女生徒/太宰治=楽しくてイラッとして泣きたくなって泣けなかったり。

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

女生徒 (角川文庫)

今回は『女生徒/太宰治』です。

文字32000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約83分。

急に楽しくなったりイライラしたり泣きたくなって泣けなかったり。お金がほしいとかずっと少女のままでいたいとか早く大人に…とかお母さんを大事にしたいとか。14歳女子の1日の呟き。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

『あさ、眼をさますときの気持は、面白い。』――と始まる、ある少女の一日のつぶやき。主人公の「私」は十四歳、少し前に父を亡くし、姉は嫁いで、いまは母と二人暮らし。メガネをかけることにコンプレックスを持っている。

気分が万華鏡のようにころころ変わる思春期。今朝から五月。

朝、目を覚ますのがおもしろいと思いきや、それがなんだか白々しく感じて厭世的な気持ちになる。二匹の犬を飼っていて、一方だけを可愛がり、他方の泣きそうな顔を見て、残酷な満足感と自己嫌悪を抱く。泣きたくなるが泣けない。

朝ごはんをすませて登校。電車の中で座ろうとした席をとられてイラッ。声をかけたらこっちのほうが図々しく思われるかもしれない。気を取り直して雑誌を読む。本を読むのが好き。通勤中のサラリーマンの目はどろっと濁っていていやだ。けど、ちょっと微笑まれただけで、結婚してもいいような気になるかもしれない。おそろしい。気をつけよう。

学校の授業は退屈。お昼休みはきゃあきゃあ。午後の図画の時間には先生の絵のモデルをさせられる。うれしいような困るような。こんな汚い私の絵が美しくなるはずもない。無意味で高慢な知ったかぶり。私は私を軽蔑する。お金がほしい。

放課後は友達と美容室へ。友達は私のことを親友だと言ってくれるけど、私は友達のことをどう思っているんだろう? 友達が無邪気にはしゃいでいるのを見て、なんだか憂鬱になる。帰りのバスでいやな女の人を見る。女は汚い。女はいや。ずっと少女のままでいたい。けれど身体は成長する。

夕焼け空を見て、亡くなった父を思い、美しく生きたいと願う。家には母の客が来ている。部屋に入ってメガネをはずして、ふと鏡に映った自分の顔が可愛く見えて、ちょっとうれしくなる。料理を作って愛想よく客をもてなすが、本当は迷惑以外の何ものも感じていない。

客が帰り、風呂に入り、母と二人でお茶を飲む。前から見たかった映画を見に行っていいと、母が言う。うれしくて、母を大事にしなければと思い、マッサージをしてあげる。本を読んであげる。

いつものように十二時近くになって洗濯を始める。母の横の布団に入る。母はまだ起きていて、私に夏の靴を買ってくれると言う。そんなに欲しくなくなったの、私は言う。

明日もまた同じ日が来る。幸福は一生来ない。それでも明日は来ると信じて寝るのがいい。おやすみなさい。

(――みたいな感じです。ほんの一部ですが)

狐人的読書感想

女生徒-太宰治-イメージ

おもしろかったです。しかし一日でこんなにたくさんのことを考えるだろうか、って気がします。ツイッターとかSNSとかでこれだけのことをつぶやいていたら、それだけで一日が終わってしまいそうな感じです。ひょっとしたら何日分もの所感を一日にまとめて書いているのかもしれません。

あるいはこれだけ多くのことを感じていても、普段はそれをうまく言語化できておらず、文章にしたらだいたいこんな感じなんですかね? 「わかるわかる」と共感できたり、新鮮に感じつつも納得できるところが多かったので、そんなふうに思いました。

『新聞では、本の広告文が一ばんたのしい。』

――なぜなら、広告料をとられるから、最大の効果を収めようと、みんな「うんうん」唸って、一字一句一生懸命書いているから、というんですね。現代では、テレビCMやインターネットや、広告が溢れすぎているからでしょうか、そんなふうに考えたことはなかったので、新鮮な感じがしました。

