- 『泡』よむかも。
- 著者:松家仁之 出版社:集英社
- 定価:1500円+税 発売日:2021年4月5日 単行本:200ページ
- ISBN-10:4087717364 ISBN-13:978-4087717365
- 松家仁之さん、『光の犬』から3年ぶりの新作、と聞けば力が入る人もいる?
- この本は「最初で最後の青春小説」(帯文)だって。
- 不登校の薫は、男子高の2年生。ひと夏、東京から遠く離れた海辺の町へ。
- ジャズ喫茶を経営する大叔父の元で暮らすことに。
- 大叔父・佐内兼定は独身で、一族でも異色のおしゃべりな遊び人。
- 店を切り盛りするのは岡田。5年前の夏、ふらりと現れた甘い匂いのする青年。
- 学校や親から離れた薫。
- それぞれに「過去」を持つ大人に見守られながら、自分の居場所を見つける。
- 大叔父の兼定はシベリアからの引き揚げ者。虚無を抱いて戦後を生きた。
- 「金持ちになんかなる必要はないぞ」
- コーヒーの匂い。古いジャズの音。料理を覚える。
- 新しい土地になじんでく、若者の姿がやさしくていとおしい。
- 夏が終われば家に帰っていく。そのときの薫はもう前の薫ではないはずだ。
- (って、感じの……あらすじ?)
- (ひと夏、学校や家庭から離れられる場所があるってのは羨ましい感じする)
- (そういう親戚いてはる?)
【追記】
- 松家仁之さん3年ぶりの新作『泡』は、初の青春小説だって。
- 物語の背景となる時代は、1970年代半ばあたり。
- (作中に明示されていないけど、たぶん)
- 主人公の薫は高校2年生になって間もなく学校に行けなくなった。
- 夏の間、自分から望んで大叔父・兼定のもとに身を寄せる。
- シベリア抑留帰りの兼定は、四半世紀ほど前に家族がいる東京を離れた。
- 知り合いもいない太平洋岸の町で、ジャズ喫茶を経営していた。
- 岡田はそこにふらりとやってきた青年で、雇われて働いている。
- 兼定が所有するアパートで一人暮らしを始めた薫は、翌日から店を手伝う。
- 皿洗いと掃除はどうにかこなしたけど、客への対応は緊張もあり苦労する。
- とはいえ、東京から遠く離れているだけで気持ちは楽になっていた。
- 手伝いをしつつジャズを聴き、料理を習い、空き時間には海に入る。
- そんな薫に対して、兼定も岡田も絶妙な距離感を保つ。
- 自分の過去を語ったり、説教をしたり、不登校の理由を問うこともない。
- 最低限の指示を出すのみ。
- 衝突もなければ劇的なドラマも生じない。
- でもだからこそ薫は岡田を信頼し、自身の病を告げることができた。
- (緊張すると空気を吸いすぎ、大量のおならが出る呑気症)
- 薫の周辺にいる大人たちとはまったく違う兼定と岡田の生き方。
- それは薫の緊張をやわらげる。
- とくに岡田の存在は大きく、薫は彼と接したことで淡い希望を抱いたのでは。
- 一般的なコースから外れても、ちゃんと自分らしく生きていけること。
- しかし、薫が感じたこの可能性は、帰郷後ほどなく、はじけそうだって。
- (……え、いったい何が?)
- そう予感させるところがこの作品の、泡のような青春の魅力だって話みたい。
- (日常を離れられる場所、絶妙な距離感でつきあってくれる大人だいじ)
- (呑気症ははじめて知ったな)
泡
自分の居場所はどこにもない でもひとりでは生きていけない 男子高の二年に上がってまもなく学校に行けなくなった薫は、夏のあいだ、大叔父・兼定のもとで過ごすことに。 兼定は復員後、知り合いもいない土地にひとり移り住み、岡田という青年を雇いつつジ...
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