狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『そりとランターン/新美南吉』です。
文字150字ほどの詩。
狐人的読書時間は約1分。
粉雪舞う夜。火花のような光にズームイン。ズームアウト。情景が見える映像的な詩。悪魔をだましたジャックが「Oh!No!」。あの世とこの世の道をラン、ターンする話(涙)
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
(今回は全文です)
『そりとランターン/新美南吉』
ランタンともしたそりだから、
ひばなみたいにはしつてる。
ランタンほのかなそりだから、
そこだけ粉雪見えてゐる。
ランタンあをいそりだから、
馴鹿のしり光つてる。
ランタン消えそなそりだから、
誰かゞ両手でおほつてる。
ランタンゆれてるそりだから、
貂ははやしを出て見てる。
狐人的読書感想
夜を走る火花のような光。ほのかな灯りに映る粉雪。光の玉の中にトナカイのお尻が見える。風で消えないよう灯を手でおおう。林を出た貂がそれを見てる。そりとランターン。
なんとなく、夜の雪原をランタン灯して走るそりが、遠くに見えたり近くに見えたり、また遠くに見えたり――そんな情景が見えるように思った詩ですが、どうでしょうね?
映像的でよい詩だと感じました。
新美南吉さんの作品にはランプとかランタンとか、よく出てくるように思うのですが、何か思い入れのある品なんですかね。
ランプやランタンの火には独特の情緒みたいなものがあって、小説や詩、あるいは映画などの映像作品のガジェットとしてもよさそうな感じです。
とはいえ現代ではランプとかランタンとか、日常生活で見る機会はあまり多くないという気がします。
おしゃれなお店の装飾だったり。
キャンプとかくらいですかね?
キャンプの夜といえばランプ・ランタンがしっくりきます。雰囲気作りにもぴったりな重要アイテムみたく感じます。
あとハロウィンのジャック・オー・ランタンとか。
メガテンやペルソナのジャックランタンとか。
ジャックランタンはウィルオウィスプの一種で、つまり火の玉、霊魂や怨念が火化したもの、アイルランド・スコットランド版鬼火といったものだそうです。
伝承では、ジャックというずる賢い男がいて、あるハロウィンの夜に悪魔と出会います。
「お前の魂をいただく」と悪魔が言い、
「ま、待ってくれ! 待ってください! 最期に酒を飲ませてください!」とジャックが言います。
やれやれ……、悪魔は酒代を払うためのコインに変身します。瞬間ジャックは十字架で悪魔を抑え込み、財布に閉じ込めてしまいます。
「ここから出してくれ! いや、出してください! 十年間魂とらないから!」
「いいだろう」
困った悪魔は十年間ジャックの魂をとらないと約束し、解放してもらいます。
十年後、悪魔がジャックの魂をとろうと再び姿を現します。
「今度こそお前の魂をいただく」と悪魔が言い、
「待って! いいえ、待ってください! 最期にあの木のリンゴが食べたいです!」とジャック。
やれやれ……、悪魔はリンゴをとりに木にのぼります。ジャックは持っていたナイフで木の幹に十字架を刻み、悪魔は木からおりられなくなってしまいます。
「ここからおろして! おろしてください! もう二度とお前の魂はとらないから」
「いいだろう」
結局悪魔はもう二度とジャックの魂はとらないと約束して、木からおろしてもらいました。
さらに時がたち、ジャックが寿命で亡くなると、生前の行いが災いして天国には入れず、仕方なく地獄へ行くとそこにあの悪魔がいて、
「二度と魂をとらないと約束したから。お前を地獄に連れて行けない」(にやり)
「…………」
ジャックの魂は天国へも地獄へも行けず、来た道を戻るための灯りに小さな地獄の火を悪魔にもらい、道端に転がっていたカブでランタンをつくり、いまでもこの世とあの世の境目を彷徨っているんだとか……。
「ジャック! オー! ラン、ターン!」(たぶん涙目)
――というオチ。
……いや、カブって、かぼちゃじゃなくて?
ハロウィンやメガテンやペルソナのジャックランタンはかぼちゃですが、もともとはカブで作られていたんだそうです。
そりとランターンからの、なぜかジャックランタンが興味深い(?)、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
ジャック!オー!ラン、ターン!(涙目)
狐人的読書メモ
・ポケモンにもいるよね(ランターン)。
・『そりとランターン/新美南吉』の概要
1932年(昭和7年)6月、『赤い鳥』にて初出。新美南吉の詩。ズームインしてズームアウトする情景が見えるような映像的な詩。ジャックランタン(ランタン以外)はまったく関係ない。
以上、『そりとランターン/新美南吉』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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