ドラゴンボールZIII 烈戦人造人間

ファミコン

基本情報

  • ジャンル:RPG
  • 機種  :ファミリーコンピュータ
  • 発売元 :バンダイ
  • 発売日 :1992年8月7日

ゲーム概要

『ドラゴンボールZIII 烈戦人造人間』は1992年8月7日にバンダイより発売のファミコン・ロールプレイングゲーム――FC版の『ドラゴンボール』としては第6作、『ドラゴンボールZ』としては第3作にあたる作品(本作の前には同年1月25日にSFC版『ドラゴンボールZ 超サイヤ伝説』が発売されている)。前作『ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人』で尻切れトンボに終わってしまった「悟空とフリーザの対決!」から本作は始まり――いきなり「超サイヤ人悟空VSフリーザ」って、のっけからアツい展開! 否応にも「前作からのパワーアップ」を期待してしまうがはたして……。

ゲームシステム面での印象は「前作からさらに遊びやすくするための開発努力が見受けられる」(これはFC版DBゲー全体的にいえると私は思ってる)。戦闘システムがかなりユーザーフレンドリーになっていて、その最大のものはやはり「戦闘アニメがスピーディになっている」こと。これで前作の最大の問題点であった戦闘のダルさがかなり解消されている(ただし「速すぎて何が起こっているのか分からない」といった指摘もある)。FCのDBゲーといえば「カードバトル」だが、本作は「必」カードが廃止され、それぞれの流派に合わせたカード(例えば悟空なら「亀」「神」「界」)を選ぶことで必殺技が出せるようになった――これにより、必殺技が使いやすくなった。「戦闘をする前衛」と「サポートをする後衛」の概念も取り入れられ、ヤムチャは操気弾で、チャオズなら超能力で助けてくれるなど、脇役キャラにもスポットが当たるようになっているのも嬉しいところ。

しかしながら、本作のゲームシステムには問題点も多く指摘されている。例えば、「必殺技自体は出しやすくなったものの、強力な必殺技は出しにくい」(本作には1ターンを消費して「KI(気)をねる」というコマンドが存在し、強力な技を出すには相応のターン数を消費する必要がある)。「レベルアップの恩恵が薄い」(レベルによる有効な能力値変動が少なく、これはおそらく「原作では強敵キャラにもかかわらず、すぐに倒してしまえる事態を避けるため」演出上の工夫だったと想像できる)。「2Dバトルが無意味」(本作には2Dバトルという「マップ上で行われる簡易戦闘モード」が搭載されているが、通常の3Dバトルよりも時間がかかる場合がしばしばあり必要性が薄い)。そして私が一番ガッカリしたのは「天下一武道会モードがない!」(これ、じつは没データとして開発段階のものがカートリッジ内にはデータとして残っていたことが、後年の解析でわかっている)。開発期間が足りずに間に合わなかったと想像できるが、「天下一モード大好き!」だっただけに残念でならなかったな……。

調べてみると、本作は他にも本当に多くの問題点が指摘されているのだが、その中で最大のものとなるのが「タイトル詐欺」である。「烈戦人造人間」と謡っているにもかかわらず、本作のメインとなるのは「フリーザと、その兄クウラとの戦い」で、一応人造人間やセルなども登場するのだが、全体から見ると明らかにボリュームが少なく――てか全体的に見てもボリューム不足(RPGなのに5時間くらいで全クリできるとの指摘が目立つ)。人造人間・セル戦はすべてイベントバトルにて、取って付けた感がぱないの。当時の広告や説明書のストーリーも完全に「人造人間・セル編」に焦点を合わせていて――これらからその内容の薄さを判別するのは正直非常に難しく、「詐欺」と評されても確かに仕方がないって私も思ってる。

そして実際、ピッコロとセル(第一形態)のイベントバトルが終わってセルが逃げ出し――その後、第2形態のイラストともに「果たしてZ戦士はセルを倒せるだろうか!?」的な前作以上の尻切れトンボ……。最後に出る悟空の「こんどはオラがやる!」(当時のキャンペーン用のメッセージだった)に至っては「オラがやる! ことは永遠になかったよ!」と皮肉交じりに言われてしまう始末(本作の続編にあたる『サイヤ人絶滅計画』はオリジナルストーリーが展開され、これがDBカードバトルRPGの最終作となったため)。このことは現在でもDBゲーファンの間では伝説として語り継がれている(……継がれている? じつはまだ続きを待っているファミっ子もひょっとしたらいるかも?)

そんなこんな本作のれとげ部!での評価は「惜げ!」としたい。正直、クソゲーではないと言いたいが、駄ゲーと言われてしまうと反論が非常にキビシイ。ゲームシステムについては前述の通り「シリーズを重ねるごとに改善の努力が窺える」ことに疑いの余地はなく、結果的にそれが良かったりダメだったりしているのであって――この開発陣の奮闘は素直に称賛したいポイントだ。とくにZに入ってからはアニメと同時進行で毎年リリースするという強行スケジュールの中、カードバトルRPGという斬新なシステムが目覚ましい進化を遂げていった事実は揺るぎないと言っていいだろう。ボリューム不足やストーリーの中途半端感もアニメと同時進行であったことを鑑みるに、擁護の余地がある。「神げ!」と紹介できないのが非常に惜しい作品だと私は思っているよ。

ストーリー

悟空が宇宙最大の戦士「スーパーサイヤ人」に変身して、フリーザと刺しちがえ、ナメック星もろとも爆発して果ててから数年がたった。

そんなある日、突然、死んだはずのフリーザが、父を伴って地球にやってきた。その「気」を察知したZ戦士たちがそのポイントに集結すると、ひとりの謎の少年があらわれ、あっさりフリーザ親子を倒してしまった。そしてそこへ、死んだと思われていた悟空も帰ってきた。

あぜんとするZ戦士たちに、謎の少年は「未来では人造人間が地球を征服してしまう。だからZ戦士たちの力でそれを防いでほしい」という言葉を残して去って行く。

こうしてZ戦士たちは、人造人間との新たな戦いに備えて、ふたたび修行の旅に出ることになる……。

取扱説明書 <ストーリー> より

れとげ部!での評価

惜げ!

ここが惜げ!

開発努力は認めたい!

今回は上で語り尽くしたな。とにかく惜しい。ここまでプレイしてみての気付きとしては、FCのDBゲーは開発努力が感じられる作品がほとんど(ただし「神龍の謎」は除く)だけに、全体的に惜しいと思わされる作品が多いのかもしれないね。

コメント! (レトゲで一言!)

  1. 管理人 ぶちょー より:

    壮大なタイトル詐欺。本当に「オラがやる!」ことは永遠になくなってしまったのか。開発努力は窺えるだけにいろいろと惜しい作品。

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