狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『二ひきの蛙/新美南吉』です。
文字数1200字ほどの童話。
狐人的読書時間は約2分。
冬眠前にケンカした二匹の蛙が、春になって仲直りする。時間を置くと冷静に物事を見つめて受け入れられる気がします。時間がすべて解決してくれる、とはよくいったものですね。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
(今回は全文です)
『二ひきの蛙/新美南吉』
緑の蛙と黄色の蛙が、はたけのまんなかでばったりゆきあいました。
「やあ、きみは黄色だね。きたない色だ。」
と緑の蛙がいいました。
「きみは緑だね。きみはじぶんを美しいと思っているのかね。」
と黄色の蛙がいいました。
こんなふうに話しあっていると、よいことは起こりません。二ひきの蛙はとうとうけんかをはじめました。
緑の蛙は黄色の蛙の上にとびかかっていきました。この蛙はとびかかるのが得意でありました。
黄色の蛙はあとあしで砂をけとばしましたので、あいてはたびたび目玉から砂をはらわねばなりませんでした。
するとそのとき、寒い風がふいてきました。
二ひきの蛙は、もうすぐ冬のやってくることをおもいだしました。蛙たちは土の中にもぐって寒い冬をこさねばならないのです。
「春になったら、このけんかの勝負をつける。」
といって、緑の蛙は土にもぐりました。
「いまいったことをわすれるな。」
といって、黄色の蛙ももぐりこみました。
寒い冬がやってきました。蛙たちのもぐっている土の上に、びゅうびゅうと北風がふいたり、霜柱が立ったりしました。
そしてそれから、春がめぐってきました。
土の中にねむっていた蛙たちは、せなかの上の土があたたかくなってきたのでわかりました。
さいしょに、緑の蛙が目をさましました。土の上に出てみました。まだほかの蛙は出ていません。
「おいおい、おきたまえ。もう春だぞ。」
と土の中にむかってよびました。
すると、黄色の蛙が、
「やれやれ、春になったか。」
といって、土から出てきました。
「去年のけんか、わすれたか。」
と緑の蛙がいいました。
「待て待て。からだの土をあらいおとしてからにしようぜ。」
と黄色の蛙がいいました。
二ひきの蛙は、からだから泥土をおとすために、池のほうにいきました。
池には新しくわきでて、ラムネのようにすがすがしい水がいっぱいにたたえられてありました。そのなかへ蛙たちは、とぶんとぶんととびこみました。
からだをあらってから緑の蛙が目をぱちくりさせて、
「やあ、きみの黄色は美しい。」
といいました。
「そういえば、きみの緑だってすばらしいよ。」
と黄色の蛙がいいました。
そこで二ひきの蛙は、
「もうけんかはよそう。」
といいあいました。
よくねむったあとでは、人間でも蛙でも、きげんがよくなるものであります。
狐人的読書感想
『よくねむったあとでは、人間でも蛙でも、きげんがよくなるものであります。』という一文がすべてを物語ってくれているといった感じがしますね。時間がすべて解決してくれる、とは本当によく言ったものだと思います。
どんなに怒っていても、時間が経てば冷静になって、ひょっとしたら自分にも悪いところがあったんじゃないかとか考えられるようになって、ケンカした友達とも仲直りできることがあります。
同様に、悲しいことやつらいことも、時間が風化してくれるということが言えるように思えます。
時間を置くということを大切にしたいと思った、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
時間を置くのも大切ですね。
狐人的読書メモ
・とはいえ、ある程度自発的に動かなければいけない部分もあるかとは思う。
・『二ひきの蛙/新美南吉』の概要
1948年(昭和23年)『きつねの おつかい』にて初出。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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