鳴いて跳ねるひばり/グリム童話=あきらめない、戦うヒロイングリム童話。

狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

鳴いて跳ねるひばり-グリム童話-イメージ

今回は『鳴いて跳ねるひばり/グリム童話』です。

文字数5500字ほどのグリム童話。
狐人的読書時間は約13分。

ライオンの王子と結婚した娘。ライオンの王子は竜の王女にさらわれ、娘は王子を取り戻すため、冒険の旅に出る。何度も困難に打ち勝つ、あきらめないヒロイングリム童話。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

昔、ある男が旅立つ前に、三人の娘たちにおみやげは何がいいかを尋ねると、一番上の娘は真珠を、二番目の娘はダイヤモンドを、三番目の娘は鳴いて跳ねるひばりを、それぞれほしがった。

男は末の娘を一番かわいく思っていた。しかし、鳴いて跳ねるひばりだけ見つけることができないでいた。帰りの道中、森の中にすばらしい城があり、そのそばの木の上に鳴いて跳ねるひばりがいた。

男はひばりを召使いにとらせようとしたが、そのとき一頭のライオンが飛び出してきて、「おれのひばりをとろうとする者は食ってしまうぞ!」と脅した。

男は償いをするといって命乞いをしたが、ライオンは男が家に帰ったとき最初に出会う者を要求し、そうすればひばりもくれてやると言った。男は家で最初に出会うのは末の娘であるに違いないと怖れたが、召使になだめられてその条件を受け入れるしかなかった。

家で最初に出迎えてくれたのは、やはり末の娘だった。男は泣きながらことの顛末を語った。娘は約束を守るために森の中へ向かう。

じつは、ライオンは魔法で姿を変えられた王子だった。昼はライオンだが、夜は人間の姿に戻るのだ。親切に迎えられた娘は、ライオンの王子と結婚する。

一番目の姉が結婚式を挙げることになり、ライオンの王子は一日だけ娘を家に帰してやることにした。娘はライオンに食べられたものと思っていた家族は、これをとても喜んだ。

それからしばらくして、今度は二番目の姉が結婚式を挙げることになり、ライオンの王子はまた娘を家に帰してやろうとしたが、娘はライオンの王子にも一緒に来てほしいと頼む。しかし、ライオンの王子は少しでも光にあたると鳩に変わって7年間飛び回らなければならなくなる。

娘はライオンの王子を光からしっかり守ると約束し、結婚式の間、光の当たらない部屋にかくまったのだが、生木でできた扉の隙間から光が入ってしまい、ライオンの王子は白い鳩に変わってしまう。

「君が7歩進むごとに、赤い血を一滴と白い羽根を一枚落とそう、それを辿ってくれれば、おれを助けられるだろう」

そう言い残し、鳩は飛び立っていった。娘は言われたとおりにあとを追い、7年の月日が流れる。

血も羽根も落ちてこなくなり、娘はお日さまのところへのぼって白い鳩の行方を尋ねた。しかしお日さまは白い鳩の行方を知らず、小箱を娘に与えて、困ったとき開けるようにと助言する。

つぎに娘はお月さまのところへ行き、白い鳩の行方を尋ねたが、やはり手がかりはつかめなかった。お月さまは卵を娘に与え、困ったとき割るようにと助言する。

娘は北風に鳩の行方を尋ねた。すると北風の仲間の南風から情報が得られる。

白い鳩は紅海にいる、7年の魔法が解けてライオンの姿に戻っている、そして竜と戦っているが、その竜は王女なのだ。

北風は、紅海に生えている11本目の葦で打てば竜を退治できること、それからグライフ鳥に乗れば家まで帰れることを娘に教える。北風は娘にくるみの実を与え、グライフ鳥は途中で休む必要があるので、海の真ん中にくるみを落とし、生えてきた木で休ませるように、とさらなる助言をする。

娘は紅海に行って、言われたとおりに竜を退治した。するとライオンは王子に、竜は王女の姿に戻るのだが、元の姿に戻った王女は、王子を抱えてグライフ鳥に乗り、そのまま飛んでいってしまう。

取り残された娘は悲しみに暮れるが、王子を取り戻すために出発する。やがて城に辿り着き、王女と王子の結婚式が挙げられることを知る。

困り果てた娘はお日さまからもらった小箱を開けた。中には輝くドレスが入っていた。娘はそれを着て城にあがる。

王女は娘のドレスを見て、自分の結婚衣装にしようと思い、それを売ってくれるように頼むが、娘は交換条件として「花嫁の寝室で一晩寝かせてほしい」と要求する。

王女は娘の要求を承諾し、花婿には眠り薬を飲ませる。娘は王子の目を覚まそうとしたが、結局眠りから覚ますことはできなかった。

翌日、娘はお月さまにもらった卵を割った。中からは雌鶏と12匹の金のひよこが出てきた。それを窓から見ていた王女は売ってほしいと頼み、娘は昨日と同じ条件でその申し出を受け入れる。

王女はまたしても王子に眠り薬を飲ませるつもりだった。しかし王子は召使いからその事実を聞き出して、眠り薬を捨てさせた。娘はその晩王子に自分の身の上を明かした。王子は魔法で記憶を奪われていたのだが、娘の話を聞いてすべてを思い出した。

王子をライオンに変えた王女の父王にばれないように、娘と王子は夜のうちに城を抜け出し、グライフ鳥に乗って紅海を渡った。途中、娘は北風に言われたとおりくるみの実を海に投げ、生えてきた大きな木でグライフ鳥を休ませた。こうして二人は無事家に帰ることができた。

家では二人の子供が大きく美しく成長し、二人の帰りを待っていた。それからみんなは生涯幸せに暮らすのだった。

狐人的読書感想

女の子が主人公の大冒険物語でしたね。

最近では戦うヒロインものは当たり前のようにありふれていますが、昔にもあったんだなあ、ということを、こういうグリム童話を読むたびに思わされたりします。

誠実で、やさしく、あきらめない。そんなヒロイン像は昔から求められ、愛されてきたに違いありません。

ヒロインも悪役も王女、王子を巡り戦う二人。話の展開も出てくるガジェットもおもしろく興味深かったです。グライフ鳥っていったいどんな鳥なんでしょうかね?

楽しい冒険ができた、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

あきらめない、戦うヒロイングリム童話。

狐人的読書メモ

・『鳴いて跳ねるひばり/グリム童話』の概要

KHM88。原題:『Das singende springende Löweneckerchen』。

以上、『鳴いて跳ねるひばり/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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