狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『トゥルーデおばさん/グリム童話』です。
文字700字ほどのグリム童話。
狐人的読書時間は約2分。
わがまま娘がいた。両親の言うことをまるで聞かなかった。トゥルーデおばさんに燃やされた。たぶん、部屋に逃げないで納得いくまで親と話しようって話? え、魔女狩りの話?
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
昔、わがままな娘がいた。両親の言うことをまるで聞かなかった。
ある日、娘は両親に言った。
「トゥルーデおばさんの噂を聞いたの。すごく変わってて、家には珍しいものがたくさんあるんだって。ちょっと行って見てくるから!」
両親は厳しくそれを止めた。
「トゥルーデおばさんは悪い人だ。そこへ行くなら、おまえはもううちの子じゃないからね!」
しかし、娘は言うことを聞かず、家を飛び出して行ってしまった。
「……おまえはどうしてそんなに青い顔をしてるんだい?」
「ああ、私はとても怖いものを見てしまった……あれは真っ黒な人だった」
「それは炭焼き職人だよ」
「それから緑色の人も……」
「それは狩人だよ」
「それから血のように真っ赤な人……」
「それは肉屋だよ」
「ああ、怖い。トゥルーデおばさん。窓の外から見たあなたは、頭が火のように燃えている悪魔だった!」
「それは正装した魔女だよ。私はずっとおまえを待っていた。おまえが必要だったのさ。さあ、さっそく光ってもらおうかね」
トゥルーデおばさんは娘を一本の薪に変えた。そして、その薪を暖炉の火の中に放り込んだ。火のそばに座って温まりながら、
「どうだい。とても明るい光じゃないか」
トゥルーデおばさんは一人呟いた。
狐人的読書感想
「親の言うことをちゃんと聞かないと、魔女に燃やされてしまいますよ」
――といった感じでしょうかね?
わかりやすい訓話だったように思います。
魔女だったトゥルーデおばさん、薪にされて燃やされてしまったわがまま娘――魔女と火刑とくれば、やっぱり「魔女狩り」を連想してしまいます。
本物の魔女じゃなくて、ただの娘が魔女に燃やされてしまっているあたり、なんだか皮肉な印象を受けるんですよね。
「本物の魔女だったら、簡単に魔女裁判にかけられて処刑されたりしないでしょ……」
みたいな。
いつの世も、本当に力を持っている人は陰で栄耀栄華を極めている――なんてことが言えるのかもしれませんね。
(『トゥルーデおばさん』はそんなこと言ってないかもしれませんが……)
ちなみに、黒の人、緑の人、赤の人は、それぞれ、夜、大地、昼を示していて、トゥルーデおばさんの正体は地母神なんじゃないか、という考え方もあるようです。
ともあれ、親の言うことはちゃんと聞きたいと思いましたが、しかしどう考えたって親の言うことが間違ってるんじゃないかって、思えるときもあるんですよね。
基本的には親の言うことを聞かなければいけないとは思いますが、親が間違っているのであれば、それを指摘するのも子供の正しい在り方なのかなって気がします。
親子の間では、正しいとか間違ってるとかじゃなくて、価値観の違いとか、ただ単純に意見が衝突することのほうが多いかもしれません。
狐人的な今回の教訓は「親と意見が衝突しても、わがまま娘のように家を飛び出さず、納得いくまで親と話し合う!」といった感じになるでしょうか。
わかってもらえないのに延々と同じことを話し合うのってすごく苦しいことのように思いますが、しかし双方が納得できないうちは、安易に行動に移すべきではないのでしょう。
とはいえ、どうしても行動しなければならないときもある気がします。
その場合には、最悪、トゥルーデおばさんに薪にされて、燃やされる覚悟を決めてから行動すべきだ、ってことなんですかねぇ……。
親の言うことはちゃんと聞こう(?)と思った、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
親の言うことはちゃんと聞こう……?
狐人的読書メモ
・『トゥルーデおばさん』は『ホレのおばさん』のような「善い娘と悪い娘」話の悪い娘だけのバージョンなのでは……という考察に「なるほどな」と思った。
・『トゥルーデおばさん/グリム童話』の概要
KHM43。原題は『Frau Trude』。「親の言うことはちゃんと聞きましょう」という訓話。魔女狩りの暗喩? マイナーだが知ってる人は知ってるっぽいグリム童話。
以上、『トゥルーデおばさん/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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