基本情報
- ジャンル:RPG
- 機種 :ファミリーコンピュータ
- 発売元 :エニックス
- 発売日 :1990年2月11日
ゲーム概要
- はい『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』ですね。前三作にてRPGというジャンルを不動のものとして世に確立したといっても決して過言ではないドラクエシリーズの第四弾。Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを「ロト三部作」と題するのに対して、Ⅳ・Ⅴ・Ⅵからなる「天空三部作」のプロローグ。ここからさらなる独自の路線を歩むべく、新たなスタートを切った感あるある。ちなみに「天空三部作」はもともとユーザー間での俗称だったものを、後にメーカー側が正式採用したんだって。
- 開発途中で延期が発表され、前作から二年のブランクが空いての発売だったな。当然ながら、待ちに待ったファンは販売店に長蛇の列をなしたな。
- あと「IV」はテレビCMも印象的だった。実写化したバージョンもそうだけど、やっぱりあれね、電車の車掌室からの風景を流したやつ。現代から振り返ってみても、なかなかセンスフルな異色のテレビCMだったなぁ。じつはあれって京王線らしいよ。印象に残っているファミっ子も多いのではなかろーか。
- ドラクエIVの発売当時は世界的にROMの供給不足が続いていた時代だった。80年代後半からPCやゲーム機の普及が進んできたことがその主な原因なんだけど、そんな背景もあって「IV」も十分なロットを確保することができなかったって話。もって発売当初はやっぱり品薄状態が続いてたんだよね。
- そして、またしても発生してしまったドラクエ狩り、不良在庫との抱き合わせ販売。ROM不足の問題は価格面にも影響して、しかも開発費がこれに重なり、希望小売価格8500円はファミコンソフトとしては高額で涙目になった思ひ出。
- しかしながら、はい出ました4メガROM! っていうよね。これは前作の倍にあたる容量で、前三作と当時のエニックスの他のファミコンタイトルすべてを入れても余裕があるほどの膨大なものだった。
- まぁ容量が大きければ良いゲームかっていうと、決してそういうわけではないんだけども、しかしこれまでボツにせざるを得なかった要素が盛り込めるっていうのは、開発側としてもユーザー側としても嬉しかったよね。
- 例えば、本作でいえば「ちいさなメダル」とか。以降、ドラクエシリーズの定番アイテムとして定着したよね。じつは前作でもデータとしてはボツアイテムとして存在していたそう。そんなこんな豊富なアイデアを存分に取り入れることができた「IV」は、まさに「ファミコン最後のドラクエ」にふさわしいゲームに仕上がっていると言っていいと思うの。
- さて、ゲーム内容としてはまず「オムニバス形式を採用したストーリー」。四つのショートストーリーで勇者の仲間となる「導かれし者たち」の旅の経緯と物語の背景を少しずつ描いていく。そして最後の章で勇者のもとに集っていく。
- 物語を魅せるこの手法は当時大胆なものに感じたな。前作のような転職やキャラメイキングといった自由度は確かに失われてしまったかもしれない。けれども、それでも物語を魅せることに重きを置いたスタイルは、現在のRPGの主流を見ても、間違っていなかったと思われ。
- しかも、冒険の自由度までは奪われていなかったという事実。ちいさなメダル探し、カジノの導入だとか、いろいろ遊びの場は広がった感あるある。第五章で馬車を入手、仲間が全員揃ったならパーティメンバーを選抜する楽しみも。ただし、ここではステータスと戦闘システムの関係で、ほぼほぼスタメンは決まっちゃうんだけれど。よっぽどキャラクター愛がなければ、最後まで馬車の中で過ごすメンバーもいてはるよね。ミネアさんとか、同じ回復役のクリフトさんと比べると見劣りしちゃうな。まぁクリフトさんもAI戦闘の影響で、ボス戦にてザラキを連発しちゃうアホクリフトとかあったけど、ね。
- とくにこのAI戦闘は「IV」の特徴的な仕様で、指示を出さずとも「いのちをだいじに」だとか大まかな作戦に従って仲間が勝手に戦ってくれるのが楽といえば楽だし、仲間と共に冒険してる感も上がったんだけど、前述の通りなかなかこちらの思う行動をしてくれなくて不便な面の方が大きかった残念。リメイク版で「めいれいさせろ」が加わっている点を鑑みるに、まぁお察しだよね。
- さて、そんなドラクエIVなんだけど、じつはドラクエシリーズの中じゃあ評価はあんまり高くないかも。先述のキャラメイクとAI戦闘で大きく自由度が損なわれたイメージと、同時期に急成長を遂げた『ファイナルファンタジーIII』の影響もあって「ドラクエ一強体制」の終焉をもたらしたタイトルとの印象が残ってる。
- とはいえ、個人的には「ドラクエが好きか、FFが好きか」「IIIが好きか、それともIVが好きか」など好みの問題も結構大きいような気がしてて、総評としてはファミコン最後のドラクエシリーズを飾るのに十分魅力的なゲームとなっていると思うんだけど、どうでしょうか?
