狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『ヒント/織田作之助』です。
織田作之助 さんの『ヒント』は文字数365字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約1分。
このブログで全文読めます。
ボンボン坊ちゃんとの出会いが彼の人生を変える!
コカ・コーラ、コーンフレーク、万年筆、亀山モデル
失敗をヒントに頑張りましょう!
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
(不要だとは思いつつ、どうぞ)
彼は背を焼かれるような後悔に責められた。
喫茶店で全メニュー大人注文する子供との出会い。
この出会いが彼ののちの人生を大きく変えたのだ(笑)。
(超短い、パブリックドメイン、どうぞ)
『ヒント/織田作之助』
彼は十円持って喫茶店へ行き、一杯十円の珈琲を飲むと、背を焼かれるような後悔に責められた。
隣のテーブルでは、十二三の少年が七つ位の弟と五つ位の妹を連れて、メニューにあるだけのものを全部注文していた。そして、二百円払って出ようとするのを、彼はあわてて引きとめて、きいた。
「君はいくら小遣いをもらうの?」
「一日二百円」
「へえ……? お父さんの商売は……?」
「ジープを作ってる」
彼はびっくりして口も利けなかった。が、喫茶店を出て町を歩いていると、玩具屋で金属製のジープの玩具を売っていた。これだなと、はじめて釈然とした途端、彼は新事業を思いついた。彼はあり金をはたいて、盗難よけのベルの製造をはじめた。製品が出来たので、彼は注文を取って廻った。そして帰って見ると、製品の盗難よけベルはいつの間にか一つ残らず盗まれていた。
狐人的読書感想
ふむ。短っ!
パート2……、というのも、前回のブログ記事を見ていただければわかるかと思いますが。
(前回の織田作之助 さんの読書感想はこちら)
織田作之助 さんは速筆で、昭和二十一年当時の作品数を比較すると、かの太宰治 さんの三倍は書いていた、というお話を聞いたことがありますが、ひょっとして……、と疑ってしまうような短さです(おいおい……)。探せばもっとありそうな予感。
狐人的には、ユーモアがあったり驚きがあったり……、短くまとまっているからこそいい小説、というものが、結構好きだなあ、と気付きつつある今日この頃なので、これは嬉しいことなのですが。
それで、『ヒント』の内容はといえば、驚きはありませんでしたが、『経験派』同様ユーモアがあって、おもしろかったです。
オチの部分もさることながら、実際店の全メニューを大人注文している子供を見たら、びっくりしてしまうでしょうね。
ただ彼が、おもちゃのジープから盗難よけのベル製造の着想を得たのには、ちょっと違和感を覚えました。車を盗まれないための盗難よけのベル、といえば、まあわからなくもないのですが(実際ハイエースの盗難がヤバいらしいですね)。とはいえ、僕の想像力が弱いだけなのかなあ……、と思わなくもないので、この辺りはぜひ読んだ方と意見を交えたいところではあります(よかったらコメントよろしくお願いします)。
彼の事業は失敗に終わってしまいましたが、「失敗は成功のもと」といいますから、ぜひこれにめげず、がんばってほしいですね(すごい他人事感)。
「失敗は成功のもと」とかいいましたが、「失敗は成功だった」というものも数多く存在します。
たとえば。
- 『コカ・コーラ』
コカ・コーラはもともと薬を開発しようとして失敗し、薬効はないけどおいしかったから売り出してみたところ、瞬く間に大ヒットとなった商品と聞きます。
- 『コーンフレーク』
「ケロッグ、コーンフレーク」のコーンフレークですが、ケロッグ社のケロッグ さんの弟、医学博士のケロッグ さん(ややこし?)によって発明された健康食品です。これは、弟のケロッグ さんが病人食を作ろうとして、パン生地をうっかり放置して乾燥させてしまい、もったいないからそのまま延ばして焼いたところ、フレーク状のものが出来上がり、これが患者たちに好評だったので、商品化して大成功しました。
- 『万年筆』
毛細管現象という物理現象を利用して、インクの漏れない万年筆を作ったのは、ニューヨークで保険の外交員をしていたウォーターマン さんでした。とある大口契約の席で、ウォーターマン さんが契約書にサインをしようとしたところ、使っていたペンからインクが漏れて、契約書を汚してしまい、急いで新しいものを用意するも、そのときにはすでにライバル会社が契約したあとでした。この失敗からインク漏れのない万年筆が誕生しました。
こうして並べて見てみると、何が新しい商品のきっかけやアイデア、すなわちヒントになるのか、本当にわからないものですね。
ちなみに、あまり知られていないのかもしれませんが、「成功は失敗のもと」ということわざもあります。「『失敗は成功のもと』の間違い?」と言われてしまいそうなのですが。
「成功は失敗のもと」の意味は、簡単にいってしまえば「前に成功してもまた成功するとは限らない」といった感じになるでしょうか。
これをやはりビジネスシーンでたとえるならば、シャープの液晶テレビ「亀山モデル」の衰退が良い(悪い?)例になるかもしれません。
国内一貫生産などの良い製品へのこだわりは、一時期話題になりましたが、ビジネス環境が変化するなか、あくまでもそれにこだわり続けた結果、失敗に転じることとなりました。
失敗をヒントにして、ぜひ再建してほしいですね(すごい他人事感、パート2)。
読書感想まとめ
失敗をヒントにしよう!
狐人的読書メモ
……ミニチュアホース、かわいい。
ひょっとしたら、織田作之助 さん作品のみで、「このブログで読めるシリーズ」が作れるかも(要検討)。
・『ヒント/織田作之助』の概要
1976年(昭和51年)発行、『定本織田作之助全集 第六巻』(文泉堂出版)に収録された短編小説。1分で読めるユーモラスな超短編小説。
以上、『ヒント/織田作之助』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
(▼こちらもぜひぜひお願いします!▼)
【140字の小説クイズ!元ネタのタイトルな~んだ?】
※オリジナル小説は、【狐人小説】へ。
※日々のつれづれは、【狐人日記】へ。
※ネット小説雑学等、【狐人雑学】へ。
※おすすめの小説の、【読書感想】へ。
※4択クイズ回答は、【4択回答】へ。
コメント