狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『ものわかりのいいハンス/グリム童話』です。
文字数3000字ほどのグリム童話。
狐人的読書時間は約6分。
ママが「女の子にはやさしく目をかけてあげるんだよ」って言った。だからぼくは子牛と羊の目をくり抜いてグレーテルにかけてあげたのに……一体何が悪かったんだろう?
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
母はハンスに「うまくやりなさい」と言う。ハンスはグレーテルのところへ出かけて行く。グレーテルは「おみやげを持ってきてくれた?」と聞くが、ハンスは何も持ってこない。どころか「何かくれ」と言い出す――
一日目、グレーテルはハンスに針をあげる。帰り道、ハンスは前を行く干し草の車にその針を刺す。帰ってそのことを母に話す。母は「針は袖に刺すものだよ」とハンスに教える。
二日目、グレーテルはハンスにナイフをあげる。ハンスはナイフを袖に刺して帰る。母は「ナイフは袋に入れておくものだよ」とハンスに教える。
三日目、グレーテルはハンスにヤギをあげる。ハンスはヤギを袋に入れて帰る。ヤギは呼吸できず息絶えてしまう。母は「ヤギは綱につなぐものだよ」とハンスに教える。
四日目、グレーテルはハンスにベーコンをあげる。ハンスはベーコンを綱で引きずって帰る。ベーコンは犬に食べられなくなっている。母は「ベーコンは頭にのせて運ぶものだよ」とハンスに教える。
五日目、グレーテルはハンスに子牛をあげる。ハンスは子牛を頭にのせて帰る。子牛はハンスの顔を蹴る。母は「子牛は連れてきて飼い葉棚のところへつなぐものだよ」とハンスに教える。
六日目、グレーテルはハンスについていく。ハンスはグレーテルを連れて帰って飼い葉棚のところへつなぐ。母は「グレーテルにはやさしく目をかけてあげるんだよ」とハンスに教える。
七日目、ハンスは牛小屋へ行き、子牛と羊の目をくり抜き、グレーテルにかける。グレーテルは怒って逃げてしまう。
結局、グレーテルはハンスの花嫁にはならなかった。
狐人的読書感想
……なんですか、これは。……ハンス、怖すぎます。
グリム童話って、意味わからない話がけっこうありますが、これは今まで読んだ中でもトップクラスに意味不明です。
とはいえ、教訓を見出すことは、そんなに難しくはないんですよね。
たぶん、「物事にはそれに適したやり方がある」みたいなことだと思うのですが。
物語の主人公ハンスは、物事についてのやり方を母親に教えられて、それを別の物事にも通用することだと考え、実行するわけですが、もちろん別の物事にはそれに適したやり方があるわけで、連日失敗を繰り返してしまいます。
タイトルは『ものわかりのいいハンス』となっていますが、「ものわかりのいい=おろか」という意味になっているようです。
たしかに、なんでも言うことを聞く「ものわかりのよさ」って、「おろかさ」に通じていますよね。
何か便利なやり方や方法を教えてもらったとしても、そのやり方が目の前の物事に見合ったものであるかどうか、ちゃんと考えなければなりません。
ハンスの場合は非常に簡単なことばかりなので、ちょっとバカにしてしまう気がしたのですが、しかしこれ、まったく知らない物事についてだったら、僕もやってしまうように思ったんですよね。
パソコンやスマホなどの知らない操作だったり、あるいは海外の特別な習慣や風習だったりとか……。
(上を指すとき指をL字にしてしまうとアメリカでは「Loser(=負け犬)」を意味するLサインとなりダメだとか、裏ピースはイギリスでは挑発のポーズだとか)
また、テレビのニュースや噂話をそのまま鵜呑みにしてしまうこともあって、それらが誤りであったとき、自分が間違ったことをしていたとしたら、それもなんだか怖いように感じてしまいます。
教えてもらったことが適切なことなのかどうか、ハンスのようにただ鵜呑みにして実行するのではなくて、自分なりに考えてから行動に移したいと思いました。
……う~ん、それにしても意味がわからないというか、不気味というか、恐い話ですよね、これ。
ハンスが小さな子供であれば、まあわからなくもないのですが、グレーテルがハンスの許嫁とすると、けっこういい歳のはずなんですよね。
結局、グレーテルはハンスの花嫁にはならなかった――というバッドエンドから、じつは「女性を口説くときは充分に考えてうまくやるように」みたいなことが、この物語の真の教訓なのかもしれません。
ちょっと他の人の見解も聞いてみたくなるような、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
……サイコ野郎ハンスじゃね?
狐人的読書メモ
・あるいはなんでも母親のいいなりになってしまうマザコン男性の愚かさを示している物語なのだろうか……。とにかく謎過ぎる。
・『ものわかりのいいハンス/グリム童話』の概要
KHM 32。グレーテルという名前には『ヘンゼルとグレーテル』を連想させられてちょっとテンションが上がってしまった。ハンスという名前も、ヨーロッパ民話にはよく登場するらしい。この童話は日本にも『だんだん教訓』という類話が存在する。
以上、『ものわかりのいいハンス/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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