基本情報
- ジャンル:シューティング
- 機種 :ファミリーコンピュータ
- 発売元 :CBS・ソニー
- 発売日 :1989年8月25日
ゲーム概要
『キャプテンED』は「真のクソゲー」「クソの中のクソゲー」「キング・オブ・クソゲー」などなど一般的に散々な評価をされている作品で、これには私も驚き! まず、その存在をまったく知らなかったこと。クソゲーといえば何かと話題にされがちなのに、このゲームの話はほとんど聞いたことがなかったな。得てしてネタにされるクソゲーとは、幾ばくかの愛され要素を含んでいるものだけれど、このゲームに至っては愛すべき要素が皆無であるが故の低知名度なんだろうか……まぁ、とりあえず語っていきたいと思うよ!
ファミコンブームとは「何でもアリ」の時代ゆえ、ロクに練り込みもせず有名人やキャラに頼るだけの所謂「便乗ゲー」といった、どうしようもない作品が少なくなかった。『キャプテンED』はそのトップクラスに位置するタイトル。ちなみにEDは「イーディー」ではなく「えど」と読み、嗅覚の鋭いファミっ子ならばこの時点でクソゲーの臭いを嗅ぎ取るといふ。販売はCBS・ソニー。と聞けば、プレステ以前のソニーの名にゲーム会社のイメージはなく、ブームに乗った他業種系メーカーに過ぎず――そういった会社が数多くの駄作を量産してきた事実を鑑み、本作もその流れを汲んでいるのは当然頷けるところなのだが、開発元をみるとテクモなどの下請けをしていたグラフィックリサーチとありて、ここは良質なゲームも作っていただけに「どうしてこうなった?」言いたくなるのは私だけ?
ゲーム性は「シューティング+ミニゲーム」といったミックス系。スタートはRPG風に名前を入力するところから始まる。キャラのグラフィックはなかなか綺麗で「お、結構期待できるゲームなのか?」と思う人もいれば「俺に名前を付けてくれ! って、お前今までどうやって生きてきたん?」と嫌な予感を覚える人も少なくなかろう。
入力を終えるといきなりコロコロ配置が換わる緑、黄、赤、青のパネルが敷き詰められた画面に移行し、シューティングゲームが始まる。本作はエネルギー制が採用されており、黄や赤のパネルの上を通るとこれがガリガリ削られていく。そのため、消耗の少ない緑のパネルを選びながら、少ない敵を撃ってお金を稼ぎつつ、アイテムやワープポイントが見つかる青のパネルをひたすらもぐら叩きするお仕事は、STGで大切な爽快感がまったくない。
ワープで発生するミニゲームは作り込みが甘く、苦痛を感じるほどの仕上がり。ガソリンスタンドではエネルギー補給、コンビニではアイテムを購入できるが、それらは「おにぎり」や「なっとう」であり、使用すると貫通弾として食べ物を投げる罰当たり。そんなこんな「オダワラ」「ハコネ」など東海道と深い関わりがありそうな7つの宇宙を巡っていく。ラスボス戦は取って付けたようなサイドビューアクションとなるが、戦略も戦術もなくゴリ押しするしか戦いようがない(ただし、ここまで来る前にカセットを投げつけているプレイヤーが大多数だろうと思われる)
ストーリーは説明書を読んでいなければ全体的にわけわからん。ゲーム進行を助けてくれる重要な存在として「七福神」が配置されているのだが、彼らとのやりとりにはお寒いギャグがちりばめられており、完全にプレイヤーを置き去りにしている。そして、寿老人と福禄寿はそれぞれ「生方」と「福田」を名乗り、「レコード買えよナ!」とわけわからんことを言ってきたりするのだが――実はこの作品、「生福」という音楽ユニットがプロデュースしたのものだそう……ひょっとして「生福側と開発サイドでやりたいことがかみ合わなかった」結果としてのクソゲーなのか? 想像してしまうのは私だけ? てか、生福って誰やねん? 当時のファミっ子たちの多くは首を傾げたのではなかろーか……。
ストーリー
ここは宇宙の美しい星「エド星」。この星で、名宇宙パイロット「キャプテンED」は、恋人ふたり、幸福な生活を送っていたんだ。
ところがある日、「キョウ星」に君臨する恐怖の大魔王が、愛する恋人をさらっていってしまった。
なぞの「キョウ星」に行くには、伝説の「七福神」の力を借りなければならない。しかし、その「七福神」は、大魔王の子分どもによって、7つの宇宙に幽閉されているんだ。
さあキミも「キャプテンED」になって、7つの宇宙のさまざまな敵を倒し、「七福神」を捜し出して、大魔王をやっつけよう!
何が、飛び出すか、わからない。ハラハラ・ドキドキの大冒険! たのむぞ、「キャプテンED」!!
れとげ部!での評価
クソげ!:
ここがクソげ!
これは擁護のしようがない!
全体的にゲームとしての作りが稚拙。プレイヤー置いてけぼりの展開。そもそもがファン向けで、ファンにならこれが許されるのか? それさえ判断しようがないコアな存在「生福」。開発は、彼らが好き勝手に出したアイデアを考えなしに混ぜ込むしかなかったのか。それともほかに何か事情があったのだろうか。ホント誰か説明してほしい出来栄え。こういったゲームは意外と高価な場合があったりするが、本作については未だに新品が安く売られていたりするほど人気がないとか。真のクソゲーとはクソゲーとしても話題に上らない、そんなゲームなのかもしれないな――って、新たな学びを与えてくれたところは評価したいレトロゲーム。
コメント! (レトゲで一言!)
ちなみにタイトルの元ネタは東京ディズニーランドで上映していた3Dメガネで楽しめるマイケル・ジャクソン主演映画『キャプテンEO』なんだとか。……EDを「イーディー」ではなく「えど」という読みにしたところも評価すべきなのかなぁ?