狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『車/宮沢賢治』です。
文字数3000字ほどの童話。
狐人的読書時間は約8分。
子供にあんなこと言われてただ笑うだけって、それでいいのかな。親も笑ってないでちゃんと叱らなきゃダメじゃないのか、って思うのは僕だけなのかな。百姓のおかみさんの言うことは納得です。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
日雇い労働者のハーシュは午前中町角に立っていたが、仕事はもらえなかった。午後になって林の裏の工場にテレピン油を取りに行く仕事がもらえた。ハーシュはさっそくリヤカーを引いて出かけていった。
道中、横柄な子供が「車にのせておくれ」と声をかけてきて、ハーシュはリヤカーに子供を乗せていく。途中、車輪のくさびがはずれる。ハーシュは間に合わせの修理のため、近くの家の地面に落ちていた縄を拾う。
すると百姓のおかみさんが「ひとのものを持っていくな!」と怒る。ハーシュは「縄を綯うのに一時間かかるのだから、怒られて当然だ」と思う。
結局、はずれたくさびを探してリヤカーを直し、ハーシュは目的地の工場へたどりつく。技師長がハーシュを出迎え、子供を見て「どこへ行ってたんだ?」と尋ねる。子供は「どうも車が遅くてね」と返す。
それを聞いて、技師長もハーシュも笑う。
ハーシュは「こんなにおもしろく、遊びながら仕事になるなら午前中仕事がなくていやな気がした埋め合わせになった」と思った。
狐人的読書感想
『車』というタイトルから当然のように「自動車」をイメージしたのですが、人が手で引いていく「リヤカー」のことでした。
労働の楽しさや喜びを謳っている童話のようですが、どうもそういうふうには読めなかったなというのが正直なところです(あるいはリヤカーと自動車の時代の違いなんでしょうかね、う~ん……)。
日雇い労働をして横柄な子供の言いなりになって――主人公のハーシュはどうも社会的弱者っぽく描かれているみたいなんですよね。
とはいえハーシュに悲壮感はなく、子供を乗せてリヤカーを引いていくことを遊びとして楽しんでいます。
百姓のおかみさんに怒られたときも素直に反省しています。
最後のシーンなんて、せっかく乗せてあげた子供にあんなことを言われ、技師長(たぶん子供の親?)にも笑われ、いい気分はしないように僕は思ったのですが、ハーシュは笑って満足しているんですよね。
(誰か叱ってやらないと傲慢な大人に育ってしまうのでは……と危惧してしまうのは僕だけ?)
ハーシュのような温かで穏やかな心の持ち方が、労働のみならず何事においても大切だというのは伝わるのですが、なんかもやもやが残ります。
結局こういう気性のひとが他人にバカにされたり利用されたり損をしたりして、世の中そうやって回っているふうに感じられてしまうんですよね。
しかしハーシュとしてはそんなこと考えもしないんでしょうね。
だから不満に思ったり、みじめな気持ちにならない。
本人が不満やみじめさを感じていないのであればそれでよくて、それはひとつの完成された生き方だとは理解できるのですが、なんだかなって気がします。
……う~ん。
表面的にはのどかでほのぼのとして心温まるような童話なのですが、うまく言えないもやもやを感じた、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
穏やかでほのぼのでやさしい童話、なのか?
狐人的読書メモ
・今回はただただうがった読み方なのかもしれない。普通はただ穏やかでほのぼのでやさしい童話なのかもしれない。そこがいまいち判断できなかった。
・『車/宮沢賢治』の概要
生前未発表作。執筆は大正12年秋頃? 一般的には労働の喜びを描いた作品とされているようだ。
以上、『車/宮沢賢治』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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