狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『創作人物の名前について/夢野久作』です。
文字6000字ほどのエッセイ。
狐人的読書時間は約19分。
小説、マンガ、アニメ、ゲーム……登場人物の名前ってどうやって決めてるんだろう? って疑問に思ったことありませんか? 創作するあなたはどう? 思わず手に取ってしまいました。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
・小説などの登場人物――創作人物の名前を考えるのは、我が子の名前やペンネームを考えるよりも難しい。
・ロシアのある作家は、町中の表札を覗きまわって、大変な苦労をしたという話もある。いまは電話帳などがあるが、そこにのっている名前ではなかなか満足できない場合がしばしばである。
・大正七年頃、生まれてくる子を男の子だと決めつけて、ナポレオンと名づけようとしたら、女の子で、ナポ子とつけた話がある。小説でもそんなことをしたら、バカにしていると読者に怒られてしまうだろう。
・創作人物の名前の条件、その一。性格や見た目にマッチした名前でなければならない。しかも昔の神話やおとぎ話のようにあからさまなものではなくて、自然なものでなければならない。また、これは個々の感性にもよってくるので、なおさら難しい。
・創作人物の名前の条件、その二。名前でその人物の見た目が想像できなければならない。例として、大山壮太郎が小男で、小川一平が雲突く大男と書いたら読者はちょっと首をひねるだろう。
・創作人物の名前の条件、その三。読者に記憶されたすいこと。ありふれた名前では登場人物の混線が予想され、あまりとっぴな名前だとリアルさを失う。長谷倉とか東海林とかいったような珍しい名前は、わざとらしさや読めない、ルビの間違いなどが気にかかる。
・創作人物の名前の条件、その四。多く実在する名前は使いたくない。もしも田中という人物を極悪人に描いてしまえば、日本中の田中さんは不快な思いをするかもしれず、作者としても良心の呵責を禁じ得ない。
・とはいえ、案ずるより産むが易しといった場合もある。後で考えるつもりで、いい加減な名前をつけた登場人物が、生き生きと物語を盛り上げてしまい、その名前以外考えられなくなることがある。
・主役らしい名前、脇役らしい名前、赤ちゃんらしい名前――しかし赤ちゃんが成長したときおかしくない名前、さらに外国人の名前、舞台となる地方特有の名前……ここまで突き詰めて考えていくと精神的に非常に疲れる。
・ホームズ、ルパン、明智小五郎……創作人物の名前がその作品にピッタリなものであれば、その作品自体もいいものである場合は多い。
狐人的読書感想
『創作人物の名前について』というタイトルを見て、思わず手に取ってしまったのですが、創作に興味を持っている人ならば、同じように思うんじゃないかと思い、検索してみると、やはり夢野久作さんの小品としては、結構読まれている印象を受けました。
小説やマンガなどの登場人物、創作人物の名前の付け方って、たしかに仲間内で話してみても、おもしろい話題かもしれませんね。あるいは創作しない人でも、ゲームのユーザーネームの付け方だったり。
僕の場合はなんとなく思い浮かんだものを付けていたので、夢野久作さんがいろいろ試行錯誤して創作人物の名前を考えていたことには、とても驚いてしまいました。
人物像に合った名前であったり、覚えやすかったり、あるいは悪役には多く実在する名前は使わない配慮とか――いわれてみれば、たしかに説得力がありますね……今後、もっと気をつけて創作人物の名前を考えてみるべきかもしれません。
このエッセイの中では、電話帳や辞書を参考に決めるという話も出てきますが、現代ではやはりネットでしょうかね。調べてみると、登場人物の名前を自動でつけてくれるツールなんかもあるみたい。
ついでに、登場人物の名前を決めるコツを載せているサイトもいくつか見てみました。やはりキャラの特徴に合わせたもの、覚えやすいもの、語呂がよいもの……など、夢野久作さんが気をつけていたことと、あまり変わりないことが、現代でも重要視されているようです。
一つ、違いがあるとすれば、現代ではさほどリアルな名前は求められていない感じでしょうか……小説でもマンガでもアニメでも、珍しい名前というか、現実ではなかなかありえないような名前って、多いような気がします。
もちろん物語の雰囲気や舞台、ジャンルにもよるのでしょうが、現在はどこか非現実的な設定を盛り込んだ物語が主流であり、物語にリアルを求める感じではないのかもしれません。
時代に合わせた創作人物の名前の付け方もまた、大切な条件なんでしょうね。
ふと、自分の好きな作家さんや、有名な作家さんは、どうやって登場人物の名前を決めているのか、気になりました。
また調べてみようと思った、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
思わず手に取ってしまいました。
狐人的読書メモ
・作家の裏話的なエッセイはおもしろいと思った。他の人のも探して読んでみたいなと思った。
・『創作人物の名前について/夢野久作』の概要
1936年(昭和11年)『月刊探偵』にて初出。夢野久作の創作裏話的なエッセイ。小説に興味を持つ人なら、このタイトルは思わず手に取ってしまうのではなかろうか。
以上、『創作人物の名前について/夢野久作』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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