『よむかも』な本の基本情報
- 著者 :川村元気
- 出版社 :文藝春秋
- 定価 :730円+税
- 発売日 :2021年7月7日
- 文庫 :320ページ
- ISBN-10:4167917165
- ISBN-13:978-4167917166
『よむかも』な本のポイント
- 母だけが知っていた記憶を知りたいと思ったとき、
- 母はもういないかもしれないって想像しちゃって。
『よむかも』な本のレビュー
- 『百花』よむかも。
- 大切な人との「別れ」の小説は数あれど、本作は不思議な存在感を放つ。
- ドキュメンタリーのようなリアリティと、曖昧で甘美なドラマがある。
- 悲しみだけじゃない、温かな諦めに癒される。
- 主人公の葛西泉はレコード会社に勤める37歳の男性だ。
- 女手ひとつで育ててくれた母・百合子を大切に思っている。
- 仕事や妻の妊娠など自分の人生に忙しくしている。
- そんな淡々と続く日常が、変わった。百合子が認知症を発症したのだ。
- 母から失われていく記憶。
- 一方で、泉にとって曖昧になっていた記憶を突然鮮明に語り出す。
- まるで記憶の時空をさまよっているような。
- 戸惑う泉のそばで、どんどん自分を失っていく。
- もっと早く気づけなかったのか。
- 母の徘徊にイライラしたり。
- だが、そんな母の徘徊には過去のある出来事が起因していた。
- 母と息子が決して語らず、なかったことにしていた「ある一年間」
- そのすべてが明らかとなったとき、息子は母を受け入れられるのか。
- この小説を特別なものにしているのは、人間の記憶に向けられたこだわり。
- もしも人工知能に個性や才能を与えるとしたら?
- それには何かの記憶を失わせればいい。
- 確かに人間の個性は欠けていることによって生まれるのかもしれない。
- 記憶の欠落、母の認知症を前向きに捉えるシーン。
- 例えば、「母親」として完璧な記憶を人工知能にインプット。
- そこからわざと何かの記憶を欠落させる。
- すると人工知能はどうなるか?
- 欠落しながらも「母親」であろうとするのではないか。
- なら、それが人の魅力や個性にだってなりうるんじゃないのか。
- 過去に一度だけ母を失った「一年間」
- 百合子の認知症によって、その真実が明らかとなる。
- そのとき、泉はどう受け止め、どう行動するのか。
- みたいな。
- 私の知らないお母さんの記憶をちょっと聞いてみたくなるかもね。
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