狐人的あいさつ
コンにちは。狐人 七十四夏木です。
読書していて、
「ちょっと気になったこと」
ありませんか?
そんな感じの狐人的な読書メモと感想を綴ります。
今回は『黄金のがちょう/グリム童話』です。
文字数3600字ほどのグリム童話。
狐人的読書時間は約9分。
小人がパンとワインを一口ちょうだいと言ったら、分けてあげるのが吉という話。ポッキーなら一口あげられるけど、雪見だいふくだと躊躇してしまうとき読みたい童話かもしれません。
未読の方はこの機会にぜひご一読ください。
狐人的あらすじ
三人の兄弟がいて、上の二人の兄は利口者、一番下の弟は頭が弱いとバカにされていた。
ある日、一番上の兄が森へ木を切りにいくことになり、母親は甘いパンケーキとぶどう酒を持たせた。兄は森で白髪の小人の老人に出会う。小人は「パンケーキとぶどう酒を一口ください」と頼むが、兄はそれを拒絶する。兄は手を滑らせて斧で大けがをして家に帰るが、これは小人が仕返しにやったことだった。つぎに二番目の兄が森に入るが、同じように大けがをして家に帰ることになった。
いよいよ一番下の弟が森へ木を切りに出かけることになった。母親は灰のパンケーキと酸っぱいビールしか弟に持たせなかった。弟は森で小人に出会い、頼まれると灰のパンケーキと酸っぱいビールでよければと喜んで分け与える。それは小人の魔法により甘いパンケーキとぶどう酒に変わっていた。小人は「お礼にいいものをあげる。その木を切ってごらん」と弟に言った。弟が木を切ると中から黄金のがちょうが出てきた。
弟はがちょうを売りに町を目指し、途中宿屋で一晩泊まった。弟が寝ている間に、宿屋の三人の娘が黄金の羽を取ろうとして、がちょうに一列にくっついてしまった。翌朝弟は目を覚まし、しかたなくがちょうを持ち上げ、がちょうにひっついた娘たちを引き連れて町に出かけていった。道の途中でいろいろな人がなんとかしてあげようと近づいてきたが、みんなひっついてしまった。こうして弟は長い行列を引き連れて町に入った。
町の城には笑わないお姫様がいた。王様は困っていて「姫を笑わせたものを姫と結婚させる」とおふれを出していた。いろいろな者が姫を笑わせようと試みたが、姫は笑わなかった。ところが、行列を引き連れた弟を窓辺から目にした姫は、その様子がとてもおかしかったとみえて大声をあげて笑った。弟は姫と結婚して王位を継承する権利を得たが、王様は彼に姫を与えるのが惜しくなった。そこで順番に三つの難題を押し付けた。
・城の酒蔵のぶどう酒をすべて飲み干せ
・城の食物庫にあるパンを全部食べよ
・海も陸も走れる船を持ってこい
弟が小人のことを思い出し、再び森へ行くと、ひどくのどが渇いた男、ひどく腹を空かせた男がいて、弟に課せられた難題を解決してくれる。最後に小人が水陸両用の船をくれる。王様もついに諦めるしかなくなり、弟は姫と結婚して王位を継ぎ幸せに暮らした。
狐人的読書感想
またしても「末子成功譚」ですね。昔は一番上の男子は戦争でとられてしまうので、一番末の弟や娘に家督を継がせる風習(末子相続)があったそうで、このことが童話に描かれているのだといいます。
グリム童話には三人兄弟の登場するお話が多いですね。その場合、末の弟はまぬけとされ、家族や社会から疎外されていることがほとんどです。
本作でも、上の兄二人は甘いパンケーキと上等のぶどう酒が母親からもらえるのに、弟は灰のパンケーキと酸っぱいビールって……。
上の兄弟のおさがりを使わなければならなかったり、なんとなく弟は損をしているイメージがありますが、どうなんでしょうね?
この手の話はだいたい「情けは人の為ならず」ということが描かれているように感じられます。「人に親切にしておけば、やがてその親切は自分のところに返ってくるよ」という意味ですね。
これを誤って認識している人が世の中には半分くらいいるらしいです。誤った意味は「人に親切にすることはその人のためにならない」というものなのですが、たしかにいつもちょっと迷うんですよね。
小人はパンケーキとワインを一口もらえなかったからって、なにも大けがをさせることはないと思いますが、まあ小人のやることですからね。
以前の読書感想で『ひとつちょうだいレベル表』というものを取り上げたことがありました(図らずも『森の中の三人の小人/グリム童話』の読書感想でした)。
たとえば、ポッキーであれば一箱38本のうちの1本をあげるのはいいけれども、雪見だいふく1/2個をあげるのはちょっとね、みたいな話です。
空腹具合やそのものの量によっては、ひとに食べ物を分けるのって急に難しくなることがあるんですよね。
ひとに(とくに小人に)食べものを分けてあげられる親切心を持ちたいと思った、今回の狐人的読書感想でした。
読書感想まとめ
小人に親切にするといいことがある。
狐人的読書メモ
・『黄金のがちょう』はけっこう有名な童話のようだ。
・『黄金のがちょう/グリム童話』の概要
KHM64。原題は『Die goldene Gans』。『金のがちょう』とも。家族、社会に疎外された者が、善行により幸運をつかむ話。類型多数あり。
以上、『黄金のがちょう/グリム童話』の狐人的な読書メモと感想でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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