ストーリー
第一章 王宮の戦士たち
バトランド王国の国王は、王宮戦士たちにイムルの村で頻発している子どもの失踪事件の解決を命じた。ライアンも調査のためイムルの村へ向かった。
子どもたちの秘密の遊び場となっている古井戸へ赴いたライアン。そこには子どもたちが遊んでいたという不思議な靴があった。ライアンが靴を履くと、湖の孤島に立つ塔へ飛ばされる。塔の地下室には失踪した子供たちが囚われていた。
事件の黒幕は「ピサロの手先」と名乗る魔物だった。魔物は、将来の脅威となるだろう勇者の資質を持つ子どもを見つけ出し始末するため、空飛ぶ靴を利用して今回の事件を引き起こしたのだ。
ピサロの手先を倒し子どもたちを救出したライアンは、いまだ見ぬ幼い勇者を探し出して守ることを決意し、旅立つのだった。
第二章 おてんば姫の冒険
サントハイムのアリーナは武術の才に恵まれたおてんば姫だ。いつも父王に「腕試しの冒険に出たい」と言っているけど、聞き入れてもらえない。そんなある日、ついにアリーナは城を抜け出す。彼女の身を案じた神官クリフトと世話役の魔法使いブライは、そのお供をすることになった。
アリーナ姫一行は行く先々で人助けをすることになる。旅の途中で、アリーナの父、サントハイム王の声が失われたと知らせを聞く。アリーナたちは秘薬を手に入れ、王の声を取り戻した。
声を回復した王は、最近よく見るようになった夢について語る。「地獄の帝王が地の底から甦り、世界を滅ぼす……」その話を大臣にしようとした瞬間、王の声は失われたのだという。夢の内容に言い知れぬ不安を抱いたサントハイム王は、アリーナ姫の旅立ちを認め、世界をよく見てくるようにと告げる。
隣国のエンドールでは武術大会が開かれようとしていた。優勝者にはモニカ姫との結婚が約束されていたが、姫はそれを望まず、エンドール王も自身の軽率さを悔いていた。
女性が優勝すれば結婚の約束は無効になる。アリーナは二人から「武術大会に出て優勝してほしい」と頼まれ、決勝まで勝ち進む。だが、決勝戦の相手である「デスピサロ」を名乗る選手は姿を消していて棄権扱いとなった。こうしてアリーナは見事優勝を果たした。
消化不良の優勝……何か腑に落ちないもやもやを抱えながらも、サントハイム城へ帰還したアリーナ姫。しかし父王をはじめ、城内の人々は忽然と姿を消していた。この謎を解くため、アリーナたちは再び旅に出るのだった。
第三章 武器屋トルネコ
レイクナバの町で妻子とともに暮らすトルネコは、町の武器屋で日雇い商人として働いていたが、「世界一の武器屋になる」という大望を抱き旅に出る。
商人の憧れの財宝・鉄の金庫を手に入れ、ボンモールの王子リックとエンドールの姫モニカの仲を取り持ち、両国間で起ころうとしていた戦争の回避に貢献、その褒美としてエンドールでの出店を許される。
ついに自分の店を持ったトルネコ。しかし彼の夢は「すべての武器を手に入れて世界一の武器屋になる」こと。仕入れの最中、手にした者を天空へと導く天空の剣の噂を聞くと、その剣を探すため再び旅に出る決意を固める。
こうしてトルネコは隣国ブランカへのトンネル掘削に資金を提供する。そして完成したトンネルを抜けて、まだ見ぬ伝説の武器を求め再び旅に出るのだった。
第四章 モンバーバラの姉妹
