風の又三郎/宮沢賢治=謎の転校生の正体は…転校生って大変だよね。

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

風の又三郎-宮沢賢治-イメージ

今回は『風の又三郎/宮沢賢治』です。

文字32000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約74分。

聞いたことあるけど、風の又三郎が何者なのか、知らない人は結構多いかもしれない。悪霊っぽい風の神の子。謎の転校生三郎君のあだ名。三郎君の正体については諸説あっておもしろい。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

夏休みが明けた九月一日、全校生徒数三十名に満たない村の小学校に、転校生がやってくる。名前は高田三郎、父親の仕事の都合で越してきた。三郎という名前、赤い髪、風変わりな様子、風が荒れる日にやってきたことから、子供たちの一人が「風の又三郎だ」と呼び、それが三郎のあだ名となる。

(「風の又三郎」とは、東北地方で伝説として語られてきた、風の神様の子のこと。神とはいっても悪霊に近しいイメージらしい)

はじめはみんな、三郎に興味を持ちながらも遠巻きにしていたが、すぐに一緒に遊ぶようになり、十日ほどの間、高原の牧場や山ぶどう採り、川泳ぎなど田舎の遊びを楽しむ。

三郎はやはり村の子供たちとは少し違うようで、妹の鉛筆を取り上げた佐太郎に、自分の鉛筆をあげて妹の鉛筆を返させたり、言い争いになった耕助にいさぎよく謝って仲直りしたりする。

三郎と同じ五年生の嘉助は、高原で馬を追い、深い霧の中で道に迷い、倒れて眠ってしまったとき、ガラスのマントを着て、風を操るような三郎の夢を見る。

川で鬼ごっこをしたとき、三郎が鬼となってみんなを強引な手段で捕まえてしまうと、みんなは悔し紛れに「雨はざっこざっこ雨三郎、風はどっこどっこ又三郎」とはやし立てる。誰が言ったのか、三郎は追求するが、みんなとぼけて答えない。この日はそのままなんとなく解散となる。

週明けの朝、村の小学校でただ一人の六年生、一郎は三郎の夢を見て跳ね起きる。胸騒ぎがして、いつもより早く学校へ行くと、先生から三郎が前日に転校したことを告げられる。日曜のことで、みんなに挨拶をすることもできなかったという。

嘉助は「やっぱりあいつは風の又三郎だったな」と言うが、一郎と顔を見合わせたまま、相手が本当にどう思っているのかはわからなかった。

風はやまず、教室の窓ガラスはがたがた鳴っていた。

狐人的読書感想

全体的にファンタジックな雰囲気がありますが、総合すると「普通の転校生」のお話だという感じを受けました。

転校生、高田三郎君の正体は、僕が感じたように「ただの転校生だった説」あるいは「風の又三郎の化身だった説」「風の又三郎が転校生の三郎君に憑依していた説」などがあって、想像してみると、どれもおもしろく感じられます。

学校というのは、非常に排他的なところですよね。

だから、転校生はそこになじむのにとても緊張したり苦労したりするわけですが、それは素朴なイメージのある村の小学校でも変わらず、だけど、すぐ一緒に遊んだりできる協調的な部分もあって――なんだかその子供特有のアンバランスさが不思議な感じがします。

最後はなんだかすっきりしない終わり方でしたね。

結局、みんなは転校生である三郎君を疎外してしまい、その和解がなることなく、三郎君はまた転校して去っていってしまいます。

三郎君を「風の又三郎(悪霊っぽい風の神の子)」すなわち「魔(悪しきもの)」と解するならば、子供たちはその本質を見破って、集団から魔を追い出すことで幼さを卒業し、代償として風の精霊とは遊べなくなってしまう――という、「大人の階段のぼる」的な通過儀礼が描かれている作品ともいわれています。

とはいえ、僕の受けた印象では、三郎君が子供たちとの遊びの中で、そこまで危険な行いや悪意ある行動をしていたとは思えないんですよね。

たしかに最後の川遊びでは、ちょっとやりすぎかな、と感じられるところはあるのですが、やんちゃな子供の遊びのレベルを逸脱していなかったように思われます。

(まあ、みんなが無事だったから言える、結果論なのかもしれませんが……)

三郎君の心情は、明確には描かれていないので、その言動から想像するしかないのですが、けっこうどんなことがあってもひょうひょうとしていた三郎君が、「なんだい」とみんなから疎外されて言った一言からは、寂しさのようなものを感じずにはいられません。

三郎君はみんなに挨拶もできず、村の小学校を離れるとき、どんなことを思ったんでしょうね?

あんな奴らとは離れられてせいせいした?
最後にわだかまりを解いて去りたかった?

親の仕事で仕方がないとはいえ、転校生って大変だよなぁ、なんて単純に思った、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

謎の転校生の正体は……転校生って大変だよね。

狐人的読書メモ

・そもそも三郎は「風の又三郎」なんて呼ばれることにも我慢していたのかもしれない。やっぱり転校生の大変さを感じてしまう。

・『風の又三郎/宮沢賢治』の概要

1934年(昭和9年)『宮沢賢治全集 第三巻』(文圃堂書店)にて初出。宮沢賢治の代表作の一つ。風の精のSF冒険譚『風野又三郎』、『種山ヶ原』や『さいかち淵』など、複数の先駆作をコラージュして書き上げられた作品だという。

以上、『風の又三郎/宮沢賢治』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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