畜犬談/太宰治=ご機嫌取りばかり?そんなふうにしたのは人間じゃないか!

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狐人的あいさつ

コンにちは。狐人コジン 七十四夏木ナナトシナツキです。

読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?

そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。

畜犬談-太宰治-イメージ

今回は『畜犬談/太宰治』です。

文字数13000字ほどの短編小説。
狐人的読書時間は約33分。

プライドがなく、人間社会に屈服・隷属し、ご主人様のご機嫌取りばかりして嫌いだ!って、太宰さんは言うんだけど、そんなことみじんも考えずなついてくる犬が、やっぱりかわいいんだよね。

未読の方はこの機会にぜひご一読ください。

狐人的あらすじ

犬はプライドがなく、人間に屈服、隷属し、ご機嫌取りばかりしていて――なんだか自分に似ているところさえあるような気がする。

そんなふうに犬を激しく嫌っている私だが、散歩の途中で一匹の小犬になつかれてしまう。小犬は私の家までずうずうしくついてきて、そのまま住み込んでしまう。

結局、ポチなどと呼んで、半年間ともに暮らすも、私が犬を好きになることはない。妻もエサなどをやってはいるが、さほど愛着はなさそうだ。

やがて私たちは引っ越しをすることになり、ポチを葬ってしまおうと決める。毒を仕込んだ牛肉を持って家を出ると、いつものようにポチはうれしそうについてくる。

ポチが捨てられていたであろう場所で、私は牛肉を足元へ落とし、ぺちゃぺちゃ食べている音を聞くと、歩き出す。が、道の途中で私が振り向くと、ポチは面目なげに首を垂れているのだった。

ポチには罪がなかった。芸術家は弱い者の味方のはずだった。弱者の友、それが芸術家にとっての出発で、最高の目的だった。単純なことを忘れていた。

私はポチを東京へ連れて行ってやることにする。

妻は浮かぬ顔をしていた。

狐人的読書感想

太宰治さんが犬に対して取るツンな態度がおもしろく、結局はデレてしまうところに萌え(?)や感動を覚える小説……なんですかね、これは?

単純に読んでみてとても楽しめる作品ですが、いろいろな読み方ができる深い作品でもあるみたいです。

一つには、副題に『伊馬鵜平君に与える』とあるように、「友人に向けたメッセージだったのでは?」と読み解くことができるのだとか。

当時、作家は編集者や読者に媚び売りをするような作品を書く風潮があって、その風潮を人間に飼われる犬に置き換えて描いているといいます。

冒頭の犬に噛まれ、恐水病(狂犬病)をうつされてしまったかもしれない、とされている「私」の友人が伊馬鵜平君で、それは彼が風潮に流されるように、劇作家に転向したことを暗示しています。

犬(風潮の象徴)を毛嫌いしているところは、この風潮を非難しているのであって、読み手におもねるのではなくて、自分の文学を追求すべきだとする、作家のあるべき姿勢を示し、さらに、

『私は、犬については自信がある。いつの日か、かならずいつかれるであろうという自信である。』

――という書き出しがあることから、これは自分自身に向けたメッセージでもあるのかな、というのは、なるほどなあ、と頷かされるところがあります。

「私」は自分とポチを似ていると、重ねて見ているところもあって、同族嫌悪的に犬を毛嫌いしているようにも受け取れるのですが、オチのところで結局ポチを受け入れていて、自分の弱さや醜さを受け入れようとしているふうにも思えるんですよね。

妻が浮かぬ顔をしているのは(しかも2回も)、本人としてもそのことにまだ迷いがあったことを、表しているのかもしれません。

現在の動物愛護的な観点からすると、犬に対して主人公の言っていることはめちゃくちゃひどくて、もしツイッターとかだったら炎上してしまう感じもします。

とはいえ、犬にはプライドがなく、人間に屈服、隷属して、ご機嫌取りばかりしていると見えてしまう気持ちも、なんとなくわかるような気がします。

しかしながら、犬をそんなふうにペット化してしまったのは人間なのですから、「私」のように犬を厳しくけなすのはやっぱり間違っていると感じます。

「ポチには罪がなかった。芸術家は弱い者の味方のはずだった。」――というところは、そのまま人間がペットに対して示すべき態度だと読んだとしても、全然違和感なく受け取れるのではないでしょうか?

読んだ人によって、他にもいろいろな感想が出てきそうで、それを聞いてみたいような気持ちになります。

そんな読書の一つの醍醐味を改めて感じた、今回の読書感想でした。

読書感想まとめ

ご機嫌取りばかり? そんなふうにしたのは人間じゃないか!

狐人的読書メモ

・全然関係ないんだけれど、ツンデレって最近の言葉だけれど、概念としてはずっと昔から存在していたんだろうなあ、って、文豪小説を読んでいるとたまに思うことがあるんだよね。

・『畜犬談/太宰治』の概要

1939年(昭和14年)10月、『文学者』にて初出。『皮膚と心』(竹村書房、1940年―昭和15年―)収録。太宰の作風から、本作も事実をもとにした創作だと思われるが、たしかなことはわかっていない。単純に読んでとてもおもしろく、太宰初心者にもおすすめしやすい作品。

以上、『畜犬談/太宰治』の狐人的な読書メモと感想でした。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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