ジプシーの姉妹マーニャとミネアの父親エドガンは高名な錬金術師だった。そんな父はある日、弟子のバルサックに殺害され「進化の秘法」という研究を奪われてしまう。姉妹は父の仇を討つため、一番弟子だったオーリンとともにバルザックを探す旅に出る。
キングレオの王が替わり、新たな王は錬金術の実験をしているらしい……噂を聞いた姉妹とオーリンはキングレオの城を訪れるが、王は不在だった。唯一王の居場所を知っているという大臣から居場所を聞き出す。
王の隠し部屋に潜入すると、そこにいたのは父の仇バルザックだった。バルザックは「進化の秘法」で魔物に姿を変えて、三人に襲いかかる。マーニャ、ミネア、オーリンはバルザックを追い詰めるも、魔物の姿をした真の王・キングレオが現れ、その強大な力の前に圧倒される。
投獄された姉妹とオーリンは、牢で同じく幽閉されていた前キングレオ王に出会う。前王は、現王(息子)の暴走を止められなかったことを悔い、エンドール行き定期船の乗船券を託して三人を脱獄させた。
脱走の最中、追っ手を食い止めるためオーリンが犠牲となり命を落とす。マーニャとミネアの姉妹は失意と復讐を胸に船で大陸を離れ、エンドールへと旅立つのだった。
第五章 導かれし者たち
勇者は自分の素性を知らないままに、ブランカ北の山奥の村で匿われて平穏に暮らしていた。しかしある日、ついに村はデスピサロ率いる魔物の大群に襲われる。村人は全滅。勇者は幼なじみのシンシアの機転でひとり生き残り、デスピサロの名だけを頼りに、あてもなく村を出た。
エンドールで占いをしていたミネアは勇者を見出し、カジノで豪遊する姉のマーニャと合流する。ミネアによれば、魔物に立ち向かうために導かれた仲間が8人いるという。勇者は導かれし者たちを探すために馬車を得て旅立つ。
港町コナンベリーから新たな大陸へ渡ろうとするも大灯台に異常が発生して船が出ない。灯台に巣食う魔物を退治して、同じく足止めされていた商人のトルネコと合流する。勇者一行はトルネコの船で南の新大陸へ渡る。
南の大陸の街ミントスにて、魔法使いブライと、病に倒れた神官クリフトと出会う。クリフトの病を治すため薬を取りに行ったアリーナ姫を追って、勇者たちはソレッタ国へと向かう。
アリーナと合流して薬を入手、クリフトは全快し、アリーナたちが仲間になる。彼女たちはサントハイムの神隠し事件の原因は武術大会で姿を消したデスピサロにあると考え、彼を追って旅を続けていた。
勇者を探すバトランドの戦士ライアンがキングレオ城へ向かったと聞き、そこへ赴く勇者一行。王の前に引き出されそうになっていたライアンを救い出し、ついに8人の仲間がすべてそろう。
かつてマーニャとミネアを圧倒したキングレオ王を打ち倒し、城の大臣からバルザックがサントハイム城にいるという情報を得た。サントハイムでさらに進化したバルザックを倒して、マーニャとミネアは父の仇討ちを果たすも、消えた人々の手がかりは掴めなかった。
「天空の武器防具をすべてそろえた者は天へと昇り、竜の神と謁見できる」という伝説を聞いた勇者たちは、魔に対抗する手段を得るため、竜の神に謁見しようと、天空装備を探す旅を始めた。
水の都スタンシアラ国で「天空の兜」を、女性だけが住む国ガーデンブルグで「天空の盾」を、海鳴りの祠で「天空の鎧」を手に入れた。そしてロザリーヒルという村で、エルフのロザリーと出会う。ロザリーはデスピサロの恋人だった。
