基本情報
- ジャンル:RPG
- 機種 :ファミリーコンピュータ
- 発売元 :データーイースト
- 発売日 :1989年12月23日
ゲーム概要
『ヘラクレスの栄光II タイタンの滅亡』は1989年12月23日にデータイーストより発売のファミコン・ロールプレイングゲーム――前作から約2年、『ドラクエIII』のリリースから約1年後の「ファミコンRPG全盛期」にリリースされた一作だ。まずはパッケージイラストに目がいく。前作は海外受けが良さそうなリアル寄りな絵であったのに対し、今作では等身の低い子供向けのデザインに変更されている。否が応でも『ドラクエ』を彷彿させる絵となっているが、「ファミコン初のドラクエフォロワーRPG」と呼ばれる前作と比して、本作の出来栄えや如何に……?
はい、(すでにお気づきかもしれないけれど)ぶっちゃけドラクエ! レトロゲーマーの間では「デコゲー臭」とも評される前作の独特な特徴は悉く廃止されてしまったな。本作では複数パーティ制が導入され、主人公はヘラクレスから「ナナという村に住む一人の少年」へ――女王から手紙で招集を受け、闇の魔王討伐のため旅立つことに。序盤は主人公一人にもかかわらず、敵はお構いなしに複数で出現――しかもエンカウント率が高い! そのためダンジョン攻略など苦戦を強いられることになる。ストーリーが進むとケンタウロス、青銅の女神が仲間になるが、これはまさに『ドラクエII』を彷彿させるところ。戦闘では敵に攻撃をする際「とー!」「うひゃー!」など各キャラの性格を表した掛け声を発する演出が挿入されるが、これは前作から継承されている数少ない『ヘラクレスの栄光』らしい部分と言えそうだ。前作でハデスを倒したヘラクレスは、今作の世界では英雄となって語り継がれており、ゲーム終盤の天界にて4人目の仲間としてパーティに参加する。
本作は「何も知らずにプレイすると難易度が高い!」と感じられるはず。先述のエンカ率の高さ然り、状態異常攻撃を持つ敵の多さ(装備品を一撃で破壊してくることもあったり)、さらには「胸を抉られて即死」する事態もしばしば発生する。しかしながら、「バランスブレイカーともいえる武器の存在」「状態異常魔法が中ボスやラスボスにも効く」といったポイントを押さえられれば難易度は一気に緩和され――全体的にはバランスが上手く取れている印象を受ける。そして、一般的に「凡庸ながら佳作」と評される本作は、シナリオと音楽についてはかなり高い評価を得ており、「主人公と恋人のエピソード」が今でも記憶に残っているファミっ子は少なくないだろうな。音楽については2018年にサントラBOXが発売され、ファンの間で話題となった。――シナリオと音楽が心に残るレトロゲームを体感したい人にオススメできそうな作品だ。
ストーリー
あれから何百年が過ぎたことだろう…。
偉大なる英雄・ヘラクレス。
かつて彼が激しい闘いの末に築き上げた平和な世界――そこは、鳥が歌い、美しい花が咲き乱れ、人々が楽しげに語り合う、楽園のような世界だった。
しかし、その平和な世界にも、いつしか黒い影が忍び寄ろうとしていた。世界の支配を企む黒い影――“闇の魔王”とその手下の魔物たちが、地上に現われ始めたというのだ…。世界に安息の日々を取り戻すためには、誰かが戦わなければ、誰かが立ち上がらなければいけない!
選ばれし者よ、そして、勇者の血を受け継ぐ者よ!
立ち上がれ、突き進め!! 世界に“光”を取り戻すために!
れとげ部!での評価
礎げ!:
ここが礎げ!
シリーズの基礎となった作品
本作の一般的な評価は「良くも悪くも手堅い出来」。「初のドラクエフォロワーRPG」といわれる前作は、確かにドラクエに似ているゲームではあったものの、「フィールドマップと町がシームレスに繋がっている」「武器防具に耐久度がある(耐久度ゼロで壊れる)」など、良かれ悪しかれ独自の要素が多く見られた。しかしながら、続編である本作は前作の特徴的なシステムを悉く廃止しており――よりドラクエライクな仕上がりに。それによって全体的な完成度は上がって万人向けするRPGとはなったが、良い意味でも悪い意味でも「デコゲー」と呼ばれ他作と差別化できていた前作に比して凡庸な作品となってしまった。――とはいえ、シナリオ、BGMには光るところがあり、それは後の作品に受け継がれ好評を得ている(一般的に『III』はシナリオと音楽、『IV』は全体的な完成度とやはりBGMで高い評価を得ている)。ゆえに、本作は「シリーズの基礎となった作品」との評価が、個人的にはしっくりくるなと思っている。
コメント! (レトゲで一言!)
ぶっちゃけドラクエ。前作のデコゲー臭は良くも悪くも消されてしまった。だが、後のシリーズにも受け継がれるシナリオと音楽の出来は光ってる。