狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『コルベスさま/グリム童話』です。
文字900字ほどのグリム童話。
狐人的読書時間は約2分。
みんなでコルベスさまをやっつけた。だからコルベスさまは悪い人だったんだ。本当にそうなのか。いつも勝者が正しいのか。それは世の真理か。ある意味残酷なグリム童話。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
昔、おんどりとめんどりがいた。一緒に旅をすることにした。おんどりは四つの赤い車輪の車を作った。四匹のねずみに車を引かせた。まもなく猫に出会った。
「どこに行くの?」
「コルベスさまの家だよ」
「一緒に連れて行ってよ」
「いいとも」
途中、同様に、石臼、卵、あひる、とめ針、ぬい針が車に乗り込んだ。コルベスさまの家に着くと、コルベスさまは留守だった。
そこで、ねずみたちは納屋に、おんどりとめんどりは止まり木に、猫は暖炉のそばに、あひるは井戸の柱の上に、卵はタオルの中に、とめ針は椅子のクッションに、ぬい針はベッドの枕に、石臼は戸の上に、それぞれ落ち着いた。
コルベスさまが帰ってきた。
コルベスさまが暖炉に火をつけようとしたら、猫が灰を顔に投げつけた。台所で洗おうとすると、あひるが顔に水をかけた。タオルで顔を拭こうとしたら、卵が割れて両目に入った。椅子に座ろうとすると、とめ針が刺さった。ベッドに寝転がると、ぬい針が刺した。家を出ようとして戸口へ来ると、石臼が落ちてきて、コルベスさまは潰されてしまった。
コルベスさまはきっと悪い人だったに違いない。
狐人的読書感想
どこか『猿蟹合戦』を彷彿とさせるグリム童話ですね、石臼とか。『猿蟹合戦』は、「猿にやられた蟹のかたき討ち」という大義名分がありましたが、『コルベスさま』にはそれがないところに異質なものを感じます。
「コルベスさまはきっと悪い人だったに違いない」って、……いったい何をしたんだろ、コルベスさま。この逆説的な発想には考えさせられてしまいます。
コルベスさまは何者だったのでしょうか……、領主とか農場主とか、「さま」とつけられるくらいですから、何か身分の高い人だったとは思うのですが、そうすると、おんどりとめんどり一行は領民とか農民とか考えられそうで、支配者に対する民衆の暴動的なお話にも読めそうです。
ニュースなどで報じられる犯罪にしても、結果だけ見て犯人が極悪人だと感じることがありますし、経緯とか聞いてもやっぱりそうなのですが、しかしニュースは実際に自分の目で見聞きしたものではないので、それだけで犯人を極悪人と思い込んでしまってもいいのかなぁ……ということはたまに考えてしまいます。
ニュースに騙されている、というか、ニュースで言ってない情報とか、誤報とかもあるかもだしなぁ……みたいな。
当事者以外の者にとっては、すべてのものごとは伝聞にならざるを得ないわけで、本来当事者以外の者がむやみに彼らの問題に首をつっこむべきではないのかもしれませんが、しかしそれでは社会秩序は守れません。
だから法律とか警察捜査とか、確たる証拠にこだわらないといけないというのは、非常に頷ける話です。
とはいえ、監視カメラ映像だったり指紋だったりDNA鑑定だったり、どこまで「確たる」証拠なのか、という気もします。
それを言ってしまえば、人間の目だって耳だって、どこまで確かなものなんだろ、って思ってしまって……、結局、人間は自分の見聞きした範囲で、自分の責任において物事を判断するしかないのかな、って結論に至ります。
それで、コルベスさまの件については、多数決的にはおんどりとめんどり一行に正義があったように思えるのですが、多数派がいつも正義だとはかぎらないわけで、しかし世の中常に多数派が正義とも言えるわけで……正直、どちらが悪でどちらが正義なのか、この物語だけではさっぱりわかりませんね。
案外、自然災害的な話なんでしょうか。台風や地震や津波に襲われたからといって、それらを悪とは言えないでしょ、みたいな?
あるいは動物や物に悪意はなくて、「悪意のない悪は悪なのか?」的な話なのでしょうか。
そもそも、正義とか悪とかも個人や時代の価値観によって全然変わってきますし、あるいはそういう疑問を投げかける童話だったのかと思えば、それもなんだか完全懲悪のはっきりしているグリム童話っぽくないような気がして――
要するに、よくわからない、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
正義はどこにあるのだろうか。
狐人的読書メモ
・あるいは、おんどりとめんどり一行が悪だったのか? 語り部は下手なことを言って自分の身に害が及ぶことを考え、暗示的な結びの一言をあえて用意したのだろうか?
・それとも、ただの暇つぶしの話に、深い意味や理由は必要ない?
・……やっぱりよくわからない。
・『コルベスさま/グリム童話』の概要
KHM41。原題『Herr Korbes』。日本の類話に『猿蟹合戦』。「答えのない問」といった深いテーマが秘められているのかもしれないし、特に秘められていないのかもしれない。
以上、『コルベスさま/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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