『理窟はないんだ。女の好ききらいなんて、ずいぶんいい加減なものだと思う。』

――僕もそう思いました。

『こんなくだらない事に平然となれるように、早く強く、清く、なりたかった。』

――思春期らしい意見だと思い、共感しました。しかし「ずっと少女のままでいたい」という相反する思いもあって、そういった矛盾は思春期に特有の感情だという気がしました。

『人のものを盗んで来て自分のものにちゃんと作り直す才能は、そのずるさは、これは私の唯一の特技だ。』

――多かれ少なかれ、みんなどこかの何かを盗んで生きているのかもしれませんね。なんとなく小説を書くことを思いました。

『自分の個性みたいなものを、本当は、こっそり愛しているのだけれども、愛して行きたいとは思うのだけど、それをはっきり自分のものとして体現するのは、おっかないのだ。人々が、よいと思う娘になろうといつも思う。』

――個性を尊重する社会とはいっても、日本にはどこか没個性を肯定する風潮が根強いように感じています。

『女は、自分の運命を決するのに、微笑一つでたくさんなのだ。』

――電車の中で、はきのない通勤中のサラリーマンを見て軽蔑し、しかしただ微笑まれただけでそんなサラリーマンと結婚するかもしれない自分を危ぶんだときに得た所感です。そんなこともあるのかなぁ……といった感じ。

『なぜ私たちは、自分だけで満足し、自分だけを一生愛して行けないのだろう。』

――他者を愛することがむなしく感じられるときも、たしかにありますね。

『いま、という瞬間は、面白い。』

――正直、あんまりそんなこと思ったことないですね……。

『ぽかんと花を眺めながら、人間も、本当によいところがある、と思った。花の美しさを見つけたのは、人間だし、花を愛するのも人間だもの。』

――なんとなくいい言葉ですね。

『女は、いやだ。』

――このところの一連の感情は、本当には女にしかわからないかもしれないと思いました。べつの意味で男にもわかる気はしましたが。

『心配もなく、寂しさもなく、苦しみもなかった。』

――幸せな子供時代。だから、大人になりたくないって、思うんですかね。

『純粋の美しさは、いつも無意味で、無道徳だ。きまっている。だから、私は、ロココが好きだ。』

――主人公の作るロココ料理についての所感。あり合わせのおかずを皿に美しく盛り付ける、買ってきた惣菜を美しく皿に盛りつける、みたいな。そういえば、手についた魚の生臭さは、水道の蛇口にこすりつけるととれるんだとか。ステンレスが臭い成分を吸着するって話をなぜかふと思い出しました。

長々と気になった文を書き出しただけになってしまいましたが、まあ一度読んでみてほしいと思った、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

・楽しくてイラッとして泣きたくなって泣けなかったり。

・誰もが一度は経験する思春期の少女が描かれているだけに、男女問わず幅広い世代に共感を抱かせる小説です。

・学生さんの読書感想文には、自分の体験と比較していろいろな思いが書きやすく、言うまでもなくおすすめできます。

狐人的読書メモ

・以前の読書感想(『俗天使/太宰治』)で知ったのだけれども、「『女生徒』は9割パクリだった」とかいわれている。『女生徒』は、ファンから送付されてきた日記をもとに書かれていて、その日記の復刻版(『資料集 第一輯 有明淑の日記』)がいまでも手に入るらしいのだけれど、比較してみるとほとんど内容が一致しているらしい。

・『女生徒/太宰治』の概要

1939年(昭和14年)4月、『文學界』にて初出。五月一日、ある十四歳少女の、起床から就寝までの一日の心理変化。思春期を感じる小説。誰もが体験するだけに、誰もに共感できる作品。読書感想文におすすめ。

以上、『女生徒/太宰治』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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