニセモノだと偽った泥棒同様うそをついていたわけで、どちらもうそつき同士、いいコンビになりそうな気がします。
結局二人とも警察に捕まって、牢屋に入れられてしまいましたが、出所後にコンビとして活躍する後日談など書いたらおもしろいように思います。
クライムサスペンス? お笑いコンビとして再出発?
創作意欲が駆り立てられてしまいます。
お話がシンプルなだけに、教訓もシンプルですね。すなわち「悪いことをしてはいけないよ」ということでよいかと思います。
明らかに子供向けといった感じですが、大人も充分楽しめる小説ではないでしょうか?
クスリできます。
1分で読めます。
おすすめします。
さて、『お金とピストル』。
この小説にはケチンボが登場するわけなのですが、僕も自分がけっこう自分がケチンボなんじゃないかな、と思っています。
高いお金を出して、何かを欲しいと思うことがあまりありません。
服は着られればいいし、ご飯はお腹いっぱいになればいいし、ある程度の快適性が確保できれば狭い部屋でも充分だし、本は読めればけっこう何でも平気だし――高いお金を払って、いい物を使って、おいしい食事をして、有意義な趣味の時間を過ごしたい、という気持ちがあまりありません。
理屈では、お金よりもその瞬間に体験できる思い・思い出のほうが大事だ、というのはわかるのですが。
人間、命をなくしてしまえばお金などはなんの意味もなくなるわけですし、いつ債務不履行(デフォルト)が起きてお金の価値がなくなるかわかりませんし、同じ経験をするにしても若いうちにしか味わえない体感というものもあるでしょうし――お金を使って得られる思い出や貴重な体験などのほうがよほど大事なことだというのはわかるのですが。
なかなかそうはできないんですよね。
お金を使う気にならないんですよね。
何か好きなものを買うためだったり、どこか旅行やライブなどに行くためだったり、あるいは将来のための貯金だったり。
何か目的があってケチンボになるならそれはいいことのように思えるのですが、何の目的もなくケチンボでいることにはどこか違和感を覚えてしまいます。
お金を払ってまでしたい何かがないということは、おそらくは人生を楽しめていないということなのではないかと思うのです。
思えば、何かに対しておもしろいとか感動したとか感じたとしても、それを積極的に求めようという気がないんですよね。
物に興味がない、人に興味がない、世界に興味がない。
でも、こんなブログをやっているくらいだから、本とか何かを書くことには興味があるんじゃないかと自問してみるのですが、それがなければなかったでどうにでもできてしまうような気がしてしまいます。
本が好きなんですか、と訊かれたときに、本が好きです、というのを躊躇することがありますが、こうした思いが影響しているのだと自己分析しています。
もっと人生を楽しむためには、こうした何事にも無関心なところをなんとかしなければならない、とは思うのですが、それがなかなかできません。
できないということは真剣になんとかしなければならないとは思っていないということなのではなかろうか、となってしまうのですが、だったらどうすれば真剣になれるのかがわかりません。
まわりはマンガ、アニメ、ゲーム、ドラマ、映画、音楽、ファッション、グルメ、イベント――みんないろいろなものに興味を持って、人生を楽しんでいるのに……。
――などと、とりとめのないことを綴ってしまいましたが、これは読書感想ではないですね(汗) とても何かの参考になるとは思えず、狐人的読書感想ということで、狐人に化かされたとでも思ってご容赦いただければこれ幸い。
最後に、「ピストル」の語源が気になりました。
小型拳銃は1540年頃、イタリアの銃工、カッミーロ・ヴィッテーリ(Camillo Vitelli)さんという方が発明されたのだとか。
このカッミーロ・ヴィッテーリさんが住んでいたのがトスカーナ州北部の都市、ピストイア(Pistoia)だったそうで、このピストイアが「ピストル」の語源とされています。
ただし、日本語の「ピストル」は直接的にはオランダ語の「pistool」からきているそうです。アメリカでは「ピストル」は自動拳銃のことをいい、回転式拳銃は「リボルバー」といいます。
読書感想まとめ
1分で読めるユーモラスな小説。
ケチンボをなんとかしたいけど。
狐人的読書メモ
「小説に銃が出てきたのならば、その銃は撃たれなければならない」というフレーズをふと思い出した(チェーホフの銃)。
・『お金とピストル/夢野久作』の概要
1923年(大正12年)11月11日、『九州日報』にて初出。初出時の署名は「香倶土三鳥」。九州日報シリーズ。
以上、『お金とピストル/夢野久作』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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