狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『I can speak/太宰治』です。
文字2000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約5分。
人生良い時もあれば悪い時もある。どん底から好転の兆しが見え始めたとき、人はちょっとしたことに希望の光を見る。それは歌だったり気になるあの人の声だったりする。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
いろいろあって山梨へ移り、心機一転、歌を忘れ「生活のつぶやき」とでもいった長編小説を書き出し、それに手ごたえを感じ、人生に明るい日差しがさしこみはじめたころの話。
甲府の町外れの下宿屋で、昼ごろから仕事をしていると、小路一つ隔てた製糸工場から女工さんたちの歌が聞こえてきて、その中の一人の声が際立って私の心を惹く。
その声に日々どれだけ救われているか、恋かもしれない、工場の窓から投げ文でもしようか、しかし相手の迷惑を考えて思い直す。
ある寒い静かな夜、その工場の小路から酔っ払いの声が聞こえてくる。どうやら工場の女工さんとその弟が何やら話をしているらしい。弟の言う「I can speak」という英語が苦しいくらい私を打つ。
『はじめに言葉ありき。よろずのもの、これに拠りて成る。』
忘れた歌を思い出したような気がした。
『あの夜の女工さんは、あのいい声のひとであるか、どうかは、それは、知らない。ちがうだろうね。』
狐人的読書感想
再生への希望というか、明るさが感じられる作品で、なんかいいですね。
人生、うまくいくときもあればいかないときもあり、苦しみの中でもがきながらつかむ微かな手ごたえや、明るい未来を予感させる予兆的な出来事――。
小さなことでもそういったものに救われる気持ちを思い出させてくれる、心に残る作品でした。
仕事がうまくいき始めていたとき聞いた女工さんの歌声は、きっと「私」にとって希望の光の象徴のようなものになっていたんでしょうね。
歌や音楽が苦しいときの励ましや慰めになってくれるという気分は、共感できるように思いました。
あるいは好きな異性の声を聞いただけでその日一日がんばれそうな気がする! みたいな? それが恋? ……なんとなくわかるような気がします(ちがうだろうね、かもしれませんが)。
タイトルにもなっている『I can speak』という英語の言葉は、やはり印象的です。
何事も話さなければ始まらない。
といった感じなんですかね。
小説を書くこととか、人間関係だとか、いろいろな物事に通じているような気がします。
……ところで、英語といえば最近は『Google 翻訳』とかのアプリで、外国語を機械翻訳してくれるサービスがあり、それを使っておもしろい遊びをしていたのをテレビで紹介してたんですよね。
翻訳アプリに適当な英語を入力して発音させると、意味のある日本語に聞こえるというものなんですが、たとえば、
・「number boogie number go may number tom a go」が「生麦生米生卵」に聞こえる!?
・「show key no Saturday night」が「正気の沙汰でない」に聞こえる!?
・「oh gee sun cut to rag are zoo let tell your」が「おじさん、カツラがずれてるよ!!」に聞こえる!?
・「Corner Nut Car Knee Oh Either Summer Why Rat Shy Mass Car」が「この中にお医者様はいらっしゃいますか?」に聞こえる!?
・「worry worry war would you gender」が「ワレワレは宇宙人だ」に聞こえる!?
・「nut good the not! oh ya gee knee more boo the let that coat toe night no knee!」が「殴ったな! 親父にもぶたれたことないのに!」に聞こえる!?
といった感じです。空耳的な。
『I can speak』(英語)が心に残った、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
君の声を聞くと一日頑張れそうな気がする。
狐人的読書メモ
・しかしどん底のときにわずかでも希望の光を見出すのはとても難しく感じられる。状況がちょっとでも好転したとき、そのような光も見えるのだという気がする。
・『I can speak/太宰治』の概要
1939年(昭和14年)2月、『若草』にて初出。苦悩からの再生への祈り。明るい希望が感じられる作品。
以上、『I can speak/太宰治』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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