基本情報
- ジャンル:シミュレーション
- 機種 :ファミリーコンピュータ ディスクシステム
- 発売元 :DOG
- 発売日 :1987年4月3日
ゲーム概要
『アップルタウン物語』は1987年4月3日にDOGより発売のファミコンディスクシステム・シミュレーションゲーム。本作を端的に紹介すれば「5歳女児のお家での生活をひたすら観察するだけ」――という、ちょっと背徳的な香りがする(まさかそういった層を狙ったわけではあるまい、とは思うんだけど)。見た目はドールハウス的な感じなので、お人形さん遊びを楽しむ「女の子向け」……だったのかなぁ??
じつはこのゲームには原作があって、それは1985年にアクティビジョンよりコモドール64にて発売された洋ゲー『LITTLE COMPUTER PEOPLE』で、本作の副題ともなっている。これを端的に紹介すると「オッサンの家での生活をひたすら観察するだけ」という――もはや「誰得?」な内容だ。日本ではやはり1987年にPC-8801、PC-9801にて移植されているんだけど、こちらはLCPが金髪女性に変更されており、移植を担当した開発元(ポニカ)もそこんとこちゃんとわかっていたみたいね。
さて、『アップルタウン物語』に話を戻そうか。このゲームはアップルタウンに住む女の子が、お家でお留守番をしているところから物語が始まる。観察系シミュレーションということで、手元にあるコントローラーで主人公の女の子を操作することはできない(ちなみに、女の子の名前は「初回起動時に62種類の中からランダムで決定する」ことが現代のプログラム解析でわかっている)。あとはただひたすら画面上で勝手気ままに動く幼女の一日を見守るって……うん、正直これが『アップルタウン物語』のすべて。たぶん、当時プレイしたファミっ子のほとんどが「……これ何がおもしろいん?」ってなったと思う。発売元のDOGはあのスクウェアが主体となりパソコンゲームメーカー6社と結成したディスクシステム用ソフトのブランドで、3DRPGの『ディープダンジョン』とか3Dメガネで楽しめる『とびだせ大作戦』とか意欲的な作品をリリースしていた――本作もその流れを感じられる挑戦的な内容だよね(……そーいえば、この頃はまだFF発売前だったか)
一応触れておくと、単調なゲームではあるが、「電話をかける」「手紙を届ける」「食料を届ける」「牛乳を届ける」「キャットフードを届ける」「ファミコンのカセットを届ける」「占いをしてもらう」「ピアノを弾いてもらう」という8コマンドの実行が可能。その他にも裏コマンドが用意されていて、例えば「IIコンのマイクに叫ぶ」と女の子を転ばせられるなど直接干渉できるものもあるが、結局それが彼女の成長や好感度などには影響しないのが残念なところ(この裏コマンドの詳細は「女の子が2階から3階へ階段を昇ってる時に2PのBボタンを押しながらマイクに叫ぶ」となっている)
……結局エンディングもないため、まさに「いつ電源を落とせばいいのか……」無意味に時間が過ぎていく感覚に陥ること請け合い。とはいえ。正直言って、私はこの手の「観察系シミュレーション」が割と好き。本作も「ただのクソゲー」とは断じることができない魅力を感じてしまっているんだな(――とか言ってしまうと白い目で見られてしまいそうだけど)。たぶん、そんな人は他にもいる気がしていて(いてくれ!)、ここまで読んでくれた方ならば「これに似たゲーム」がいくつか思い浮かんでいるのではなかろーか。――つまり、本作はそれらの源流に近いところに位置するタイトルで、「時代を先取りしている!」と評価できると私は勝手に思っているよ。
ストーリー
驚かないで聞いてね。実は、キミのファミコンの中にはちっちゃな人間が住んでいるんだ。
誰も知らないある所に、アップルタウンっていう町がある。どういう理由があるのかわからないんだけど、キミのファミコンはアップルタウンの1軒の家につながってるんだな。そして、その家の中で、1人の女の子と1匹の猫が暮らしているんだ。
このソフトは、普段は隠されているその家を画面に引っぱり出して、どんな女の子が住んでいるのか観察するためのものなんだ。ちょっと変わってるよね。
こんにちは。私のおうちが、あなたのファミコンとつながってるんですってね。私も知らなかったの。ビックリしちゃったわ。
私のうちでは、今、パパもママも仕事で留守なの。私と猫の2人だけで暮らしてるんだけど、やっぱり、ときどき寂しくなることもあるんだ。私の暮らしぶりを見られるのは、ちょっと恥ずかしいけど、お友達になってくれるならガマンしちゃう。
あなたのお友達のファミコンにも誰か住んでるかもしれないね。教えてあげて♡
取扱説明書 <どんなソフトなんだろう 女の子の暮らしをそっと観察>より
れとげ部!での評価
先進げ!:
ここが先進げ!
どこでもいっしょの先駆けじゃんね!
私が好きなゲームの一つに『どこでもいっしょ』があるんだけど、コレまさに『アップルタウン物語』じゃんね!(ただし異論は認めます)。他にも『たまごっち』『アクアゾーン』『シーマン』『シムピープル』――まだまだあるって気がしてる。ちょっと牽強付会気味に結びつけるならば「TikTokで踊ってみた」とかも観察系シミュレーションの延長線上にあるんじゃないかな(もちろん異論は認めます)。AI研究とかもどうなんだろ? 膨大な入力をすれば複雑な反応を返せるようになる――みたいな話なかったっけ。そういうの、こうしたゲームでできないかなって。現代のAI研究さながらに、遊べば遊ぶほどその人だけのLCPを育成できる『アップルタウン物語』――スマホアプリとかで一つ、欲しいと思っているのは私だけ?
コメント! (レトゲで一言!)
5歳の女の子を観察するゲーム。確かに子供って不思議な行動してるときあるよね~。……そゆこと?