狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『腕のいい狩人/グリム童話』です。
文字数5000字ほどのグリム童話。
狐人的読書時間は約13分。
若者が転職する思い切りのよさに感心させられました。好きなことをするために、いまある立場を捨てるのは勇気いりますよね。好きを仕事にするべきか、嫌いな仕事を好きになるべきか。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
昔、錠前屋の仕事を覚えた若者がいて、その仕事が好きではなくなったので、狩人になろうと旅に出た。若者は緑の服を着た狩人と出会い、その弟子となって何年かの修行を積み、一丁の空気銃をもらってまた旅立った。その空気銃には、撃つと必ず当たるという性質があった。
若者が森の木の上で夜を明かそうとしていると、真夜中近くに遠くで小さな明かりが揺れていた。翌日、その明かりの方へ進んでいくと、三人の巨人が串刺しにした牛を焼いて食べようとしているところだった。若者は一人の巨人が手に持った肉を空気銃で何度も撃ち飛ばした。若者に気づいた巨人は、彼を呼びよせて話をした。
若者の銃の腕を見込んだ巨人は、「森のはずれの大きな湖の後ろに塔が立っていて、美しい王女が閉じ込められている。その王女をぜひ連れてきたい。近くにすぐ吠える犬がいて、俺たちが行くと吠え出して城のやつらが目を覚ましてしまう。そいつを撃ってくれないか?」と言った。
若者は巨人の頼みを引き受けて、犬を撃って一緒に城を目指した。巨人たちを外で待たせて城に入った若者は、最初の部屋で王様の名前がついた純銀の剣を手に入れた。近くのテーブルに手紙があり、この剣は歯向かう者はなんでも切り倒せるのだと書いてあった。
王女の部屋ではとても美しい王女が眠っていた。ベッドの下には室内履きが置かれ、右足には星と父親の名前、左足には星と王女の名前が書かれていた。王女は金の刺繍入りのスカーフを身に着けていて、やはり右端に父の、右端に王女の名前が書かれていた。若者は王女のスカーフの右端と寝間着を少しだけ切りとって、右の室内履きと一緒にバッグに入れて部屋を出た。門に戻った若者は、巨人たちの頭を剣で切り落とし、その舌を切りとってバッグに入れて、さらに旅を続けることにした。
城で目覚めた王様は、三人の巨人のなきがらを見て、誰が巨人を倒したのかと尋ねると、片目で醜い大尉が「私がやりました」と名乗り出た。王様は大尉と王女を結婚させることにしたが、王女はそれを拒絶した。王様は王女に焼き物を売る仕事をするように言いつけるが、王女は品物を荷車にすべてひかれてしまう。それは王女を諦めさせて大尉と結婚させようとする王様の策略だった。王女は悲しみながらも大尉と結婚しようとはしなかった。
王様は森に一軒の家を建てて、そこで一生お金をとらずに料理をするよう王女に言いつけた。噂を聞いた若者が王女の家を訪れると、王女は若者の剣を見て、その剣をどこで手に入れたのか尋ねた。若者は一部始終を王女に話し、王女は本当に自分を救ってくれた恩人との出会いを喜んだ。城に戻った二人は、王様に事の次第を説明し、証拠となる品々を見せた。王様は喜んで宴会を開いた。
宴会の席で王様は大尉になぞかけをした。
「誰かが三人の巨人を倒したと言い、巨人の舌はどこにあるか、と聞かれ、見に行くと巨人の口に舌はなかった。さて、どうしてか」
「巨人に舌はなかったのです」
「どんな動物にも舌はある。そいつは嘘をついている。さて嘘をついたそのものにどんな罰を与えるべきか」
「ばらばらに引き裂かれるのがよいでしょう」
王様はその罰を大尉に与えることにした。若者は王女と結婚し、父母を呼び寄せて幸せに暮らし、後年王様がなくなるとその国を継いだ。
狐人的読書感想
錠前屋の若者が狩人に転職する思い切りのよさに感心させられてしまいました(あまり本筋には関係ないところかもしれませんが)。
転職でもなんでも、好きなことをするために、いまある立場を捨てるのって、簡単なことではないような気がするんですよね。
まあ、童話だからあっさり書かれているだけで、それなりの葛藤が若者にもあったのかもしれませんが。
しかしながら、好きじゃないからあっさりやめるというのも、批判的に見ることができるのかもしれません。
好きなことを仕事にできる人はかなりの少数派のはずですし、好きな仕事をするのではなくて仕事を好きになる努力をしなければいけないのだとも思います。
そこら辺のバランスってどうやってとったらいいのかなあ、とかふと思った、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
好きなことを仕事に? 嫌いな仕事を好きに?
狐人的読書メモ
・『腕のいい狩人/グリム童話』の概要
KHM111。原題:『Der gelernte Jäger』。
以上、『腕のいい狩人/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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