基本情報
- ジャンル:RPG
- 機種 :ファミリーコンピュータ
- 発売元 :バンダイ
- 発売日 :1991年12月2日
ゲーム概要
『ファミコンジャンプII 最強の7人』は1991年12月2日にバンダイより発売のファミコン・RPG――『ファミコンジャンプ 英雄列伝』の続編となる作品だ。前作は『週刊少年ジャンプ』の創刊20周年を記念して開発され、「ジャンプキャラ大集合!」ということでお祭り的に盛り上がったのだが……過剰出荷ですぐ値崩れを起こし、発売から少し経った時期に新品を980円で購入したというファミっ子もチラホラ。ゲームの完成度もイマイチで、当然その評価も微妙なものとなってしまい……ジャンプの偉い人も後に「あのクソゲーは本当に申し訳なかった」とか言っちゃうほど。――そのため、本作は前作のリベンジを果たすべく重大な使命を背負っていたのである!(たぶん)
リベンジに燃える本気度は「豪華スタッフ」に表れていた! まず監修に「ドラクエシリーズ」の堀井雄二氏を据えて、開発も同シリーズに関わってきたチュンソフトが担当――つまり、当時シリーズ4作目までリリースされており、すでに国民的RPGの地位を確立していた『ドラクエ』レベルのゲームを目指して、『ファミコンジャンプII』は作られたのである!(……と言いたいところなんだが。ここら辺、実際にはジャンプの偉い人こと鳥嶋和彦氏が「じゃあ、堀井さん2作ってよ!」と言ったら、まさかの「わかりました」。言った本人も承諾を得られるとは思っていなかったそう。しかし当時は「豪華スタッフ」にもかかわらず、それを大々的に宣伝していなかった様子。一説には「もしも前作のように不評だった場合――堀井氏の名に傷をつけてしまうのでは?」みたいな忖度があったんだとかなかったんだとか……)
ゲーム内容はサブタイトルにもあるように――当時のジャンプ作品から特に人気のあった漫画の主人公が「最強の7人」として選ばれている。
- 孫悟空(ドラゴンボール)
- タルるートくん(まじかる☆タルるートくん)
- 空条承太郎(ジョジョの奇妙な冒険)
- ターちゃん(新ジャングルの王者ターちゃん♡)
- 剣桃太郎(魁!!男塾)
- 前田太尊(ろくでなしBLUES)
- 両津勘吉(こちら葛飾区亀有公園前派出所)
まさに錚々たる顔ぶれ。前作は総勢16人だったが、その参加作品の多さがカオス化の要因として挙げられていた――これは「アニメ化、商品化されていない漫画家さんにも印税がいくように……」という配慮からだったといわれている。本作はキャラを絞り込んだことによって、前作よりもシナリオをまとめやすくなったのではないかと想像できる(実際には、参戦作品を減らしても「キャラが多すぎる!」ということで、非常に難産だったという話)。また、それぞれの作者が一体ずつ「七大将軍」(中ボス)のキャラデザを手掛けたことが、当時大きな話題となった。
ゲームは、まずスタート時に任意のキャラから一人を選ぶ。この選択によって変わるのは「仲間が増える順番」「選択キャラの加入エピソードが見られない」だけで、その他大きな違いはない。序盤は各キャラがパーティメンバーに加わっていく流れがメインとなっていて、一人のエピソードに「街一つ、ダンジョン一つ、ボス一体」という構成を進んでいく。まさに『ドラクエIV』みたいな感じで、ボリューム的には第一章を短くしたようなものを7人分――それぞれ20分程あればクリアできる内容となっている。この前半にさくさくストーリーが進む感覚がプレイヤーにストレスを感じさせず、ゲームに惹き込んでいく優れた構成であることはもはや『ドラクエIV』で証明されていたよね。
そして、本作最大の見どころは「戦闘システム」だと私は考える。本作の戦闘は「タクティカルバトル」を採用している。しかしながら難しい部分は一切なく、極限まで簡略化している。大きなキャラを操作して、必殺技をぶっ放すのは爽快で、攻撃モーションも非常に楽しい。しかも一回の戦闘毎に体力が全回復するため、他の多くのRPGのようにMP消費を惜しんで魔法を節約するような必殺技の出し惜しみをする必要がないのだ(本作の必殺技は体力消費で使用する)
結果的に本作は「前作のリベンジを果たした!」と言ってもよいと――私は個人的には思っている。例えば現在「原作を知らない世代」でも「昔のドラクエみたいなゲーム?」として充分に楽しめるのではないか。「ジャンプで良いゲームを作ろうとした人々」の「努力・友情・勝利」にて完成した『ファミコンジャンプII 最強の7人』は――まさにジャンプを体現したファミコンソフトである! ――と評価してもよいのではなかろーか?
ストーリー
ジャンプワールドの精霊が宿る大神殿。その炎の部屋で雄々しく燃え盛っていたはずの友情・努力・勝利の炎が消えかけている…。かつて16人のヒーローたちがピッコロ大魔王を倒し、平和が訪れたジャンプワールドに、再び異変が起きつつあるらしい。
心を痛めた精霊は、魔の手から大神殿を守るために大扉を封印し、ジャンプワールドで最も勇敢な7人のヒーローをお選びになった。各地にちらばった7人のヒーローがそろった時、大扉は開かれるという。そして、新たな戦いの旅が始まるのだ。
取扱説明書 <プロローグ> より
れとげ部!での評価
ジャンプげ!:
ここがジャンプげ!
ジャンプでやる意味はあったのか?
うん、上では割と高評価っぽく書いちゃったけど、一般的な評価で目立っているのは「ジャンプでやる意味はあったのか?」みたいな感じなんだよね。大きな理由としては「あまりにもドラクエライク」ということが挙げられると思われる。確かに「キャラと戦闘システム以外はほぼドラクエ」。シナリオ的にも「序盤以外ほとんどジャンプが活かされていない!」との指摘にも正直反論は難しく感ぜられる。……でもなぁ。前作のときにも書いたと思うけど、私的にはジャンプのキャラが出ているだけで充分楽しかったんだよな。そんな思い出補正働きまくりの私では冷静な批評はできていないとわかっている。そこで「原作を知らない世代」の子供たちにこのゲームがどう映るのかは非常に興味深いところ。彼らがこれをプレイして原作に興味を持ったなら、それは「ジャンプでやる価値はあった」と言ってもいいのではないか。逆に「昔のドラクエみたいだね」で終わってしまえばそれまでか。――如何でしょうか、ね?
コメント! (レトゲで一言!)
ジャンプ黄金期のキャラでドラクエライクに仕上げたRPG。ジャンプでやる意味はあったのか? その疑問の答えは後世に託したい。