背嚢と帽子と角笛/グリム童話=勝者が正義!という童話?

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

背嚢と帽子と角笛-グリム童話-イメージ

今回は『背嚢と帽子と角笛/グリム童話』です。

文字4800字ほどのグリム童話。
狐人的読書時間は約14分。

金を持っていない弟を蔑ろにする兄たち。愛するふりをして夫から奪う妻。国を滅ぼし王となった弟。すべてのマジックアイテムを手に入れし者。それすなわち勝者なり……?

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

昔、貧しい三人の兄弟がいて、貧困から抜け出そうと旅に出た。兄弟はある日、大きな森の真ん中に銀の丘を発見した。そこで長男は「十分な幸運を見つけた」と言って、持てるだけの銀を持って家に帰っていった。

しかし二人の弟は旅を続ける。銀よりもっといい幸運があるはずだ。やがて二人は金の丘に辿り着いた。そこで次男は「もうこれで十分だ」と考え、持てるだけの金を持って家に帰った。

三男は一人になっても旅を続けた。金銀よりもっといいものがあるはずだから。若者は前よりも大きな森にやってくるが、そこでは何も見つからなかった。空腹でたまらず「お腹いっぱい食べたい」と願った。すると目の前にごちそうが現れ、若者は空腹が癒されるまで食事をした。食事が終わると料理の下に敷かれていたテーブルクロスを大事にたたんでポケットにしまった。

それは魔法のテーブルクロスだった。お腹が空くたび広げると、いつもすばらしい料理が現れた。でも若者はその布だけでは満足できなかった。さらに世界を放浪した。若者はある夜、寂しい森で炭焼きの男に出会った。炭焼きは若者を食事に誘った。炭焼きの食事は焼いたじゃがいもだけだった。若者は魔法のテーブルクロスで逆に炭焼きをもてなした。炭焼きは自分の持っている兵隊の背嚢と魔法のテーブルクロスを交換してほしいともちかけた。若者はその申し出を受けて背嚢とテーブルクロスを交換した。

炭焼きと別れると、若者は兵隊の背嚢をトントンたたいた。すると背嚢から兵隊たちが現れた。若者は「テーブルクロスを取り返してこい!」と兵隊たちに命令した。兵隊たちはあっというまに炭焼きからテーブルクロスを取り返してきた。旅の途中、同様のことが二回続き、若者は大砲の帽子と破壊の角笛を手に入れた。

若者はようやく満足して家に帰った。しかし先に帰って裕福な暮らしをしていた兄たちは、ぼろぼろのみすぼらしい姿の若者を自分たちの弟だとは認めなかった。若者は怒り、背嚢から兵隊を呼び、傲慢な兄たちを打ち据えるよう命令した。

この騒動を知った王様は軍隊を送って若者を懲らしめようとした。若者は頭の上で大砲の帽子を二度回した。たちまち王様の軍隊は壊滅した。若者は王様の娘を妻にくれるよう要求し、王様は泣く泣くこの要求を呑むしかなかった。

王様の娘は若者を愛するふりをして、若者から兵隊の背嚢の秘密を聞き出した。そして若者から背嚢を奪い兵隊を呼び出し、若者を国から追い出すよう命じた。ところが兵隊は若者の大砲の帽子によって返り討ちとなった。王様の娘は若者に許しを請い、さらに若者を愛するようふるまった。それもやはり演技だった。

娘はついに帽子の秘密を若者から聞き出し、それを奪うことに成功するが、若者にはまだ破壊の角笛が残されていた。若者が怒って角笛を全力で吹くと、王宮や町や村は崩壊し、王様や娘は瓦礫の下敷きとなって命を落とした。若者がもう少し長く吹いていたら、すべては廃墟ですらなくなっていただろう。

その後は誰も若者に逆らえず、彼は全土の王様となった。

狐人的読書感想

前半部分、三兄弟が一緒に旅をして、それぞれにそれぞれのものを手に入れて満足するような話……どっかで聞いたことあるなぁ、って思いました。

『アフターダーク』(村上春樹さん)のハワイの神話(?)の挿話とか(旅ではなくて、山に丸い岩を転がしてのぼっていく話で、最後まで残ったのは三男じゃなくて長男でしたが)。

『ハリー・ポッターと死の秘宝』に出てきた『三人兄弟の物語』(『吟遊詩人ビードルの物語』収録)とか。

これは愚兄賢弟型(あるいは愚弟賢兄型)というカテゴリーに分類されるお話だそうで、世界中の神話・童話・民話などに類型のある話みたいです(『三匹の子豚』などが有名どころ)。

日本ではなんとなく「兄・姉が賢い」イメージがありますが、末子相続(長男は戦争でとられる可能性が高かったため、一番下の子に家督を相続させる風習)があった時代の国では「弟・妹が賢い」イメージがスタンダードだったようですね(もちろん、実際にはひとそれぞれなわけですが)。

童話はやはり「勧善懲悪」という気がしますが、グリム童話は必ずしも勧善懲悪とはいかないところがどこか深くて考えさせられて、本作もそんな感じのお話で心惹かれてしまいます。

長男は銀を、次男は金を手に入れて、それぞれ満足して暮らすわけですが、三男は好きなときに好きなだけ食べられる(しかも無料で)魔法のテーブルクロスを手に入れただけでは満足できず、三人の炭焼きの男をだまして「兵隊の背嚢・大砲の帽子・破壊の角笛」という三つのマジックアイテムまで手に入れてしまいます。

その強欲っぷりはまさに人間の悪徳を示しており、読んでいる途中で「あー、これは罰が当たるな……」と予想していたのですが、あにはからんや三男は罰せられることなく王位につくという――僕にとっては意外な結末でした。

まあ、二人の兄も王様やその娘も、物語にはお決まりの「完全無欠の人格者」というわけでもなかったので、誰を善として誰を悪とすべきか、なかなかむずかしいところはありますが。

でも、三男は群を抜いて悪かった、という気がしてなりません。

とはいえ、人をだまして金やものを得て、それをうまく利用して邪魔者を排除した者が王様になる、つまり勝者になる、という筋はたしかに現実だという感じがします。

賢さや欲は必ずしも悪ではないし、善悪の基準も時代によって変わってくるし。……結果論というか、ひとつの結果を描いた物語として教訓など抜きにして読んでみて、おもしろい話なんですよね。

興味をそそられる、深い話だと思った、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

勝者が正義!という童話?

狐人的読書メモ

・魔法のテーブルクロス、兵隊の背嚢、大砲の帽子、破壊の角笛などのマジックアイテムは、創作のモチーフとしても大変興味深く感じた。心にとどめておくべし。

・『背嚢と帽子と角笛/グリム童話』の概要

KHM54。原題『Der Ranzen, das Hütlein und das Hörnlein』。愚兄賢弟型の童話。ある時代のある国での美徳や善悪が描かれているように思えた。現在の美醜や善悪、固定観念を捨てて読むべき物語なのかもしれない。おもしろかった。

以上、『背嚢と帽子と角笛/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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