狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『二つの鞄/夢野久作』です。
文字数500字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約1分。
家の財力、優れた容姿、親の仕事、天から与えられたものを誇ってはいけない。さらに自分の努力で手に入れたものにも謙虚な気持ちを持たなければならない。物や人に感謝すること。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
(今回は全文です)
『二つの鞄/夢野久作』
小さな鞄と大きな鞄と二つ店に並んでおりました。大きな鞄はいつも小さな鞄を馬鹿にして、
「お前なんぞはおれの口の中に入ってしまう」
と冷かしました。
二つの鞄は同じ時に同じ人に買われて、同じ家に行きました。すると小さな鞄の中にはお金や何か貴いものが詰められて、人間に大切に抱えられて行きます。大きな鞄はあべこべにつまらないものばかり詰められて、荷車に積まれたり投げ飛ばされたりしておりました。小さな鞄は大威張りで、
「大きな鞄の意気地なし」
と笑っておりました。大きな鞄は大層口惜しがって、自分をいじめる人間を怨んでおりました。
ある日大火事があってこの家の人が逃げ出す時、衣服と一緒に小さな鞄を大きな鞄の中に入れて逃げ出しました。大きな鞄はここで敵を取ってやろうと思って、火事が済んだあとで人が開けようとすると、口をしっかりと閉じて中の小さな鞄を出すまいとしました。人間は大層困っていろいろやってみましたが、どうしても開きません。
「この鞄は駄目だよ。口を開かなきゃ鞄の役に立ちはしない。中の小さな鞄が入り用だからしかたがない。こうしてやろう」
と言いながら横腹を切り破ってしまいました。
狐人的読書感想
体が大きいからといって威張ってはいけません、ということですかね?
べつに体だけに限らないのかもしれませんが。
家の財力であったり、優れた容姿であったり、親の仕事であったり。生まれたときから与えられている良いものって、やっぱり自慢したくなる気持ちはわかるんですよね。
だけどやっぱり自分で努力して手に入れたものじゃないと、そこに驕りが生じてしまい、結果的によくないことになってしまうよ、というのがこの物語の一つの教訓になっているような気がしました。
とはいえ、自分の努力で手に入れたものを自慢しても、やっぱりそこには驕りが出てしまい、それを見る人はいい気持ちはしないんでしょうね。あのひと天狗になってる、みたいな。
どんな物事にも驕ってはいけない、謙虚な気持ち大事に、というのが大切な心持ちであるような気がしました。
人間の役に立つために作られたカバンは、人間の役に立たなくなったら切り破られたり捨てられてしまいます。そこになんだか寂しさ、やるせなさを覚えるのですが、しかし人間同士でもおんなじことは言えそうなんですよね。
誰かの役に立っていなければ、誰にも見向きもされないのかもしれないわけであって、そうでなくてもそばにいてくれる誰かを見つけるのはかなり大変なことのように思います。
物を大事にしよう、そばにいてくれるひとに感謝の気持ちを持って、謙虚な心でいたいと思った、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
物を大切に、人に感謝し、謙虚な気持ち大事に。
狐人的読書メモ
・しかしこういった気持ちってすぐ忘れそうになってしまうのは、なんでだろう……?
・『二つの鞄/夢野久作』の概要
1923年(大正12年)11月20日、『九州日報』にて初出。九州日報シリーズ。初出時の署名は「香倶土三鳥」。短い中にも大切な教訓が含まれているように思う。
以上、『二つの鞄/夢野久作』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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