コンにちは。狐人 七十四夏木です。
(「『狐人』の由来」と「初めまして」のご挨拶はこちら⇒狐人日記 その1 「皆もすなるブログといふものを…」&「『狐人』の由来」)
2016年7月5日、
アメリカのルイジアナ州バトンルージュで、
黒人男性が警察官に撃たれました。
2016年7月6日の夜、
ミネソタ州ファルコンハイツで、
自動車を運転していた黒人の男性が、
白人の警官に撃たれ亡くなりました。
2016年7月7日午後7時、
テキサス州ダラスで、
相次ぐ警官による一連の事件に対し抗議デモが始まり、
当初平和的なデモだったはずのそれは、
2時間後に惨劇へと変わりました。
今度はデモに備えていた警察官が狙撃されて、
5人の警察官の命が奪われてしまいました。
流血が流血を呼び、
復讐が復讐の芽を育て、
報復が繰り返され、
憎しみの連鎖がいつまでも続いていく。
誰かが耐えなくてはならない。
復讐の連鎖を断ち切らなければならない。
だけどいったい誰が耐えなくてはいけないのでしょうか?
もしもそれが僕であったなら、
耐えることができるだろうか。
こうした事件が起きるたびに、
このようなことを考えるのです。
そして、
頭に思い浮かぶ小説があります。
それが、
トニ・モリスンさんの、
『ビラヴド』なのです。
元奴隷だったセサは、
娘のデンヴァーとふたり、
幽霊屋敷に暮らしている。
長い間、
怒れる霊に悩まされてきた母娘ですが、
セサはそれをかつて亡くした、
彼女の赤ん坊の復讐なのだと信じて耐え続けてきました。
しかし、
ある日セサを訪れた旧知の仲間であるポール・Dが、
その幽霊を追い払い、
母娘には平穏が戻ってきたかに思われたのですが。
謎の女『ビラヴド』の来訪が、
母娘を再び狂気の日々に追い落としてしまいます。
セサの赤ん坊の墓碑銘は、
女の名前と同じ、
『ビラヴド』(Be loved:愛されし者)。
女はいったい何者なのか?
セサ、デンヴァー、ポール・Dの運命は?
19世紀のアメリカ、
奴隷制度が現存していた時代。
黒人奴隷の人たちがどのような扱いを受けて、
どのような心の傷を負い、
苦しんできたのか。
黒人奴隷の女性は、
その性までをも収奪されて、
お腹を痛めて産んだ子たちも、
また同じ運命を辿ることになる。
黒人奴隷の男性は、
労働力として酷使され、
男としての矜持や、
人としての尊厳が、
徹底的に踏み躙られる。
しかし、
この物語では、
誰かが声高にそれを非難するわけでも、
誰かを責め立てているわけでもない。
静かに、
ただ淡々と、
アフリカ系アメリカ人の苦難の歴史が、
登場人物たちの生を通じて語られています。
誰かが耐えなければならない。
だけどそれは、
あまりに理不尽で、
残酷で、
凄惨な記憶なのです。
耐えてくれとはとても言えないし、
自分だったら耐えられる自信もない。
けれど、
こうした物語を、
心の本棚にしまっておけば、
もしも自分が誰かを虐げる立場になったとき、
誰かに虐げられる立場に置かれたとき、
自分がやろうとしている行いを、
しっかりと見つめ直すための、
何かきっかけになるのではないでしょうか。
小説には世界を変えられる力がきっとある!
僕の拙い文章で、
どれだけ言いたいことが伝わっているのか、
自信がありませんが。
(もっと上手に文章を書けるようになりたい!)
そんなふうに考えさせられる小説が、
トニ・モリスンさんの『ビラヴド』なのでした。
トニ・モリスンさんといえば、
非常に有名な作家さんなのです。
ノーベル文学賞をはじめ、
ピューリッツアー賞など、
数多くの賞を受賞しています。
アルファポリス・小説家になろう・エブリスタ・カクヨムなど、
ネット小説投稿サイトで小説を書く小説仲間たちにとっても、
学ぶところはきっと多いはず。
僕などがおすすめするのは、
おこがましい話なのですが、
みなさんの心の本棚にも、
ぜひおさめてほしい、
そんな一冊なのです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
それでは今日はこの辺で。
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