恋をしに行く/坂口安吾=激しい描写?犯罪は遺伝?とりま恋をしに行こう!

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

恋をしに行く-坂口安吾-イメージ

今回は『恋をしに行く/坂口安吾』です。

文字数17000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約47分。

魂の恋を求める主人公の説得力のなさ。
激しい描写やグロが欲求不満を解消し、
犯罪の抑止力になってる?
犯罪性は遺伝する?
美人とブスの経済格差はおいくら?
とりま恋をしに行こう!

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

谷村は肉体のない恋がしたいと思っていた。ただ魂だけの、燃えるような恋だ。その恋を思うとき、谷村の心に浮かぶのはいつ信子だった。谷村は信子に告白することを決意する。

信子には少なくとも二十人の情夫がいる。そして誰一人として愛していない。信子は悪党、先天的な妖婦、噓偽りで固めた薄情冷酷者、天性の犯罪者――信子の情夫の一人はそう言う。

冬の日、谷村は信子の家を訪れた。そして落ち着いた気持ちで信子を口説いた。

愛されるばかりで愛さない君、冷たくて人を迷わす機械は君、永遠に真実を言わないのは君――だけどそれでかまわない、僕は君という美しい風景に恋がしたい、愛されるよりも愛したい、君が僕の絶対であるようになりたい……。

信子は目を閉じて、谷村の告白を放心したように聞いていた。ああ、あつい。頬がほてった。

谷村は告白に対する許しを得たように思った。そして激しい驚きに打たれた。信子の顔のほてりに、暴風のような情熱を感じた。谷村は初めて信子の肉体を意識した。自分はなぜいままで、信子を肉体のない女だと思っていたのだろう?

谷村と信子は激しく結ばれた。

肉体とはこのようなものでもあったのか。谷村の予想は裏切られた。しかしそれに悔いはなかった。だが思わずにはいられなかった。魂とは何か? そのようなものがあるのだろうか? 肉体ではない何か、男女をつなぐ何か、ひとつのひものような何かが。

すべては爽やかで、満たされていた。
しかしただひとつ満たされていない。
たぶん魂と呼ばねばならない何かが。

狐人的読書感想

またしても、大人な小説でした。

発表当時、ラスト付近の激しい描写が話題となったそうです。GHQの検閲にも引っかかったらしく、とはいえそういった描写はプレス・コード違反ではなかったので、原文そのまま掲載されたとのことでした。

たぶん、現代の感覚で読めばさほど激しい描写とも思えないのですが、当時はこれで行き過ぎた描写という意見もあったようですから、時代による価値観の変遷みたいなものを感じてしまいます。

激しい描写やグロテスクは忌避されるものではありますが、同時に人の心を強く惹きつけるものでもあります。

小説、マンガ、ゲーム、映画――現代では、そういったエンターテインメント作品が数多く見られ、そういう作品の悪影響が犯罪につながっているといった論調も一時期あったみたいですが、一概にそうとばかりもいえない気がするんですよね。

激しい描写やグロテスクなエンターテインメント作品に触れることで、内に秘めた欲望を解消し、それによって欲求不満からくる犯罪を抑止している側面もあるのではなかろうか、などと思ってしまいます。

悪影響の場合は実際の事件になるから見えやすく、抑止力については表に現れないので見えにくく、だけどどちらのほうが多く機能しているんだろう、といった疑問には興味を覚えます(狐人的には後者だと考えています)。

検証や証明は難しいことだとは思いますが。

とはいえ、最近は小学生でもスマホを持ち、インターネットを扱う時代、心が未発達な子供の教育的影響のことを思えば、やはり厳しい規制が必要だという意見も納得できます。

しかし、こういったことはいくら議論しても仕方のないことなのかなあ、ということもよく思います。

何か事件が起きれば自ずと規制は厳しくなるし、何も起こらなければなあなあでいくことになる――それでバランスが取れているのだと考えれば、自然のままに任せるしかないのかなあ、みたいな。

てか、内容に一切触れず、何を長々と書いているんだろう、みたいな。

軌道修正。

まずはタイトルがいいなと思いました(坂口安吾さんはタイトルにあまりこだわりを持っていなかった作家さんではありますが)。

「恋をしに行く」ってなかなか言わないですよね。アグレッシブな感じがします。草食系とか絶食系とかいわれている昨今だからこそ、キャッチフレーズとして使えそうだと思ってしまうのは、僕だけ?

恋をしに行こう!

――なんかいい気がします。

主人公の谷村にはあまり共感できませんでした。キザっぽいしナルシストっぽいし、言ってることとやってることがごちゃごちゃだし、まあ、それが恋をしている人間の姿、という気もするのですが。

肉体のない恋、魂の恋、などと言っておきながら、結局あのラストですからね……、しかもじつは素子という妻がいるという……、説得力を感じられないのは僕だけ?

信子を評するフレーズで「先天的な犯罪者」というものがあって気になりました。

犯罪性は遺伝するのか?

――なんてことをふと考えたことのある人が多いか少ないかはわかりませんが、犯罪性は一般的には家庭環境などの後天的な影響が強いといわれ、しかして著しい反社会的な傾向は遺伝するとも聞いたことがあります。

同様に、頭のよさや運動神経も遺伝するのかなあ?

――なんて考えたことのある人は多いかもしれません。これも頭のよさの場合はその遺伝子が確実に子に受け継がれ、さらに発現するという可能性は不確定であり、運動神経の場合はほとんど遺伝はしないとされ、ともに後天的な要素、幼児期の運動が重要なのだといいます。

とはいえ、どうしても遺伝ということは考えてしまいますよね。何かうまくいかないことがあると「遺伝のせいじゃないの?」みたいな。「美人とブスの経済格差は3600万円」なんてこともいわれますし。

言ってはいけない残酷な真実が隠されているのだとすれば、遺伝というのは大変興味深いもののように感じています。

読書感想まとめ

激しい描写は規制されるべきか?
犯罪性は遺伝するのか?
恋をしに行こう!

狐人的読書メモ

もう一つ気になったところに、音楽と肉体の快楽を結び付けて書かれているところがある。音楽のヒーリング、恍惚、陶酔などの効果はよくいわれることではあるが、僕自身それを実感したことはあまりないように思う。音楽は芸術ではなく香水に似ているというが、音楽を聴くにも才能がいる? ――ということはたまに思う。

・『恋をしに行く/坂口安吾』の概要

1947年(昭和22年)『新潮』にて初出。魂の恋とは?

以上、『恋をしに行く/坂口安吾』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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