タイムツイスト 歴史のかたすみで…

ファミコン

基本情報

  • ジャンル:アドベンチャー
  • 機種  :ファミリーコンピュータ ディスクシステム
  • 発売元 :任天堂
  • 発売日 :1991年7月26日

ゲーム概要

『タイムツイスト 歴史のかたすみで…』は、すでにスーファミが発売されている(1990年11月21日)ファミコン後期たる1991年、ディスクシステムで発売されたアドベンチャーゲーム。同じくディスクシステムの「ふぁみこんむかし話シリーズ」の後釜としてリリースされたんだっけ。また、これと同様に開発は任天堂とパックスソフトニカの共同で行われている。ディレクター&シナリオは『遊遊記』の原作を手掛けた照井啓司氏。前述の通り、スーファミ登場後であったこと、ディスクシステム自体が衰退していたこともあって、プロモーションは控えめ――前記作品のようなテレビCMでの宣伝活動などは行われていなかった。ソフトはやはり例によって前後編2枚でリリースされており、これ以降のソフトはすべてディスクライターによる書き換え専用となったため、本作の後編が悔過的に「ディスクシステム最後のパッケージソフト」としてゲーム史のかたすみにその名を刻むこととなったのである……。

ストーリーはタイトルから推測できるように「タイムスリップもの」――世紀末への不安から占いが流行している現代(1995年の東京という設定)、テレビで見た占いに触発されて悪魔博物館へ向かった主人公の少年は、ひょんなことからそこで悪魔を解放、互いの体を交換されてしまい、共にタイムスリップするはめに……そして行く先々で悪魔やその手下の悪事を阻止するため奮闘するといった内容だ。「ふぁみこんむかし話シリーズ」とはかなり趣が異なっており、ややシリアスな作風で戦争や宗教などをテーマに、ヒトラーやキリストなど「実際の人物と歴史」にスポットを当て、そこにSF要素やファンタジー要素を盛り込んだシナリオ構成となっている。

主人公は悪魔に肉体と精神を分離された影響から、他者や動物に乗り移れる能力を有し、「魂」「乗り移った対象」それぞれの優位性を交互に駆使して問題解決を目指していく。この能力は「ふぁみこんむかし話シリーズ」の「ひとかえる」システムに通じるものがあり、他のキャラに乗り移った状態で「あるく」コマンドを実行すると、十字キーでそのキャラを直接操作することができる。基本システム的には「コマンド選択式ADV」であるが、要所でロジックパズルや歴史クイズのミニゲームが挿入され、クリアしなければ先へ進めない仕様となっている。

ストーリー

1995年の9月25日、主人公の少年は何気なくテレビを見ていました。しかし、ある邪悪なテレパシーの影響で彼の平凡な日常は一変し、とてつもない時空間のねじれに呑み込まれてしまったのです………。

取扱説明書(前編) <ようこそ時空間の旅へ…> より

占いの言葉を信じ自分のツキを確かめようとしたオレは、出会いのチャンスがあると言う郊外の博物館へとやって来た。そう、そこで運命的な出会いをしてしまったのだ。長い眠りからさめたアイツと…。

取扱説明書(後編) <1995年9月25日、すべてはこの日から始まってしまった。> より

れとげ部!での評価

隠神げ!

ここが隠神げ!

ディスクシステム最後のパッケージソフト

ということで、知名度的にはマイナーな部類に入る本作はしかし、実際にプレイしたユーザーからの評価は高く、まさに隠れた名作と呼べる出来となっている。一番のポイントはやはりシナリオで、キリスト教、魔女狩り、第2次世界大戦、アメリカの奴隷制など、当時の任天堂製アドベンチャーらしからぬダークな題材を取り扱っており、プレイヤーの印象に残る内容だ。とくにエンディングは意味深な終わり方となっていて、「タイムツイスト(時間をより合わせる)にマッチしたオチ」「歴史の修正という題材にふさわしいED」と高く評価する声もあれば、「どうやっても救われない」「後味が悪く、すっきりしない」などの声も聞かれ、賛否両論分かれている。「れとげ部!での評価」としても「隠神げ!」であることは疑いの余地がないと考えていて、もっと広く世に知られても良いレトロゲームだと思うんだけど、『遊遊記』と同様に現在まで移植・配信などが一切されていない。これはナチスドイツや宗教を盛り込んでいることがその障害になっていると一般的にはいわれている。しかも当時のディスクユーザーは圧倒的に書き換え派が多かったことから、現存するパッケージ版が相当希少なものとなっており、現在定価を大幅に超える中古価格が付いている――傾向にあるらしい。今後も歴史のかたすみでひっそりと語られていくのか、それとも広く再評価される日が来るのか――私としてはその辺も含め、心のかたすみに置いておきたいレトロゲームである。

コメント! (レトゲで一言!)

  1. 管理人 ぶちょー より:

    まらどぅる・ばらお・がらどぅーら。広く再評価される日は来るのか……歴史のかたすみのみならず、心のかたすみにも置いておきたいレトロゲーム。

タイトルとURLをコピーしました