神神の微笑/芥川龍之介=日本の力は造り変える力!やっぱりすごい日本!

狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

神神の微笑-芥川龍之介-イメージ

今回は『神神の微笑/芥川龍之介』です。

文字数11000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約30分。

昔のキリスト教宣教師が感じた日本の言い知れぬ力。それは外国から伝わってくる文化を日本独自のものに造り変える力!マンガ、アニメ、ゲーム……日本は凄い国だと改めて思った。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

十六世紀頃の戦国時代、キリシタン布教の全盛期。ある春の夕暮れ、京都の南蛮寺の庭で、宣教師オルガンティーノは言い知れぬ不安に襲われていた。

風景は美しく、気候も温和で、人もまあ親しみやすく、布教も進んでいる……しかしこの国のいたるところに、不安をあおる何かが満ちている……。

オルガンティーノは夕の祈祷にて、日本の神霊と戦うための加護をデウスに祈る。が、彼の目の前には日本神話の天岩戸の場面が幻想として現れる。

オルガンティーノはそのあまりの衝撃に気絶してしまう。深夜、意識を回復したオルガンティーノは「この国の霊と戦うのは困難らしい」と呟く。すると「負けですよ!」と姿なき声が聞こえる。

翌日の夕も南蛮寺の庭を歩いていたオルガンティーノは、幾分か昨日の憂鬱を払しょくしているようだった。数名の新たな入信者があったからだ。

しかし、そんな彼の前に、首に勾玉を下げた老人が現れる。老人は日本太古の神の一人だと名乗り、オルガンティーノに語り始める。

この国にはデウスだけでなく、孔子、孟子、荘子などいろいろな考え方、物や文字が渡来してきたが、我々を征服することはできなかった。たとえば、漢字はひらがなやカタカナに造り変えられ、逆に我々が征服しているともいえる。我々の力とは破壊するものではなく、まさにこの造り変える力。デウスもまたこの国に取り込まれるかもしれない。お気をつけなさい。

――デウスが勝つか天照が勝つか、いまは容易に断定できず、それは現在、そして未来の日本人の事業にかかっている。

狐人的読書感想

日本神話とキリスト教と――宗教観を中心にして、日本の独特な精神的風土や文化の在り方を、描いている作品のようですね、これは。

むずかしいことはよくわからなかったのですが、日本という国が独自の文化を持っている特別な国だ、というところは僕にも頷ける考えです。

日本は島国であり、他国との接触が遅かったり限定的であったことが影響しているのかもしれませんが、いつの時代も特徴的な独自の文化を貫き通している面がありますよね(もちろん失われているものもありますが)。

中国や西洋から入ってきた文化や物があったとしても、それらには完全には染められずに、むしろそこから新しいものを生み出してきた――老人の語るところでは、文字(漢字)の件はとても納得できるものです。

いまの時代、日本独自の文化で目立っているものといえば、マンガ、アニメ、ゲームなどを思い浮かべるのは、僕だけではない気がします。

日本のマンガやアニメやゲームは他の国にはないもので、もちろん他国でも作られてはいるのでしょうが、日本のものに敵うものはなく、やっぱり日本が一番だと思うんですよね。

『……しかし我々の力と云うのは、破壊する力ではありません。造り変える力なのです。』

――という部分は、本当に共感できました。

自動車とか家電製品なんかがよい例になるのでしょうか、まさに造り変える力こそ、日本人の力だという気がします。

近代に入り日本は西欧化したといわれていて、たしかに西欧化で失われてしまったものもあるように思いますが、しかし西欧文化を取り入れることで、新たに生まれたもの、またより優れたものに造り変えられたものが、たくさんありますよね。

マンガ、アニメ、ゲーム、家電、寿司……いまや日本のいろいろな文化や物や食べ物が、海外へと発信されて、本作で描かれている日本国内においてのデウスと天照の戦いは、世界の国々に舞台を広げているように感じられます。

現代では、日本の西欧化ではなくて、世界の日本化が進んでいる?

もちろん、日本が有利なものばかりではありません。それでも日本ってすごい国だよなあ、と、改めて思わされた、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

日本の力は造り変える力! やっぱりすごい日本!

狐人的読書メモ

・どの国にも滅びない文化はあると思う。だけど新しい他文化を取り入れて、自国の文化を新しく生んだり発展させたりする力は、やっぱり日本が優れていると思った。

・『神神の微笑/芥川龍之介』の概要

1922年(大正11年)『新小説』にて初出。芥川龍之介のキリシタンもの。外国から伝来した文化を元に、独自の文化を作り上げる日本人の特性。日本人の力は造り変える力。日本人論。たしかにそうだと思わされる説得力がある。そう思わされるすごい小説だと思う。

以上、『神神の微笑/芥川龍之介』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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