小説の面白さ/太宰治=小説の面白さを太宰治が語るのかと思いきや…。

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

小説の面白さ-太宰治-イメージ

今回は『小説の面白さ/太宰治』です。

文字数1000字ほどの随筆。
狐人的読書時間は約3分。

小説の面白さを太宰治が語っているのかと思いきや、そんなわけなかった話。一行で言えることを長々書くのはムダなのかという話。小説を書くのはとにかく時間がかかると思った話。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

(今回は全文です)

『小説の面白さ/太宰治』

小説と云うものは、本来、女子供の読むもので、いわゆる利口な大人が目の色を変えて読み、しかもその読後感を卓を叩いて論じ合うと云うような性質のものではないのであります。小説を読んで、えりを正しただの、頭を下げただのと云っている人は、それが冗談ならばまた面白い話柄でもありましょうが、事実そのような振舞いを致したならば、それは狂人の仕草と申さなければなりますまい。たとえば家庭に於いても女房が小説を読み、亭主が仕事に出掛ける前に鏡に向ってネクタイを結びながら、この頃どんな小説が面白いんだいと聞き、女房答えて、ヘミングウェイの「誰がために鐘は鳴る」が面白かったわ。亭主、チョッキのボタンをはめながら、どんな筋だいと、馬鹿にしきったような口調でたずねる。女房、にわかに上気し、その筋書を縷々るると述べ、自らの説明に感激しむせび泣く。亭主、上衣を着て、ふむ、それは面白そうだ。そうして、その働きのある亭主は仕事に出掛け、夜は或るサロンに出席し、いわく、この頃の小説ではやはり、ヘミングウェイの「誰がために鐘は鳴る」に限るようですな。

小説と云うものは、そのように情無いもので、実は、婦女子をだませばそれで大成功。その婦女子をだます手も、色々ありまして、あるいは謹厳を装い、或いは美貌をほのめかし、あるいは名門の出だと偽り、或いはろくでもない学識を総ざらいにひけらかし、或いは我が家の不幸を恥も外聞も無く発表し、以て婦人のシンパシーを買わんとする意図明々白々なるにかかわらず、評論家と云う馬鹿者がありまして、それを捧げ奉り、また自分の飯の種にしているようですから、呆れるじゃありませんか。

最後に云って置きますが、むかし、滝沢馬琴と云う人がありまして、この人の書いたものは余り面白く無かったけれど、でも、その人のライフ・ワークらしい里見八犬伝の序文に、婦女子のねむけざましともなれば幸なりと書いてありました。そうして、その婦女子のねむけ醒しのために、あの人は目をつぶしてしまいまして、それでも、口述筆記で続けたってんですから、馬鹿なもんじゃありませんか。

余談のようになりますが、私はいつだか藤村と云う人の夜明け前と云う作品を、眠られない夜に朝までかかって全部読み尽し、そうしたら眠くなってきましたので、その部厚の本を枕元に投げ出し、うとうと眠りましたら、夢を見ました。それが、ちっとも、何にも、ぜんぜん、その作品と関係の無い夢でした。あとで聞いたら、その人が、その作品の完成のために十年間かかったと云うことでした。

狐人的読書感想

『小説の面白さ』というタイトルから「小説の面白さ」について書かれているのかと思いきや「小説のくだらなさ」について書かれているようでびっくりしました。

その皮肉っぽいところが太宰治さんっぽいところで面白いところなんですかね?(勝手なイメージなのですが)

「小説がくだらない」とか言われてしまうと、たしかにそうかもしれないな、と思わされてしまうところはあるんですよね。

たとえばよく聞くのは「一行で言えることを長々書いてて、読むのも書くのも時間のムダ」みたいな。

とはいえ小説だからこそ伝えられることもあって、小説だからこそ伝わりやすいこともある、という反論もできるような気がします。

小説の登場人物に感情移入してしまって、良くも悪くもその考え方や行動に影響を受けてしまうみたいな?

そういうことを一言で言い聞かされても、なかなかうまく受け入れられない感じがして、しかし小説だとすんなり受け入れられる気がして、そんなところに「小説の面白さ」のひとつがあるような。

しかし一晩で読んで何の感慨も湧かなかった小説を、作者が十年間かかって書いていた、というのはどう言えばいいんでしょうね?

……小説を書くのはとにかく時間がかかる(?)と思った、今回の狐人的読書感想でした。

読書感想まとめ

小説の面白さを語るのかと思いきや…。

狐人的読書メモ

・時間のかからない人もいるのかもしれないけれども。

・『小説の面白さ/太宰治』の概要

1948年(昭和23年)『個性』にて初出。「小説と云うものは、本来、女子供の読むもの……」と自身の小説観について語っている随筆。皮肉的なところが太宰治的で面白いのかもしれない。

以上、『小説の面白さ/太宰治』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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