狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『ツイテ イツタ テフテフ/新美南吉』です。
文字数1000字ほどの童話。
狐人的読書時間は約3分。
白い蝶々と赤い風船。ふたりはなかよし。ある日赤い風船は買われてしまい、白い蝶々はどこまでもついていく。赤い風船の糸がはなされ、高く高く空へ。ふたりはどこへ……
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
(今回は全文です)
『ついていった蝶々/新美南吉』
町角で風船売りのじいさんが風船を売っていました。赤や青や黄色や紫や、いろいろな風船玉は頬をすりよせながら風のふくほうへなびいていました。
一匹の白い蝶々が風船玉のところへ毎日飛んできて、いちんちぢゅう遊んでいくのでした。
蝶々はたくさんの風船のうち、いちばんちいさい赤い風船玉と、たいへん仲よしでした。
ある日、赤ん坊を背負った子守がやってきて、一銭でそのちいさい赤い風船玉を買いました。
買われていくとき赤い風船玉は言いました。
「蝶々さん、さよなら」
けれど白い蝶々は言いました。
「いいえ、わたしはついていきます」
そして、蝶々はひらひらと赤い風船玉についていきました。
子守は並木道を通って、公園のほうへ行きました。糸でつながれた風船玉は子守のあとからついていきました。そしてそのあとから白い蝶々はついていきました。
子守は公園へ来ると、ベンチに腰かけて子守唄を歌いました。
「ねんねん よおおお
ねんねん よう」
しかし、赤ん坊よりさきに、子守のほうがうつらうつら眠りはじめました。
白い蝶々は心配そうに、
「これからどこへいくの」
と風船に聞きました。
風船は、
「ぼくしらない」
と言いました。
そのとき、子守は風船の糸をはなしてしまいました。赤い風船玉は空のほうへのぼりはじめました。
白い蝶々もそのあとについてのぼっていきました。
「ぼくどこへいくんだかわからないから、蝶々さんもおかえりよ」
と風船玉は言いました。
「いいえわたしはついていきます」
と白い蝶々は言いました。
風船玉と蝶々は高い高いところばできましたので、町が積み木細工のようにちいさく見えました。
「ついてきちゃだめだ。ぼくはどこへいくのかわかんないよ」
と風船玉は言いました。
けれど、白い蝶々はついていきました。
まもなく、赤い風船玉と白い蝶々は見えなくなってしまいました。
狐人的読書感想
白い蝶々と赤い風船、ふたりはなかよし。ある日赤い風船は子守に買われてしまい、白い蝶々はどこまでも赤い風船についていく。子守は公園でうたた寝してしまい、風船の糸をはなしてしまい、赤い風船は高く空へのぼっていく。
「ついてきちゃだめだ。ぼくはどこへいくのかわかんないよ」
「いいえわたしはついていきます」
けれど白い蝶々はどこまでもついていく。
やがて赤い風船と白い蝶々は見えなくなってしまう。
――なんとなく切ない話っぽいですね。純粋な愛情や友情が感じられるお話です。
白い蝶々は赤い風船をどんな感じで好きだったんでしょうね。
童話だからか、それは友情だと感じましたが、男女間の愛情だとして読んでもさほど違和感はないかもしれません。
なんとはなしに「引っ越していく友達を追いかけるわたし」を連想しました。子供同士の友情は、たびたび大人の世界の都合によって引き裂かれてしまうものだというイメージがあります。
とはいえ、別れは子供にかぎったことではないんでしょうね。大人だってどうしようもない別れというものがある気がします。
赤い風船と白い風船はどこまで一緒に行けたのかな、と想像してみます。
現実的には風船は高く空へのぼっていくと、やがては気圧の変化で膨張して割れてしまうでしょうね。上空1000mといったところでしょうか(宇宙撮影のために成層圏まで飛んでいく風船というのもあるらしいですが)。
赤い風船が割れてしまったら白い蝶々はどう思うんだろう、その後白い蝶々はどうするんだろう……、なんて想像してしまった今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
どこまでもふたり一緒に…。
狐人的読書メモ
・スペースバルーンというらしい。そういえばスマホをのせて宇宙撮影し、落下したスマホを確認するときれいに宇宙から見た地球が撮れてた、みたいな話をテレビか何かで見たことがあるような気がした。
・『ツイテ イツタ テフテフ/新美南吉』の概要
1950年(昭和25年)5月1日『ひろった らっぱ』にて初出。赤い風船と白い蝶々はどこへ消えた?
以上、『ツイテ イツタ テフテフ/新美南吉』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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