或る忠告/太宰治=素直に忠告を聞きたいときに読むがよい。

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

或る忠告-太宰治-イメージ

今回は『或る忠告/太宰治』です。

文字数900字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約2分。

「慢心するな!」という忠告です。現代ではこういうことを言ってくれる人って少ないような気がします。相手の顔色を見て言わないことが多いですね。また読みたいなと思いました。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

(今回は全文です)

『或る忠告/太宰治』

「その作家の日常の生活が、そのまま作品にもあらわれて居ります。ごまかそうたって、それは出来ません。生活以上の作品は書けません。ふやけた生活をしていて、いい作品を書こうたって、それは無理です。

どうやら『文人』の仲間入り出来るようになったのが、そんなに嬉しいのかね。宗匠頭巾をかぶって、『どうも此頃の青年はテニヲハの使用が滅茶で恐れ入りやす。』などは、げろが出そうだ。どうやら『先生』と言われるようになったのが、そんなに嬉しいのかね。八卦見はっけみだって、先生と言われています。どうやら、世の中から名士の扱いを受けて、映画の試写やら相撲の招待をもらうのが、そんなに嬉しいのかね。此頃すこしはお金がはいるようになったそうだが、それが、そんなに嬉しいのかね。小説を書かなくたって名士の扱いを受ける道があったでしょう。殊にお金は、他にもうける手段は、いくらでもあったでしょうに。

立身出世かね。小説を書きはじめた時の、あの悲壮ぶった覚悟のほどは、どうなりました。

けちくさいよ。ばかに気取ってるじゃないか。それでも何か、書いたつもりでいるのかね。時評に依ると、お前の心境いよいよ澄み渡ったそうだね、あはは。家庭の幸福か。妻子のあるのは、お前ばかりじゃありませんよ。

図々しいねえ。此頃めっきり色が白くなったじゃないか。万葉を読んでいるんだってね。読者を、あんまり、だまさないで下さい。図に乗って、あんまり人をなめていると、みんなばらしてやりますよ。僕が知らないと思っているのですか。

責任が重いんだぜ。わからないかね。一日一日、責任が重くなっているんだぜ。もっと、まともに苦しもうよ。まともに生き切る努力をしようぜ。明日の生活の計画よりは、きょうの没我のパッションが大事です。戦地に行った人たちの事を考えろ。正直はいつの時代でも、美徳だと思います。ごまかそうたって、だめですよ。明日の立派な覚悟より、きょうの、つたない献身が、いま必要であります。お前たちの責任は重いぜ。」

と或る詩人が、私の家へ来て私に向って言いました。その人は、酒に酔ってはいませんでした。

狐人的読書感想

「慢心するなよ!」っていう忠告を、ある詩人さんがしてくれたんだ、っていうお話ですね、おおまかにいうと。しかしある詩人さんの言ったことにした「自身の心の声」だって感じもしますが、どうでしょうね?

もしもこういう忠告をしてくれる人が近くにいるなら、それは幸せなことだと感じるんですよね。現代は家族でも友達でも、先輩後輩や上司部下であっても、忠告し合える関係を築くのってけっこうむずかしいことのように思えてきます。

自分が言うことが「余計なお世話かもしれない」というか、変なことを言って相手に嫌われたくないというか、厄介ごとに巻き込まれたくないというか……

――相手のことを思えば忠告してあげたほうが親切だと感じる場面があっても、その人との関係をこじらせたくなくて言わないようにしていることってけっこう多い気がするんですよね。

自分がそう感じているってことは、相手もそう感じているかもしれないわけで、自分の言動にどこか悪いところがないか? なんてよく気になったりするのですが、それをこっちから聞くのもどうなのかなって気がします。

だからたまに上の人とかから注意とか忠告をしてもらうと、それを素直に聞き入れなくてはならないとは思うのですが、機嫌が悪かったりすると反発心がむくむく出てきたりして、なかなかそれがむずかしく思ったりもします。

そんなときにまた読みたいと思った、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

素直に忠告を聞きたいときに読むがよい。

狐人的読書メモ

・……しかしそうすると読まなくとも人の忠告をちゃんと聞けるようになるべきであって、読まないほうがいいという本末転倒な勧め方かもしれない。

・『或る忠告/太宰治』の概要

初出不明。『もの思う葦』(新潮文庫、新潮社)収録。「慢心するな!」というなかなか得がたい忠告。

以上、『或る忠告/太宰治』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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