狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『お月さまを/新美南吉』です。
文字数100字ほどの詩。
狐人的読書時間は約10秒。
読むのに10秒かかりません。船乗りと女の子……お月さまを見上げる情景……心に残る詩です。ブルームーンは青い月じゃないって知ってる? 漱石の月が綺麗ですね、都市伝説だって知ってる?
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
(今回は全文です)
『お月さまを/新美南吉』
お月さまを
みいあげた。
マストにのぼつた
ふなのりが。
何だか青いと、さういつた。お月さまを
みいあげた。
わたしが窓から
一人きり。
母さん静かね、さういつた。
狐人的読書感想
これは普通の文章で書かれた詩、すなわち散文詩、なんですかね?(韻律はありますが)
さすがに読書感想を書くには短すぎるかとも思いましたが、なんだか独特の趣があって「いいね!」ってなったので、書き残しておくことにしました。
おそらく誰もが10秒かからず読めてしまうので、内容はあえて説明を加える必要もなく(しかしあえて説明を加えるやつ)、船乗りと(おそらく)小さな女の子が、マストと家の窓と、それぞれの場所から、月を見上げる様子が描かれています。
短すぎるほど短いのに、その場面、情景が思い浮かんでくるような文章ですよね。リズムもよくて、心にいつまでも響きます。
船乗りと女の子が、それぞれ月を見て感じた情感を、非常にシンプルに呟いているのが印象的です。
ふと、こんなツイートがしてみたいな、みたいな。
まずは船乗りが感じた情感から。
『何だか青いと、さういつた。』
という部分ですね。
黄色や灰色といったイメージの月を、「青い」というのは、なんだか詩的で素敵だなあ、なんて、(さすが詩だけに)思わされてしまいますね。
船乗り詩人だなあ、みたいな。
青い月といえば、今年(2018年)の1月31の宵から深夜にかけて、スーパーブルーブラッドムーンなるものが出現しましたよね。
なんだか凄そうな名前だなあ、なんて思った記憶があります。
「スーパームーン」は月が地球に接近して普段より大きな満月に見える現象のこと、「ブルームーン」は1ヶ月に2回ある満月のこと、「ブラッドムーン」は地球に太陽光を遮られる皆既月食の際、地球の大気の影響を受けにくい赤色光が強く月へ届くため、赤暗く見える現象なのだそうです。
(ブルームーンって、比較的青っぽく見える月のこともいうそうですが、満月のことなんですね……、知りませんでした)
普段、月がはっきり見える夜などは、「まるで墓場のようだ」などと感じることがあります。
赤暗い月というのも、なんだか不吉というか不気味な印象を、狐人的には受けてしまうのですが、「大きくて赤くてきれいだったね」という感想のほうが多いですかね。
青い月の話をしていたら、大きくて赤くてきれいな月の話になってしまいましたが、さらに「月が綺麗ですね」といえば、夏目漱石さんの話を思い出すのですが、どうでしょうね?
近年では『月が綺麗ですね』というマンガがあったり、『月がきれい』というアニメがあったりしますが、むしろそちらを思い浮かべるというひとのほうが、多かったりするのでしょうか?
夏目漱石さんが英語教師をしていた頃に、「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳しなさい、みたく教えたという有名な逸話がありますが、どうやら根拠不明の都市伝説だそうです。
「月がとっても青いから」と訳すのだとする話もあって、本作の船乗りの「月が青い発言」からそのことを思い出したという、無駄に長い雑談でした。
つぎに、女の子の感じた情感も、少しだけ。
『母さん静かね、さういつた。』
というところです。
正直、このフレーズの意味、わかりかねているんですよね。
母さん静かね、って、お母さんに語りかけているように思ったのですが、しかし『わたしが窓から一人きり』なんですよね。
家にいるお母さんが静かだと言いたいのかとも思ったのですが、家にお母さんがいないから静かだと言っているような気もして……、なんだか意味深な感じがするのです。
ひょっとして、女の子のお母さんはすでにこの世になく、月にいるお母さんに「静かな夜だね」みたく話しかけているのだとしたら、しんみりとした雰囲気が感じられます。
あるいは女の子は小さな子どもではなくて、大人の女性ということも考えられるのかもしれませんね。
そうなってくると、また違った趣を、そこに感じることができるような気がします。
あなたはどう思いますか?
という雑談でした。
読書感想まとめ
今回はブルームーンとただの空想について、雑談しただけでしたが、その情景が思い浮かんでくるような、読後も心に余韻が残るような、いい詩だと思いました。
狐人的読書メモ
・短い文章で人の想像力をかき立てることができるのは単純にすごいことだと思ってしまうが、長い文章の中に言わずとも伝わるテーマが含まれているのが、現在主流の小説だと思う(どちらも同じこと言ってるか……短いか長いかの違いだけか……)。
・短編小説には短編小説のよさがあるが、現代は小説の数が圧倒的に多くなりすぎていて、もはや流行らないのだろうか?
・狐人的には短くてすぐに読める短編小説が好きなのだけれども。
・もちろん、長いシリーズものの小説も好きなのだけれども。
・『お月さまを/新美南吉』の概要。1931年(昭和6年)12月『チチノキ』にて初出。わずか百字足らずの散文詩。短くとも情景が伝わり、心に残る作品。ひとそれぞれによって違った見方ができる月が興味深い。ひとそれぞれによって違った見方ができる文学作品が興味深い。
以上、『お月さまを/新美南吉』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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