基本情報
- ジャンル:シューティング
- 機種 :ファミリーコンピュータ
- 発売元 :ハドソン
- 発売日 :1987年7月16日
ゲーム概要
『ヘクター’87』はハドソンさんが開発したファミコン専用シューティングゲーム――タイトルの数字が示す通り、1987年に発売されたんだな。この後、ハドソンさんはPCエンジンに移行していったため、同社による「ファミコンタイトルとしては最後のシューティングゲーム」となっている。さらに本作は、『スターフォース』『スターソルジャー』に続く「全国ファミコンキャラバン第3弾用の公式ソフト!」として、多くのファミっ子たちの記憶に残っているのではなかろーか?
前2作が連射命の王道的シューティングであったのに対して、本作は全6面のうち「奇数(1・3・5)面が縦スクロール、偶数(2・4・6)面は横スクロール」とゲーム性に変化をもたせ、かつ「ライフ制」を採用するなど、明らかに毛色の異なる仕様だった。敵の弾数が容赦なく、ボーナスも少なく、さらに敵を倒さないとスコアが稼げないのに敵が硬いという高難易度ゲー!(――その難しさは今でも「『ヘクター’87』をクリア出来て一人前!」とコアなシューター間では語り継がれているほどなんだそう)。そのためか大会でも連射パット(ジョイカードMK-II)の使用が公認されていたんだな。本作には「キャラバン用の時間制限モード」が搭載されていて、全国のファミっ子たちは大会に向け宿題そっちのけで練習を重ね、万全の体制でその腕前を披露するはず……だったのだが。
じつは「第3回TDK夏休み全国ツインファミコン大会」(この大会ではツインファミコンが使用された)と銘打たれたこのイベント、開催されたのが1987年7月19日からなのだが――そう、基本情報の項で記した通り、本作の発売日は1987年7月16日、つまり「本来の予定日もギリギリだった7月10日からさらにまさかの発売延期!?」。過去2回と比べると公認タイトルが発表された時期も遅く、コロコロコミックで攻略特集を組む暇もなく――まさに異例の状況下で開催されたため、多くの参加者は充分な練習時間が取れないまま本番を迎え、キビシイ戦いを強いられることに。また、当時ファミっ子たちの神であった高橋名人も自身が主演の映画撮影が絡み、あまり姿を見せなかったな。大会自体はテレビ番組との連動も始まるなど環境が整備されていたのだけれど、イマイチ盛り上がりに欠ける内容となってしまったのは、ハドソンさん的に「忘れてしまいたい黒歴史」であったんじゃないかなって、私は想像したりして。
肝心のゲーム性も先述の通り、かなりシビアなものとなっている。敵の猛攻に対して自機のパワーアップがなく、爽快感に欠ける内容――説明書ではこれを「戦略シューティング」と語っているが、それを理解し納得できたファミっ子がはたしてどれだけいたのだろーか。――とはいえ、ゲームの作り自体はそれほど悪くない。ただただ「難しすぎるゲームバランスの不安定さ」と「キャラバンの失敗」により、一般的にも「高い評価は得られていない」印象を持つ。「れとげ部!での評価」は「黒歴げ!」。本作は他のキャラバンゲームに比しても移植が少なく――ハドソンさん的にも黒歴史として扱われていたんじゃないかなって、勝手に邪推してしまうのは私だけ?
ストーリー
星歴1024年、地球に起こった第3次世界大戦は、人類の遺産や記憶を焼きつくしてしまった。
その失われた過去を求めて、星歴4622年、時間旅行社の調査船団が、太古の地球へと旅立つ。
しかし、調査船のほとんどは、異様に発達したバイオメカの群れに遭遇し、追撃された――。
ただ一隻生きのびたノア号は、バイオメカの謎をさぐるべく、古代地球での戦闘を開始した。
取扱説明書 <ゲームストーリー> より
れとげ部!での評価
黒歴げ!:
ここが黒歴げ!
ここがターニングポイントだったのか?
先に述べたように、この後ハドソンさんはPCエンジンへと移行、数々のシューティングゲームをキャラバン公式ソフトとしてリリースしていくも、シューティングの衰退期はすでにこの頃から始まっていたんだな。大会も対象ソフトがPCエンジンとなると参加者がガクッと減ってしまった誤算。一過性のブームに固執し過ぎたのが、会社自体の衰退にもつながっていったのでは……って見方もあるある。ふと、『おじいさんのランプ』を思い出す今日この頃――ところで、新発売のゲームを練習時間を与えずぶっつけ本番でプレイするような大会があってもいいんじゃないかと思ったり。ゲーマーのセンスや動体視力がもろに試されるような――最近のeスポーツとかに如何でしょうか?
コメント! (レトゲで一言!)
全国キャラバン開催3日前に発売され、充分な練習時間が取れないまま厳しい戦いに挑んだ――あの夏の日の思ひ出。