夫人探索/夢野久作=有意義なお金の使い方って?

狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

夫人探索-夢野久作-イメージ

今回は『夫人探索/夢野久作』です。

文字数2000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約6分。

バカバカしい話のようでいろいろ学んだ気になれます。有意義なお金の使い方とは? 理想を追い求めず、現実を見つめること。きちんと家計を管理してくれる妻を探すこと。などなど?

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

「百万円あったら、ああしよう……こうしよう」とあれこれ空想していた青年・中村が思いがけず伯母の遺産を受け継ぎ百万長者になった。しかし豪遊の挙句あっという間に無一文に……。

百万円はどこへいったのか? 誰によって奪われたのか?

社会学者、法律学者、心理学者――中村はさまざまな専門家に尋ねてまわるも納得のいく答えが得られない。思い余ってついに名探偵にこの謎の解明を依頼する。

名探偵が指摘した犯人は「あなたの未来のお嫁さんです」というものだった。美人で学識があり、心のよい女性と結婚さえしていれば、百万円は無意味に費やされることはなかったでしょう。

中村は感涙した。まさにそのとおりだった。

そして中村はその女性から百万円を取り返そうと、名探偵と一緒に理想の女性を探しはじめる。しかし容易には見つからなかった。

もちろん、見つかったとしても百万を奪った犯人であることを告白して、結婚の申込を承諾する少女は一人もいなかった。

狐人的読書感想

『不思議だ。奇怪だ。不可解だ。百万円を得ない前の自分と、失った後の自分との間には何等の相違もない。空想の百万円と実物の百万円とは、使用した結果から見ると全く同じものであった。おお百万円よ。お前は何のために自分に天降あまくだったのか。何故にかくも無意義に自分から消え去ったのか。おお百万円よ。お前はどこへ行った』

……いやいや、あきらかに豪遊の果てに散在してしまった自分のせいなのですが、しかしおもしろいことを言い出すひとだなあ、とは思いましたね。

『すなわち……あなたから、あなたの百万円を奪い去ったものは、あなたの未来の夫人たるべき、その美少女です。あなたはその美少女から百万円を奪い返すべき権利があります』

……おいおい、そんなバカな、名探偵?

とんちか禅問答みたいでおもしろかったです。

しかしお金を有意義に使うのってたしかにむずかしいかもしれませんね。中村青年はおかしなことを言っているのですが、不思議と共感できる部分があります。

お金を使ったあとには何も残らないし、自分は何も変わっていない――そう考えてみると、何かかたちに残るものを買ったり、勉強や資格取得のためにお金を使ってスキルアップを図ったり、そんなお金の使い方が一番いいんだという一般的な教訓に辿り着きそうな気がします。

名探偵の導き出した答えは理想論にもならないような戯言でしたが、しかし「夢を見ていてはいけない、寝言を言ってちゃいけない」という反面教師的な説教なのだと捉えられなくもありません。

しっかりした奥さんがいれば、家計をきちんと管理してくれて散財は防げたはずだ、という話は妙に納得できるのですが、そんな奥さんをゲットするのが一番むずかしいんだ、という話なのかもしれませんね。

バカバカしい話のようでいて、意外といろんなことを学んだ気になれた、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

有意義なお金の使い方って?

狐人的読書メモ

・あくまでも学んだ気になれただけかもしれないけれども……。有意義なお金の使い道ってケースバイケースで人それぞれですよね。

・『夫人探索/夢野久作』の概要

1927年(昭和2年)『探偵趣味』にて初出。有意義なお金の使い方とは? 理想を追い求めず、現実を見つめること。きちんと家計を管理してくれる妻を探すこと。などバカバカしい話だけに、現実的ないろいろな教訓も見えてきたりする。

以上、『夫人探索/夢野久作』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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