魔族の青年ピサロは「デスピサロ」と名乗り、人間を根絶やしにするため「進化の秘法」を使って地獄の帝王を復活させようとしている――ロザリーはピサロを止めて欲しいと願うが、エルフの流す「ルビーの涙」を狙う人間に殺されてしまい、デスピサロは人間への憎悪をより深くする。
地獄の帝王の居城はアッテムト鉱山の地中深くに埋まっていた。勇者一行は復活した帝王エスタークを撃破し、太古に失われた空飛ぶ乗り物・気球を手に入れ、財宝が眠るという世界樹に向かう。
世界樹の頂上で「天空の剣」を発見し、ついに天空の武器防具がすべてそろい、天空城へ赴く。そこで勇者の出生の秘密が明かされた。勇者は天空人の女性と人間の樵の青年との間に生まれた子供だったのだ。竜の神は新たな魔の帝王と化したデスピサロと「進化の秘法」をこの世界から葬るよう、勇者たちを激励する。
勇者たちは地底に降りて、デスピサロの城を守る四体の魔物を撃破した。そのなかの一体エビルプリーストこそは、人間を雇ってロザリーを殺させ、デスピサロを焚きつけた黒幕だった。怪物に進化したデスピサロをようやく倒し、「進化の秘法」は葬られ、世界に平和が戻る。
勇者は気球に乗って仲間たちをそれぞれの帰るべき場所へと送り届けた。そしてデスピサロによって滅ぼされた村にひとり帰ってきた。佇む勇者。突然周囲が花畑に変わる。自分の身代わりとなって死んだはずの幼なじみシンシアが、そっと寄り添う。そして別れたはずの仲間たちの姿が現れる。
こうして物語は終わる。
れとげ部!での評価
神げ!:
ここが神げ!
- ドラクエ史上最もつらい……!?
――ファミコン版のエンディングね。曰く「厳しい戦いを終えて、心身ともに疲弊し尽くした勇者が、最後に帰ってきた滅ぼされた故郷の村で、自分のために命を落とした幼なじみの幻を見てるEND」。勇者という自身の存在がため魔物に故郷の村を滅ぼされ、その折に自分の身代わりとなって死んだ大切な幼なじみ。共に旅してきた仲間たちとも別れ、最後に一人佇む勇者……って、確かにつらい。その後が不安になる終わり方なんだよね。当時、公式的にもこのエンディングについては「ご想像にお任せします」という回答がされて、界隈じゃあなかなかの騒ぎになっていたし。リメイク版では「シンシアが生き返って大団円」ってカタチにまとまってるけど、私としては悲劇的な想像をしてしまうこのファミコン版のエンディングも割といいなと思ってる。
コメント! (レトゲで一言!)
私の中で「IV」といえばやっぱりホイミン。第一章でライアンの仲間になってくれる、井戸の底の洞窟で出会うホイミスライム。なんと彼は「人間になるのが夢なんだ」という変わり者の魔物。第五章では人間になったホイミンとさらっと再会するシーンがあるんだけども、いろいろと想像してしまって感動したなぁ。てかどうやって人間になったんだろうホイミンみたいな。公式的には短編小説(『ドラゴンクエストIV 知られざる伝説』)の中でその話が語られているらしい。第一章の後もホイミンはライアンと共に旅を続けていたんだけど、途中で戦死してしまったんだそうな。そこで神様(たぶんマスタードラゴンとのこと)が気を利かせてホイミンを人間の姿で生き返らせてくれたんだって。再会時は復活からまだ間もなく、ライアンはその事実を知らなかった模様。エンディング後、ライアンとホイミンが再び一緒に旅をしている話もあるらしく、なんだかほっこりしちゃったな。