基本情報
- ジャンル:アドベンチャー
- 機種 :ファミリーコンピュータ
- 発売元 :ハドソン
- 発売日 :1989年12月8日
ゲーム概要
『星霊狩り』は1989年12月8日にハドソンが発売したファミコンゲーム。ジャンルはコマンド選択式アドベンチャーだ。シナリオに「ハルマゲドン黒書シリーズ」などを手掛けた中島渉氏、原画に少年ビッグコミックで連載されていた『重機甲兵ゼノン』の神崎将臣氏を起用するなど、豪華な布陣で開発が行われた。
ゲームは、主人公・ミチムネが、突如現れた謎の怪人・ローゼンクロイツに攫われたヒロイン・ミウを救出すべく、草野教授の力を借りて旅に出る――といったもの。ローゼンクロイツの居場所を求めて神戸からスタートし、日本始まりの場所とも云われる飛鳥の地(奈良県の明日香村付近)や、四国の阿波地方(徳島県の山沿い)など、日本の伝奇的な舞台を巡ることになる。メーカーが説明書にて「ノベル・ウェア・AVG」を謳っているように、「冒険小説を読んでいる感覚にさせる」狙いで、ストーリーを重視した内容だ。プレイヤーは不気味な世界観と先の読めない展開に引き込まれるだろう。
システム面は、「調べる」「話す」「移動」などメインとなる5種類のオーソドックスなコマンドを選択、さらに実行コマンドが分岐する仕様。理不尽なハマりなどは存在せず、基本的には総当たりでなんとかなる感じ。ただしコマンドが少ないため、同じコマンドを複数回入力しなければフラグが立たないケースがほとんど。立ち寄る村の中でも同じ場所に何度も移動する必要があったりと、攻略にはやや根気がいる。その他の特徴としては、当時のファミコンADVに多かった「3Dダンジョン」「RPG風の戦闘」などが簡易的ながらも用意されている。怪物と戦うシーンではあるアイテムを使って敵の弱点を探ることが先決となる。
ストーリー
それは、ミウの家で起こった。
その日、ミウの16歳の誕生日を、彼女の同級生のミチムネとミウの祖父が祝っていた。
親がわりにミウを育てたおじいさんは、
「これでミウもりっぱな大人じゃな。いつでも嫁にいけるぞ、のう、ミチムネ、ふぉっふぉっふぉっ」と上機嫌!
3人にとって、平和そのもののバースディパーティーだった。
と、そのときだった。あたりが急に暗くなり、そしてぶきみな声が響いた。
「フッフッフッ、久しぶりだな」
暗闇から巨大な顔が浮かんだ。
「き、きさまはローゼンクロイツ!まさか生きていたとは……」
おじいさんの顔から血の気が失せていった。
「私がこの日を忘れるわけがなかろう。100年もの間ずっと待っていたのだ」
ローゼンクロイツと呼ばれたその顔は言った。
「きさまは、ミウを使ってあの力を手に入れるつもりじゃな!」と、おじいさんが叫んだ。
「フッフッフッ、そういうことだ。娘はもらっていくぞ!」
そういうと、ローゼンクロイツはおじいさんを倒し、ミウを連れ去ろうとした。ミチムネはそれを阻止しようとしたが、逆にローゼンクロイツに返り討ちにあい、気を失ってしまった。
ミチムネが気がついたのは病院のベッドの上だった。彼はこれまでに起こったことを考えてみた。が、ますます謎が深まるばかりであった。
しかし、ここでミチムネはこの謎のカギを握ると思われる草野教授と巡り会う。そして、「キミには秘められた力がある。その力を目覚めさせればすべての謎は解き明かされる」と教授はミチムネに言った。
果たしてこの男は敵か? 味方か? が、それを詮索する前にミウを助け出さなければ!
ミチムネは、何かとんでもない事件に巻き込まれてしまったことを直感した。
そして彼は、草野教授とともに謎の解明と未知の敵に向って旅だった、愛する者を救うために……
取扱説明書 <ゲームストーリー> より
れとげ部!での評価
顔怖げ!:
ここが顔怖げ!
ローゼンクロイツと呼ばれたその顔が怖い!
オープニングで登場するローゼンクロイツの顔は、「トラウマシーン」に挙げるレトロゲーマーも多く、確かに不気味なんだよね。
そして、本作は結果的に「ほとんどそれがすべて」といっても過言ではない「非常に惜しい」作品になってしまっている――と、私は考えている。その理由は「謎がほとんど明かされず、消化不良感がぱないの」って感じ。「おじいさんとローゼンクロイツの確執とは何だったのか?」「ミウとソロモンの力の関係(出生に何か秘密があるのだろうか?)」「ミチムネの勇者としての力の謎」「勇者をつくった神とはどんな存在なのか?」などなど。小説家の方を起用しているだけに「日本の伝奇と海外の古代ミステリー」をうまくマッチさせたような――非常に引き込まれるシナリオだけに、前述の謎がすべて尻切れトンボとなってしまっているのが、正直残念でならない(それとも続編の予定でもあったのだろうか……そんな意味深なエンディング?)。その証拠に、「そもそも『星霊狩り』って何やねん!」と、タイトルそれ自体の意味を問うネット上の記述も散見される。どうやら『星霊狩り』については、主人公が戦う7体怪物が北斗七星になぞらえらており、この7体の怪物「星霊」を倒す主人公を指して『星霊狩り』という意味になっているようだ。FCの容量的にストーリーを詰め込み切れなかったのは察せられるが……う~ん、非常に惜しいと言わざるを得ない。
本作は一般的に「マイナーゲー」と思われるだが、「1989年にハドソンがファミコン向けに供給した唯一のソフト」として、有識者の間では知られている。この時期のハドソンは自社が開発に携わったPCエンジンに注力していたため、ソフト開発・販売もそちらを優先していた事情があったからだと言われている。思えば、この頃からハドソンの低迷の兆しは見え始めていたのかな……。ハードのシェアが取れれば確かに大きいけれど、そのためには『FF』や『ドラクエ』みたいなシェアが取れる絶対的なタイトルが必要で、ハドソンにはそこまでのものはなかったような気がしてる。もちろん、「じゃあスクエニがハード出せばシェア取れんのか?」と聞かれたら、やっぱり難しいと答えざるを得ない。いいソフトを出すには開発期間が必要で出せる数が限られてくる。それを補うためのサードパーティーということになるだろうけど、すでに収穫逓増が働いている現在のゲーム機戦争の戦況を覆すのは不可能に近い。Windowsとかもそうだけど、何事も早い者勝ちで、その点任天堂は上手かった。そして、プレステで任天堂一強を覆したソニーは本当に凄かった。それだけにPCエンジンの挑戦も称賛されて然るべきと私は考える……って、話逸れ過ぎ。
コメント! (レトゲで一言!)
結果的に。不気味な世界観と先の読めない展開は引き込まれる。それだけに回収されない謎の多さが惜しまれる(星霊狩りって何やねん!)