基本情報
- ジャンル:アドベンチャー
- 機種 :ファミリーコンピュータ ディスクシステム
- 発売元 :任天堂
- 発売日 :1988年4月27日(前編)/1988年6月14日(後編)
ゲーム概要
『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』は1988年に任天堂より発売のファミコン ディスクシステム・アドベンチャーゲーム――『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島』を第1弾とする任天堂の「前後編テキストアドベンチャーシリーズ」の続編だ。近年、最新ハードでリメイク版が発売されて、元々評価の高かった作品だけに再評価も著しいレトロゲームの一つ。当時、コマンド式推理ADVといえば『探偵 神宮寺三郎』『オホーツクに消ゆ』など多くのタイトルが出ていたが、「任天堂が!?」となると驚きがあったな。現在でもそうだが、任天堂タイトルといえば「品行方正」「万人受け」「かわいい!」といったイメージがある。それが横溝正史ばりのおどろおどろしい探偵もの――当時のCMの煽り文句は「君に、この恐怖が解けるか」だった。
そう、あの頃としてはまだ珍しいホラーテイスト――ホラーゲームがほとんどなかったような時代に「恐怖」を売りにしたシナリオは斬新だったな。明神山での首つり死体、神楽寺の住職・玄信さんの伝説語り、キクの墓に隠された秘密とは……。今ほどの過激な描写はなかったけれど、ビクゾクしながらコマンドを選んでいたような――強烈な原体験の一つになっているファミっ子も少なくないのではなかろーか。
ストーリーは、主人公の少年が天地という男に呼びかけられて目を覚ますところから始まる。少年はなんと記憶喪失!? ――何も思い出せないまま、依頼を受けていた明神村の綾城家当主・キクの死に関する調査を再開することに。そして、連続殺人と死者蘇りの噂が……。「記憶喪失なのに他人の事件を捜査している場合なのか?」冷静にツッコミたくなるが、まぁ体が小学生になっても嬉々として難事件に首を突っ込んでいく名探偵もいるからね! 無問題だよねっ(?)
本作は「謎解きよりも物語を味わうこと」に重きを置いた作りで、現代のアドベンチャーゲームでもよく見られる形式となり、「ストーリー重視型謎解きADV」の走りとも言えそうな内容だ。最後には今や「ファミコンADVのお約束!」となっている「3Dダンジョン」も待ち受けている。刑事ドラマのシメに銃撃戦、推理アドベンチャーのラストには3Dダンジョン――そんな様式美を求めてしまうのは、きっと私だけではないはずだよね(?)。はたして連続死の真相とは、村の言い伝え通り、蘇りし死者の仕業なのか、それとも……真実はぜひ本作をプレイして、自分の目で確かめてみてほしい!
ストーリー
恐怖の伝説が現代によみがえる……
頭がガンガン痛い……。うっすらと取り戻していく意識の中であなたは聞きなれない男の声を耳にする。「だいじょうぶか? しっかりしろ」。ここは海上の崖。もうろうとした意識の中で、崖からすべり落ち、運よく途中の草むらに落ちて気を失っていたあなたを助けたことを男から聞いた。天地と名のるその男にお礼をいおうとしたとき、あなたは自分の名前すら思い出せないことにがく然とした。あなたは記憶を失ってしまっていたのだ。
天地のマンションで傷の手当てを受け、再び海上の崖へ戻ったあなたは“あゆみ”という少女と出会う。彼女の話によると、あなたはあゆみと一緒に空木俊介探偵事務所で助手として仕事をしているということだった。数年前空木探偵と出会い、その後あなたは助手として仕事をするようになっていたのだ。
空木探偵とあなたは次々と事件を解決していく名コンビだった。事務所に戻り話を聞いているうちに、あなたは自分の名前をやっと思い出すことができた。ふと気がつくとテーブルの上に一片のメモが置いてある。『明神村 綾城』と書かれたそのメモを手がかりに、あなたは明神村へと向かった。
明神村の財閥、綾城家の当主は78歳になるキク。そのキクが先日、心不全で死亡した。その死に疑問を持つ綾城家の執事、善蔵によって今回の依頼がなされたのだ。
たしかに綾城家にはキク殺害の動機を持つ人間がいる。キクのおいであり綾城商事社長の完治。完治は会長を務め実権をにぎっていたキクをうとましく思っていた。専務を務める完治の弟、二郎も同様である。もうひとり、春日家に嫁いた完治の妹、あずさがいる。あずさは夫が経営する不動産業がうまくゆかず金銭的に困っていた。綾城家の遺産は彼女にとってかなり魅力があったに違いない。
あなたは執事に依頼された調査を進めるため再び捜査を開始した。
明神村には恐ろしい伝説がある。戦国の昔、この地方の豪族である綾城家と争っていた隣国の城主は、裏山にこもった綾城家の残党への見せしめに、墓を次々とあばいていった。その城主はその後、突然病に倒れ綾城家の亡霊たちに苦しめられ狂死してしまった。そして、綾城一族の君主は代々、自分の家の財産をねらう者が現れると、その者を殺すために墓からよみがえるという言いつたえが現在にいたるまで残っている。
この村には現在も土葬の風習が残っている。
捜査を進めるうちに、事実が明らかになっていくとともに、新しい事件も起きてくる。はたしてキクが伝説どおり、ほんとうによみがえったのか? それとも……!
取扱説明書(前編) <ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者ストーリー> より
れとげ部!での評価
神げ!:
ここが神げ!
まぁ、もはや私が言うまでもないけれど
本作は確か発売まではそれほど注目度は高くなかったと記憶している。しかし蓋を開けてみれば、ディスクシステム衰退期であったにもかかわらず、前後編ともに約50万枚というスマッシュヒットを記録したそうな(書換え含め)。当時は『金田一少年』『名探偵コナン』もまだなかった。少年探偵といえば「小林少年」という時代だった(?)。誰でも一度は憧れる名探偵――難事件を華麗に解き明かしたてみたいと思わない子供はいないだろう。そんな私たちの夢を叶えてくれた素敵なゲームだったよね『ファミ探』は!
コメント! (レトゲで一言!)
明神村に伝わりし死人蘇り伝説。記憶喪失の少年探偵が見た真実とは。もちろん3Dダンジョンもあるよ。