基本情報
- ジャンル:アクション
- 機種 :ファミリーコンピュータ
- 発売元 :サンソフト
- 発売日 :1989年12月22日
ゲーム概要
PCエンジン! メガドライブ! ――次世代のハードが登場し、ゲーム業界の覇権争いがいよいよ戦国時代の様相を呈してきた1989年。……とはいえ、まだまだファミコン人気は健在! 良作ソフトが次から次へと誕生していた。そんな時代に発売された『バットマン』! 発売元はサンソフトさん!
次世代のハードにグラフィック面では水を開けられていた感は否めないものの、PCEやMDがまだ試行錯誤の段階であったのに対して、ファミコンはすでに円熟期を迎えつつあった。そして、いくつかのメーカーはその性能を最大限引き出すための努力を続けていた。サンソフトさんもそんな野心溢るるメーカーの一つだったと私は思ってる。
そんな同社が送り出した本作『バットマン』は、同名の大ヒット映画を原作にしているのは、もはや言うまでもないね。ゲーム内容はアクションで、ステージの合間に挿入されるビジュアルシーンの美しさは「これ、ファミコン?」と疑問を覚えるほどのすばらしさがあった。ゲーム内のバットマンもヌルヌル動いて操作性も快適。ただね、敵がやたら固かったり、要となる三角跳びの微調整がシビアだったりで、難易度は極めて高い。道中の厳しさもさることながら、ボスも強敵ぞろいで、その行動パターンを入念に研究しなければ倒すのは難しかったな。当時クリアできぬまま封印したファミっ子も少なくなかったのではなかろーか。
しかしながら先述の通り、本作のグラフィックのレベルは高く、バットマンワールドを再現した背景も「これがファミコンか!?」と驚くほど緻密に描き込まれてる。BGMも原作の楽曲は使用されていないとはいえ、ダークな世界観をよく表現した名曲ぞろい。難易度もバグや調整ミスといった理不尽なものではなく「あえて難しくした」完成度の高さが窺える。ファミコンアクションの中でも「傑作!」と呼べそうな一本なんだけど、私の周りじゃ知ってる人は少ない感じ……。まさにあの傑作アクションと同年同月に発売されてしまったゆえなのかな。版権ゲーだけに移植や配信は今後とも厳しそう。そんなこんな、れとげ部!では「隠神げ!」として記録に残しておくよ!
ストーリー
あのジョーカーがパワーアップして、再びバットマンに挑戦してきた。しかもゴッサムシティを理想の犯罪都市とするため、最終兵器を完成しつつある。しかしバットマンだって、なにもしていないわけではない。ジョーカーがおとなしくしている間、よりいっそうトレーニングをつみ、スーパーウェポンの開発に取りくんでいたのだ。史上最強の犯罪者の野望を打ち砕くため、バットマンは彼の基地があるという謎の島、ハ・ハ・シエンダにむかった。
取扱説明書 <STORY> より
れとげ部!での評価
隠神げ!:
ここが隠神げ!
サンソフトは隠れた名作の宝庫!
このゲームは、コナミさんの『悪魔城伝説』と同年同日に発売されたってファミっ子の間じゃ有名な? そのインパクトがあまりにも強すぎたためマイナー化してしまった印象は拭えず……。しかし! 「本作の出来は悪魔城にも引けを取らない!」って、私は思ってる。サンソフトさんといえば『いっき』に代表される「元祖クソゲーメーカー」として、最近では自らもそれをウリにしている感あるけども、何気に名作が多いってファミっ子ならば知っている! 名作シューティング『ファンタジーゾーン』の移植では、完全とまでは言えずとも、要点をコンパクトにまとめた内容でAC版の雰囲気を見事に再現していたな。『バットマン』と同じ年に発売したFC版『アフターバーナー』もまた高い評価を得てる。個人的には『へべれけ』と『ギミック!』は至高。『いっき』だって「クソゲー」とはいえ「愛され系」って不思議な魅力がある。――うん、いいメーカーだよね!
コメント! (レトゲで一言!)
ちなみに、パケ裏に「ビッキーを助け出し」ってあるのに、ビッキー出てこないじゃん!? って。ストーリーもゲーム内では全部英語なんだけど、読めるファミっ子によれば「ムチャクチャだ!」。その理由はどうも「開発中にカットしたシーンがある」かららしい。それらは「原作コミック」を元にしたアメコミ調の画だったため、ワーナー・ブラザースさんから苦情が入ったそう。開発者が「映画とコミックの版権が別であることを認識していなかった」ために起こった事態とのこと。いいものを作っても諸事情で出せない原作ゲー開発の難しさってあるんだろうなぁ……みたいな。